薬剤による化学変化とブローやアイロン熱の物理的変化を利用してクセ毛を矯正する技術の事ですが、この縮毛矯正、意外に思われるかもしれませんが、他のパーマ等と同様に「酸化」と「還元」を利用し毛髪に形状を与えます。
「エエッ?昔、理科で習った酸化と還元?」と驚かれるかもしれませんが…そうです。その酸化と還元です。
通常、毛髪内部のタンパク質は強固な結合をしています。
この強固な結合を、還元する事によって一時的に切断してパーマは直毛にR形状を、縮毛矯正はクセ毛に自然なストレート形状を付け、酸化処理でタンパクを再結合させて形状を固定します。
昔の「ストレートパーマ」は粘性の高い高アルカリの薬剤を毛髪に塗布し、パネルに貼り付けてクセを伸ばす技術でしたが「クセ毛を緩和する」程度の効果しかありませんでした。しかし90年代に入り、理容技術の一つである「アイパー」(=アイロンパーマネントプレス)の熱を利用して毛髪に形状を与える技術を応用する事により劇的に変化しました。一部の理容店だけが行っていたアイロンを利用する縮毛矯正技術が現在の縮毛矯正の原型です。
「縮毛矯正」と言う名称はそれまで行われていたパネル式の「旧来のストレートパーマ」技術と区別して使用されてきた名称です。
旧来のパネル式のストパーはお客様の期待する効果が出ないだけでなく、施術によって、逆にクセが強くなる事も珍しくない事から、現在ではほとんどのサロンではアイロン(またはブロー)を使用する縮毛矯正しか行われていないので、アイロンを使用する矯正を「ストパー」と呼んでいるサロンも多いです。
今ではケミカル業界誌(=marcel)でも縮毛矯正を「現代のスタンダードなストレートパーマ技術」と位置づけて、アイロンを使用する縮毛矯正の特集でも「縮毛矯正」としたり「ストパー」と記載したりしています。
クセ毛の種類と構造はコチラ
強い還元剤を使用すれば初回だけは簡単に矯正できますが、毛髪ダメージは深刻になります。
これはタンパク結合を必要以上に還元、膨潤させて、コルテックス内のタンパク質を溶かし出してしまい、酸化させても戻らないほどに損傷させた上に過度なアイロンの高熱と摩擦でタンパク変性などを発生させて毛髪を傷めてしまう為です。
こうなると次回、次々回と矯正を重ねる度にダメージが蓄積されて、ついには「痛みがひどいのでカットしましょう。」と言うことになります。
毛髪は肌と違って、それ自体で修復する機能を持っていません。髪は爪と同じヒフの付属器官です。ヒフは修復機能がありますので傷ができても自然に治っていきますが、爪や髪はダメージを受け傷ついても自然治癒はできないということです。
上記のことから、サラツヤになる縮毛矯正ですが毛髪内部はダメージが避けられない技術でもあるので「如何にダメージを最小限にできるか」という事が縮毛矯正を続ける上で、非常に重要なファクターであると考えます。
SAWAJIでは数種類の薬剤を調合します。
調合方法はミックスした際の pH、還元剤濃度、アルカリ度を計算して塗布する部位の髪のダメージレベルに合わせた強さの薬剤に調合し、髪から流出したタンパク質などを補給すると同時に施術後の酸化不足も極力無くなるよう特殊なケラチンを使用しながら還元します。
髪の状態によっては還元(酸性領域)と膨潤・軟化(アルカリ領域)を別プロセスに分けてPH移行させて還元を行います。
必要最小限の適切な還元とアイアニング時の物理的な力で髪内部から外に向かって内圧をかけて毛髪断面を丸い形状に近づけた後、独自のブロー技術とアイロン技術で縮毛をしっかり矯正します。
そして次回、次々回はスタイル変更の有無などのご希望や毛髪診断の結果、ご希望のスタイルの毛先にクセ戻りが無く、還元が必要ないと判断した場合、毛先完全保護で毛先のダメージを深刻化させません。
還元が必要な場合は微還元だけで修復重視(還元トリートメント)で処理するのか、弱還元でクセ戻りだけを伸ばすのかを選択します。
またショートボブのような毛先をインカール(=内巻き)させたい場合には還元してストレート処理した後に水素結合を再度切って、別のアイロンを使って独自の技術でインカールさせて形状固定します。
「塗り分け」「水抜き」「熱置き」という縮毛矯正の3大要素と最新のケミカル処理により毛髪内部補修と表面被膜を形成し毛髪の内と外から修復。
十分な酸化によって確かな伸びと持ち、ツヤ、弾力の違いを実感していただけます。
縮毛矯正の技術は日進月歩です。
技術講習会への参加レポート、営業終了後や店の休日に薬剤の調合や還元実験をしていますが全てをHPで掲載する事は困難です。
掲載しきれない縮毛矯正関連の情報の一部はブログの縮毛矯正カテゴリーにアップしてありますので良かったらご覧になってください。