こうじとは

「こうじ」とは、漢字で「糀」OR「麹」と書きます。(米や麦に、こうじ菌の胞子の花が咲く様子が分る漢字です。)

「こうじ」は単体で食用することはありませんが、日本古来の、味噌、醤油、日本酒、甘酒、漬物など旨味を醸し出す為には「こうじ」が欠かせません。

原料が米なら「米こうじ」に、麦なら「麦こうじ」になりますが、米には米用の種麹(糀屋では「もやし」と云い、純粋培養させた麹菌の胞子を集めた物です)、麦には麦用の麹菌が必要です。

麹菌は「日本コウジカビ」と言う、日本独特の有用微生物の代表的「カビ」の一種です。

味噌作りで必要な麹菌の働きには主に学名「アウペルギルス・オリゼー」と呼ばれるもので、各種の酵素を作ることです。「こうじ」はアミラーゼ(デンプン糖化酵素)、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)、リパーゼ(脂肪分解酵素)の三大消化酵素を豊富に含みます。またこれらの酵素は美味しい味噌が出来るためにはとても重要です。味噌の仕込には「良いこうじ」を使うことが大切です。

米糀は、蒸した米(うるち米)に麹菌を混ぜ、麹室(室温30度位)に入れて発酵させ、浸米から出糀まで三日間かかります。

味噌の仕込には比較的気温が低い時季に仕込むのが最適です。寒い時季に仕込むと、空気中に浮遊している細菌(雑菌)が少ないため、仕込の段階で雑菌の混入を避けられます。

また、美味しい味噌が出来るまでには、先ほどの酵素の働きが有るのですが、それぞれの酵素が活発に働くためには温度が微妙に関係します。仕込の段階では、比較的低い温度下で麹菌が大豆のタンパク質や油脂、米のデンプン等を分解し、酵母菌や乳酸菌が味噌の中で増えていきます。

次に分解されて出来たアミノ酸や糖分を使って、味噌の味が決まる段階で、主に酵母菌(学名「チゴサッカロス・ルキシー」は大豆や米などの酵素を進め味噌らしい味や香りを作り上げる酵素)の働きも活発になります。

そして、味噌の香りや味を調える時期では、乳酸菌(酵母菌の作った糖類を発酵して乳酸を作り、大豆が持っている臭みを取り除き酸味を添える)が活発に活躍します。

ご家庭で味噌を仕込み、美味しい味噌に仕上げるのには、保存場所の選択も大事です。無添加、天然熟成ですから常温での保存になりますが、出来るだけ温度変化の少ない、直射日光や雨に当たらない、風通しの良い所に保存するのが基本です。