>>雑記帳 > 居合道に関連すること > 袴の内ひだ縫製加工について
◆袴と内ひだ縫製加工
インターネットで武道具の通信販売サイトを見ると、 「内ひだ縫製加工」 と記載された袴をよく見かけます。
袴には、前面にも背面にもひだがあります。 稽古後、袴はひだの折り目 (ひだ山) に沿って畳むと思いますが、気を付けていてもそのひだ山が消えてしまったり、購入当初のひだ山と異なる部分に折り目が出来てしまったりする場合があります。 特に袴の表から見て 「谷折り」 のひだ山はこの傾向が強いように思います。
この谷折りのひだ山が消えないように、あらかじめひだ山付近を縫っておく加工を 「内ひだ縫製加工」 と呼んでいます。
ミシンがあれば、自分で 「内ひだ縫製加工」 をするのはそう難しくありません。
先日、昇段記念として川越市剣道連盟から袴を頂きましたので、その袴に 「内ひだ縫製加工」 を行った過程と併せて紹介したいと思います。
◆内ひだ縫製加工
「内ひだ縫製加工」は簡単に言えば、袴の表から見て谷折りになる折り目 (ひだ山) が消えないように、その折り目から1〜2ミリ程内側の部分を折り目に沿ってあらかじめ縫っておく加工です。 この加工により袴姿の見栄えが良くなるとか、袴の動きが良くなるといったものではなく、ただ単にお手入れ (ひだ山の維持) が楽になるといったものに過ぎません。
「内ひだ縫製加工」 がなされていない袴に自分で加工を施す場合、手順はおおよそ下記のようになります。
@袴を裏返す
内ひだ縫製加工は袴のひだ山に沿って、裏側から縫います。
そのため、まずは袴を裏返します。
袴は表裏逆の状態になりますから、縫うのは裏返した状態で
「山折り」 になった折り目となります。
裏返して山折りになっているひだ山は、前・5本 後・2本の
計7本のはずです。
まずはどのひだ山を縫うのかを確認します。
A縫う範囲に印をつける
内ひだ縫製加工で縫う範囲は、ひだ山全体 (袴の紐下から裾
まで) ではありません。
袴紐から30センチほど下の部分から縫い始め、裾から30セン
チほど上の部分で縫いやめます。
(=ひだ山の中間部分を30センチほどしか縫わない)
左の写真では判り難いですが、縫う範囲にあらかじめ印をつ
けておきます。 またマチ針を打っておけば、ミシン掛けした
際に上下の布がずれるのを防ぐことができます。
< 余談 >
ひだ山の縫製は前述の通り裾まで縫わず、裾から30センチほど上の部分で縫いやめます。 これは、裾まで縫ってしまうと袴の裾付近の動きが不自然になる場合があるからです。
一方で、袴によっては裾上30センチほどの部分で縫いやめると、縫った部分とそうでない部分の 「境目」 で、袴の動きが不自然になったりツレたように見えたりする場合もあります。 この場合、裾まで縫ってしまったほうが良いように思います。
袴の形状や生地によって差があるのかもしれません。
そのため、私が内ひだ縫製加工をする際にはまずは裾上30センチほどの部分で縫いやめておき、袴を実際に使用して様子を見、縫う範囲を広げたりしています。
Bひだ山を縫う
印をつけたひだ山の、折り目から1〜2ミリ程内側の部分を折
り目に沿って縫います。
言葉で書くと簡単ですが、折り目に沿ってそのわずか1〜2ミ
リ内側を真っ直ぐに縫うのはなかなか難しいものです。
ミシン掛けに慣れていない方には、ハードルの高い加工かも
しれません…。
ひだ山を残すためだけの加工ですので、縫い目は細かくする
必要はありません。
C完成
全ての山折りのひだ山について縫製し、袴を表に返せば完成
となります。