今年の来訪は一番よい時期だったのか、出できたのは大ぶりのシシャモばかり。鵡川ではシシャモはフライパンで焼く。反らずにそのままの姿で焼けるという。まずはきれいに焼かれたシシャモを楽しんだ。オスはオスならでは、メスはメスならではの味。一同、満足。 |
調理の仕方一つで、味わいは変わる。シシャモの天ぷらもまた格別。一同、さらに満足。 |
シシャモの生寿司はシシャモがとれるところでしか食べられない。一度は食べに行く価値がある。おいしいとしか言いようがない。何しろ生寿司を普段は食べない一行の一人がたいらげてしまった。一同、大満足。
すぐ近くのカラオケの店に移動して二次会開く。飲めや歌え、で盛り上がった。翌日の11月7日が誕生日の宍戸スタッフが歌えば、踊りも飛び出した。
満腹にかかわらず、二次会でもシシャモ焼きをオーダーする。これまた美味。一同、再び満足。
布施旅館は明治中期に東北から鵡川に渡った布施建蔵が創業した。新潟から大工を呼び、本州の材木を選び抜いて使い、明治43年に旅館は建てられた。昭和30年に増築しているが、その部分でも来年で満50歳になる。ほとんど手を加えることなく健在だ。
3代目として守る順子さん(左)斐子さん(右)。「ありがとうと木にいつも感謝しながら掃除している」と言う。そんな二人だ。「また来てくれて、会えて、一年変わらずに元気でいる姿を見ることができてうれしい」と喜ぶ。そんな二人だ。「うれしい私たちの気持ち」と高くはない宿泊代をさらに安くしてくれる。そんな二人だ。
大きなけやきが一本、旅館の前の右手に植えられている。秋になると、真っ赤に紅葉する。旅館のシンボルだ。シコンノボタンの鉢植えが玄関に置かれている。何ともいえない深い紫色の花をつける。今年も咲き続け、11月だというのにまだ元気だ。つぼみを一つ、見つけた。
部屋(二階)はこう。右手に床の間があり、残りの二面も障子。昔のままということのすごさ、それが現役であることの素晴らしさ…そして、何より居心地よい。薪ストーブは木の香り、それが燃える音も楽しめて格別だ。今、スイッチ一つで火は燃えるが、かつて火は燃やすものだった。大事なことも思い出させる。ストーブ台、炉箒(ほうき)も懐かしい。障子の模様入りの曇りガラスは、割れたら代わりはないはずだ。一階の部屋には窓があるが、その窓枠がまたすごい。名画をおさめる額のよう。
電話室があって、それはご覧の通り。さすがに電話は今のもの。この立派なのはトイレのドア。トイレは改装されているが、「もったいないので」とドアは残された。確かにもったいない。
シシャモの販売で有名な店。「日本一話我侭(わがまま)な店」と看板がユニークだが、鈴木譲店主がユニークなのも有名。シシャモ以外に店主自慢、店主厳選の優れもの食品が並ぶ。ついそれらも買ってしまう。
鵡川はタンポポでも知られる。町を黄色一色に染めるのが春の風物詩なら、晩秋はこれ。布施旅館の向かいにもシシャモのすだれ干しが並び、目を楽します。