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◆鐡の華

国道407号線を北上して利根川を越えると、群馬県太田市に入ります。
まとまった時間を見つけると、この中心街から西に外れた「太田市立 大隅俊平美術館」を訪れます。
現代刀に詳しい方なら、この刀匠のことはご存じかと思います。
大隅俊平刀匠は山城伝・大和伝・備中青江といった直刃の作品を数多く作刀され、平成9年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
美術館は大隅刀匠の自宅・仕事場をそのまま展示施設としており、母屋を改装した展示室では大隅刀匠の作品を常時15口ほど目にすることができます。
太田市による紹介ページを下記にリンクしますので、多くの方に足を運んでいただけたらと思います。

◆大隅俊平美術館 (太田市ホームページ 『大隅俊平美術館』)

母屋に入ると「鐡の華」と書かれたパネルが目に入ります。
いうまでもなく日本刀は鉄で作られた至高の美術品。
「鐡の華」とは実に言い得て妙、素晴らしい表現であると感じます。

◆鉄と酸化

前段が長くなりました。
日本刀は鉄から作られており、そうである以上、錆とは無縁でいられません。
ではなぜ、錆は発生するのでしょうか。

鉄は純粋な形で自然界に存在せず、何らかの化合物となることで安定化します。
その代表が酸化鉄です。
我々は酸化鉄から酸素と不純物を除去し、一方で必要な微量金属などを加えることで、使用目的に適合した性質を持つ鉄素材を得ています。
たとえばたたら操業。
木炭(松炭)により1000℃程度の還元雰囲気となった炉の中に砂鉄を投入します。
還元雰囲気の中で砂鉄(酸化鉄)は酸素を奪われて鉄となり、奪われた酸素は炭素と結合して一酸化炭素・二酸化炭素になります。さらに1000℃近い温度の中で、鉄は炭素と結合して鋼(鋼鉄)になります。こうしてたたら製鉄で精錬された鋼が、日本刀の原料になることは広く知られているところです。

精錬された鉄素材は、自然界で存在したときの安定的な性質に戻ろうとします。
つまり酸化鉄に戻ろうとし、その結果、錆が発生します。

◆刀と油

鉄の酸化は、表面から進行します。
であればその表面を覆いつくし、原因となる大気中の水分や酸素を遮断すればよい、という発想が生まれます。「被覆防食」という防錆思想です。
日本刀の手入れもこれに基づいたものになります。
刀身表面を薄い油膜で覆いつくし、錆の原因となる大気中の水分や酸素を遮断しています。
日本刀の手入れでは「丁子油」を使うのが定番です。

< 余 談 >

丁子(クローブ)の精油は揮発性が高く、日本刀の手入れに向いていないと聞きます。
刀剣用として販売されている「丁子油」は椿油や鉱物油に丁子精油を混合し、丁子香をつけたものが多いようです。

日本刀の手入れ・保存に求められる油の性能は、下記のように思います。
 ・刀身に影響がないこと
 ・油自体が酸化しにくいこと
 ・浸透性が高いこと
 ・長期間の油膜を形成すること
 ・防錆性能が高いこと
 ・膜厚が厚すぎないこと
私の場合、市販されている2種類の油を混合したものを使用しています。
「これ(この配合)で錆びたら自分自身の手入れが相当悪いのだ」との自戒の念を込めて『絶対に錆びない油』と呼んでいます。
配合はここで公表しませんが、この油を使用してから刀身の発錆に悩まされることは無くなりました。

全日本剣道連盟居合・九本目「添え手突き」では「添え手突きの構え」にて、刀身の中程の棟を左手の親指と人差し指の間で挟みます。
刀身と手が直接触れるため、この付近に発錆するケースを散見します。
錆を防ぐためには、防錆性能が高い油を使用するほか、刀身の汚れ(古い油や手の脂)を確実に除去することが肝要と考えています。

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