1996年はじめに当比較は、平成9年4月国土庁の第二回世界地価等調査を基に、(有)三谷不動産鑑定所で為替レートで比較した場合の各都市地価水準の把握及び棒グラフによる一覧性等を目的に作成したものです。 <基となった資料> ***************************** 世界地価等調査は1980年(昭和55年)から (社)日本不動産鑑定協会・国際委員会によって2〜3年毎に行われていたが、私自身は平成3年の調査までは日本の地価は異常に高い、香港、シンガポール等アジアの国々も高水準だ、イギリス等ヨーロッパの国々は法制度や歴史的背景が違うからか意外に低水準なのだなぁという認識以上のものではありませんでした。 振り返ってみると、昭和61年頃からの外国証券等の急増を発火点に東京が国際金融街へと急膨張するにつれて、インテリジェントオフィス不足が喧伝され、都心の好立地地区への極度の需要の集中・地価急騰、都心居住者への代替高級住宅地の斡旋による高地価の波状拡大等々、ジャーナリズムの応援を受け、株式市場の青天井の活況と2人3脚で未曾有の楽観主義が支配する時代を形成し、平成2年後半まで続きました。 このような地価の高騰も、孤立した一国経済であるならば当該国の資源配分や、所得分配に影響があるだけかもしれないが、経済のグローバリゼーションが進んだ結果、高度商業地価格の高騰はオフィス賃料等各種固定的経費の増大を経て金融ビジネス等各種知的サービス産業の競争力を弱め、工場用地のそれは低付加価値部門を中心に国外への工場移転を促進し、農水産物、木材の輸入増大にも影響を与えているはずです。 もちろん、対ドル為替レートの急上昇が主要因であることは認識しています。 日本の土地問題は、国際経済競争力や金融の不良債権問題にとどまらず、体全体に転移しつつあるガン細胞のように、我国の経済を蝕みつつあることを認識しなければならないと思います。 このような時、(社)日本不動産鑑定協会 国際委員会の、現地鑑定評価人の協力のもとでの現地調査等に基づく世界土地価格データは我国の土地問題を掘り下げて考えるために極めて重要な資料と考えます。 なお、国土庁の「第2回世界地価等調査結果」が購買力平価に基づく円換算を中心に、年平均為替相場を加えて各種比較がなされているのに対し、以下の価格比較は為替相場のみで円換算していることにご注意ください。 |
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