あのヒロタジマが、休暇を取って
ワイオミング州、ジャクソンホールの北東にある荒野(Wilderness)
のキャンプをしてきた!


このごろ顔色が悪く、酒を飲んでも手がひくひくいっているので、
あ〜そろそろ日本の生活に馴染めず精神のガソリンが切れてきたころで、
包丁持って市長室に立てこもらなければいいな、と思っていたやさき
ナ、ナ、なんとカウボーイになると言って
8月の末から休みを取ってアメリカに旅立った。

もともとの夢が、グランドキャニオンの下に住んでいるインディアンのナバホ族のように、



自然と一体になって暮したい、と言う夢を持っていたので、
行く末は公園のホームレスか、と思っていたのだが、なんとか堪えたようだ。

「キャンプ」と言っても日本のホームキャンプでなく
荒野にベースキャンプを張り、
そこから毎日馬で湖や山などに行く
まさにカウボーイの生活。
牧場のカウボーイがガイドについて、
ウインチェスターを肩にリボルバーを腰に着けて、
夜は満天の星の下で寝、
昼は馬を走らせて広大な素晴らしい景色のひとつとなる。
あ〜!!うらやましい!!

それも一人で行ったというなんと言う贅沢!
本人は自分を「ワイオミングのヒロ」と呼べと言っている。
まだ時差ぼけが直らないようだ!
詳しい事は本人の手記を載せるのでお楽しみに!

「ヒロタジマの絵日記」


皆さんはご存知だろうか「シティスリッカーズ」という映画を。
もう10年程前になるだろうか、ビリー・クリスタル主演のハリウッド映画で、38歳を迎え人生に倦怠を覚え、生きる意味を見失いがちになった主人公が、モンタナ州での牛追いツアーを通じて、元気を回復する物語を。
この旅のすべては、この映画から始まります。
「何故一人でここまで来たのか?」というカウボーイたちの問いに、「シティスリッカーズの映画を見たんだ」で通じてしまうほどの映画であります。
   以下はウィルダネスでの体験を極力感情を排して綴ったものです。

8月27日
レストラン(ビレッジ・イン)で朝食。量多し。
8時30分、牧場のマーシャさんの迎えうけ、老夫婦(ニューヨークから来たとのこと。名前は聞いたが忘れた。)と孫娘(9歳、ドロシー)と同行。
 12時過ぎ牧場に到着。
荷物を防水性のバッグに詰め替え。(このとき靴下の換え忘れる。なんとしたことか)(この場面まで、牧場側から馬選びや、これから向かうベースキャンプ等の一切のオリエンターション無し。)(よってかなりせかされている感じ受け慌ててしまう)
車で馬2頭、ラバ2頭のトレーラーを引く。
ジム(ヒゲずら中年)が運転。
1時間ほどの山の中腹で留め、ラバに荷物を積み、クリス(22歳オレゴン生まれのラングラー)と馬で出発。3時間近く(途中、小川の端で昼食)山道を分け入りベースキャンプ着。尻が痛い!!
これは馬に乗ったことのない人にはちょっと無理。
米国人は英語をしゃべるのと、馬に乗るのは誰でもできると思っているらしい。
ベースキャンプについてびっくり。汚いトイレ用のテントのほかスリーピングテントのみ。
シャワー、洗い場無し。何の為にシャンプー・石鹸持ってきたのか?肝心の靴下忘れて。 あほみたい!! 情報は事前にしつこく聞きましょう。(これは私がインターネットでトライアングルCのホームページの情報を鵜呑みにしたことによる判断ミス)
熊よけのライフル(ウインチェスター式)と47口径のマグナムのぶこついリボルバーを持ってきている。
靴下、シャンプー、靴下とやたらと気にしているが、私もシティースリッカーズそのものか。
この5日間は病気にならず生きてりゃいいと覚悟しましょう。
今、午後7時、日がやっと夕日になり始めた。
さっきまで遠雷と風の音が響いていた。今は遠くでラバにつけた鈴が鳴るのみ。
夕食はポークリブ・パン2切れ・みかんの缶詰、食べきれず。
食後にアップルパイはどうかと言われたが、遠慮した。 夜中0時30分頃、目がさめ3時間ほど寝付けず。
出発前の牧場の女性たちの意味ありげな含み笑いが頭に浮かぶ。(「なんと物好きな」といっているよう)

8月28日
クリスに聞いた動物強い順

1 グリズリー
2 ムース
3 ウルフ
4 ブラックベア
5 エルク
6 ディア
7 コヨーテ

シャワーのための小屋とか使えたのはいつなんだとたずねると、秋の狩猟の時にクックの為にくる女性用に作るのだとのこと。
最低気温はマイナス15度になるのだと。
今日は11時ごろ出て、北の川原へ行く。マスつれず。2時間ほどで帰り、サンドイッチの昼食後、昼寝。
乗馬と投げ縄教えてもらうが、難しく断念。
乗馬は言葉がわからず、どこに重心を置くかわからない。
自転車に乗れるやつに、どうやって乗るのかと聞いているよう。 ケガするのも怖いし、やめた。
平原にひっくり返り、靴下干しかねて(洗ったわけではない)横になる。
遠くで馬が草を食んでいる。
下着を替えようと思うがタイミングを失う。
夕食を終えると冷え込んで、着替える気にならない。 もうどうでもいい。
夕食はポークチャップ(ウスターソースと緑のタバスコの味付け・結構いける)梨の缶詰・アップルパイ(パイ生地まずい) 9時ころ寝てしまった。
0時30分ころ目がさめ2〜3時間うとうと。

8月29日
朝、久しぶりの歯磨き。 10時30分出発
海抜3600m以上の山の上にあるGOLDENLAKEを目指す。
途中、危険なトラバ−スやさまざまな経験あり。氷河の削った跡も生々しい場所をとおる。
雄大な景色の中で「感動しろ、感動しろ、今感動しないでいつする。」と自分の中で声がする。
クリスが言うには、ここにきた日本人は私が初めてだそう。
クリスが湖でゴールデントラウト2匹と山女のような魚釣る。(キャッチアンドリリース)
私はリールの使い方がわからず、仕掛けを湖に投げ込んでしまう。
午後4時ごろ来たときより怖い思い(くだりなので)をしながら下山。 よくいって来たものだ。
夕食時、牧童仲間2人(男女)現る。クリスは自分の夕食を2人に分け与える。
この夜の中(9時過ぎ)牧場まで帰るそう。(女性はモンタナ生まれで、牧場にきて3ヶ月だそう。)馬の目と月明かりで十分なのだそう。人間の可能性にびっくり。
あ、そうそう、とうとう靴下洗う。下着も着替えた。鏡がないのでわからんがひどい顔しているんだろうな。

8月30日
9時過ぎ起床。トイレ。
クリスに「夕べの連中の訪問は予定内のことか」と聞いたら、そうではなく、ボスがラバや馬の蹄鉄の付替えのため、馬たちを交換するためよこしたとのこと。
牧場には夏は8人、冬は2人の牧童が働いており、ほとんどの人は3ヶ月働いて家に帰るとのこと。
クリスはここで牧場のオーナーになることを望んでいる。

一昨日から今日までスケッチを5枚した。初めてにしてはうまくいったと思う。
ここにきた当初ははっきり言ってだまされたと思った。 シャワーなし、洗う場所なし・・・・。食事用テーブルなし。
なんと言っても残念だったのは、乾燥しすぎているため、キャンプファイヤーができないこと。かつ、ラングラーがハーモニカも歌もできないこと。
でも、私一人の旅人というのはどういう理由かわからないが、考えてみれば贅沢なことである。
悠・慶(倅)に右脳的楽しみ方の素養があるかどうかわからんが、できれば開発していってほしい。
私が悠の生まれたとき、センチメンタルすぎる自分を嫌って情緒的な部分の開発をあえてしなかったのは、大きな誤りだと思っている。
二人にはすまないことをした。 多少生きにくくなるかも知れんが、一度しかない人生、うんと感じたほうがいい。
ここに来てあらためて思う。 ひとりでいて退屈することがない。 やっぱり来てよかった。

踏みしめると カサコソと音の鳴る 草原の向こうで 馬が草を食んでいる
おもしろかったもの

1 バタバタと音を立てて飛び回るバッタ(グラスホッパー)
2 ひいる(飲み水に使っている流れの上流のたまりで、バケツに水を汲んだところ最初松の枯れ枝と思っていたのが実はヒイルであった)私はその下流で水筒に詰めた水を毎日飲んでいたのだ。そのせいか日本に帰ってから少し貧血気味である。
3 一日約30度の温度差 乾燥による唇の乾き。

夕食はステーキと缶詰のパイナップルだけ。
ジェス(夕べ来たやつ来る)明朝の撤収の手伝い。少し顔見知りするタイプ。
ここの名前 DONOIR(ドゥーノア)

8月31日
6時30分に起こされる。
彼らは5時前に起きて撤収し始めるはずなのに寝坊したらしい。 かなりあせっている。 おかげで朝食なし。
せっかく相性のいい馬にめぐり合ったのに、平原を疾駆する雄姿はちょっとしかビデオ撮りできず。
その代わり、山道をほとんど早足で下る。最後の直線でラン!! 彼らはこれからまたハンティングキャンプに向かう。

旅を終えての感想
このたびの良し悪しはひとえにカウボーイに左右される。
そんな意味で今回はかなり満足できるものであった。
しかし、最終日、牧場の都合で急かされたり、馬選びに無神経だったりするなど、牧場側の都合でこちらが振り回されるような場面も見られた。

三好さん、リードさんには本当にお世話になりました。
ありがとうございました。またお目にかかる日を楽しみにしています。 お元気でご機嫌よろしゅう。



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