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第3話:1,600キロの旅
 

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1981年。16歳(高校2年生)の夏。友人のグラントと道ばたでキャンプをしながら3週間かけて1,600キロの自転車旅行に.....。

 

16〜17歳の夏、私は高校2年を11月に終えると同時に友人とサイクリング旅行に出かけました。私たちは道ばたや河原などでキャンプをしながら、3週間かけて1600キロの旅をしたのですが、当然パンクや故障は常に付きまとうものです。

ニュージーランドは日本とさほど変わらない領土を誇る国なのですが、何といっても時は1981年。何十年も前の話しなので人口はたったの350万人。要するに、日本でいえば横浜市の人口が、日本より若干小さい国にバラまかれたといった程度の人口密度なのです。それも、最近のニュージーランドとは違って、全くとも言えるほど観光化されていない時代でした。フェイスブックやツイッターなど当然ありませんでしたし、スマホやインターネット自体が存在しない時代です。そして携帯電話といえば、大企業の社長のリムジンにしか搭載されていないような、リュックサックほどの大きさのものしかない時代でした。もちろんパソコン、ナビ、ビデオカメラ、デジカメ、LEDライトなど、何もない時代です。そして、田舎にいけば集落どころか、民家すら数十キロおきにしか建っていないことも珍しくなく、車も人も殆ど見かけなかった時代でした。車で20キロ移動するのは楽ですが、重い荷物を積んだ自転車で、向かい風や坂道と戦いながらでは数キロ移動するのも気軽に出来ることではありません。そこで、私たちは必要最低限のキャンプ道具や食べものに加え、必要最低限の部品や道具も持っていました。時には道ばたで拾った針金を使って、応急処置の修理をしたこともあります。

         
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湖に沿って続く砂利道。一休みをしながらグラントがストレッチをします。この日はとても穏やかで、鏡のように山が湖に映っています。

出発してから1週間程たった頃です。私たちは、南ニュージーランドの内陸部に位置するセントラルオタゴという地域を横断していました。そこは、冬には雪に覆われ、夏には砂漠の様に乾燥した茶色い草原が見渡す限り広がる地域です。

そこで友人、グラントの自転車のチェーンが突然「ガチャガチャ」と音をたてて外れました。原因を調べてみると、フロント・スプロケット(チェーンの歯車)のベアリングが5〜6個砕けて粉々になっているじゃないですか。いや〜、困った。今では40年以上自転車に乗っていますが、ベアリングが砕けるとはこれが最初で最後の経験です。滅多におきることではないので、当然そこまでのスペアパーツは持っていませんでした。しかも、自転車は完全に走行不能に...。

上り坂は歩いて押して、下り坂だけ乗る?片足だけペダルに乗せて、足で地面を蹴って進む?色々と、数キロに渡って試してみましたが、近所のスーパーに買い物に行くのとは訳が違います。何十キロもの荷物を乗せた自転車を、朝から晩まで漕ぎ続ける中で、片足で地面を蹴って進むというのはあまりにも非現実的です。

しばらくして私たちは諦めざるを得ませんでした。呆然と立ち尽くすこと20分。すると、遥か遠くから1台の車がやって来るのが見えたのです。チャンスだ!私たちはバラバラになった自転車の部品を手に取り振り回し、必死にアピールすると車は停まってくれたのです。60キロほど離れた最寄りの村まで乗せていってくれるとのことで、自転車2台を大急ぎでバラバラに分解し、無理矢理小さいセダンのトランクに押し込め、蓋をロープで縛りました。私たちは荷物と一緒に後部座席へ。ヒッチハイクに成功です!さすがに車は楽なのです。旅をしていてつくづく思ったのが、毎日8時間も自転車をこいでいると、鳥や虫の鳴き声、草や森の香り、微妙な風や気温の変化など、自然を全身で体感し、道ばたに生える一本一本の木までもが全て記憶に焼き付けられていくのです。本当です。そしてそこには自転車旅行ならではの発見が数々ある上、自分は地球と一体化した「生き物」であることを実感するのです。これぞ究極のエコの旅。それが車では景色を10分の1も楽しむことが出来ない。何一つ苦労をせずに上り坂も景色もあっという間に通り過ぎていってしまうのです。あまりもの楽さに感動しつつも、車のつまらなさを実感し、複雑な気持ちでした。

       

すると途中、車を運転していたオジさんが、「君たち学生だろ?途中、パブによって一杯飲むか?おごってやるよ!」と、何と気前よく誘ってくれました。一緒にいた友人は、ニュージーランド人にしても珍しいほどのフケ顔で、ニュージーランド人にアジア人の私の年齢は分からないので、私たちは大学生だと思われたのです。でも実際は私が16才、友人は17才(笑)。私たちは車の後部座席で顔を合わせて小さくガッツポーズ!

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当時17歳のグラント(これはフィヨルドランド国立公園にて撮影。この日は雨でした。

   
                       
                                 

しばらくすると、道ばたにポツンと一件のパブが。典型的なニュージーランドの田舎にあるパブです。周りには民家が1件も建っていないのですが、夕方になると半径30〜40キロ以内の農家から人々が集まって来るのです。それが、ド田舎に住むニュージーランド人の最高の(唯一の?)社交的たまり場なのです。

"Cheers!"(カンパ〜イ!)私たちは未成年だったとはいえ、1日中、炎天下で自転車をこぎ続けた後の1杯のキンキンに冷えたビールは格別に美味しく感じました。未成年なのにビールを頂いてしまってゴメンナサイ!でも時は1981年。そのあたりの法律はユルユルの時代でした。オジサンありがとう!あの時の感動は一生忘れません!

                                 
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ニュージーランドの原生林にて2人の原始人を発見!(笑)バカをしながら旅を楽しんでいます!

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旅の途中、自転車を山小屋に預け、国立公園内でヒッチハイクをしながら寄り道をしました。行きはアメリカ人の観光客に拾ってもらえたものの、帰りは誰にも拾ってもらえず(車自体が殆ど通らないので)、けっきょく自転車の置いてある小屋まで24キロ歩いて帰りました。この写真ではグラントが親指を突き出して歩いています。

 
                                 

今回の「おもしろ話」に登場する場面の写真を撮っておかなかったのが、今になってたいへん残念に思います。しかし、当時は、16歳のころで、旅は全て、自分たちのお小遣いなどが許す範囲でやっていたので、3週間の旅で撮った写真はわずか50枚(フィールム2本分)です!昔は、デジカメと違って、写真すら気軽に採れない時代でした。

そして、当時の日記を読むと、ヒッチハイクに成功した時は慌ただしく自転車を分解してトランクに押し込めるのが精一杯で、写真など取っている余裕はまったくありませんでした。

                                 
         

16歳の私です。道ばたで昼食を食べているところです。自転車の後ろに2本ものスペアタイヤを持っているのが分かります。たわいもない冗談を言い合って爆笑している時に撮られた写真です。

 
                                   

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