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世界主要都市の土地価格等比較


世界地図

1.はじめに

当比較は、平成11年3月、国土庁と(社)日本不動産鑑定協会が合同で行った『世界不動産市場調査』を基に、(有)三谷不動産鑑定所が、為替レートで比較した場合の各都市住宅地の地価水準把握及び棒グラフ一覧性等を目的に作成したものです。 今回は、前回まで行われていた商業地の地価調査は行わないなど、残念な面もありますが、グローバルな経済における各国の土地・不動産の価格水準及びその変動趨勢、変動率は、それぞれの国々の経済状況を写し出していることは否めないところですから、興味をもたれる方も多いのではないかと思っております。

<基となった資料>
  国土庁土地局
  社団法人 日本不動産鑑定協会
   『世界不動産市場調査』(世界住宅価格等調査)

当該調査は、住宅価額,土地価額を調査したもので、土地単価そのものについての調査は行われていないので、資料から弊社にて、それぞれの土地単価を求めたものです。また当該調査の価格基準日が平成10年1月1日なのに対し、為替レートは平成10年6月〜11月の市場実勢相場の平均値である日本銀行の基準外国為替相場に基づくなど、ややチグハグ、不正確な部分を含んでいることにご留意ください。

<世界の土地価格水準から感じたこと>

「世界地価等調査」は、前回までの世界各都市の土地価格、家賃 オフィス賃料調査から今回は住宅価格および家賃、オフィス賃料調査へと調査の主目的が変更され、名称も「世界不動産市場調査」へと変更されました。

ただ、私自身の関心事は やはり各都市の土地価格およびオフィス賃料でありますから、各都市の価格資料を組替え、各国為替レートと関連付け、土地価格等を求めてみました。

一覧して感じることは、香港、シンガポールの一戸建て住宅は、土地単価も総額も桁外れに高いが、そもそも両都市においては、一戸建て住宅そのものが特異な存在であるからともかくとして、ロンドンの優良住宅の土地単価は、なぜ、かくも高いのであろうか?

一般住宅の土地単価がそれほど高くないだけに、ロンドンという街そのものに特有の何かが作用しているのでしょうか?しかも、近年の力強い上昇は、その間の景気回復を反映しているとしても、どうも合点がいきません。

米国の主要都市の地価もよく上昇していますが、こちらはなんとなく理解できそうです。ただ、ニューヨーク市の優良、一般住宅地とも1u当り15,000円未満であるということには、毎度ながらあきれてしまいます。

これにしても、このような資料を見るたびに、この異常に高い土地価格、賃料のうえに構築された日本経済の再建の困難さと、自分を含めて、いつまでも土地価格の変動(下落)に振り回される国民の苦難を思わずにはいられません。

ここ、この時にいたっても、国境というハードルを軽々と越えて浸透しつつある不動産価格の国際的一元化を理解できず、また理解したくもないと目を閉じている人がいかに多いいかを見るにつけ、さりとて、これという解決策が見当たらない超重大事だけに、このような切り口で資料を提供することで、少しでも多くの人が事の重大性を理解、認識していただきたいと思っております。

誰でも言及するような過去15年程度を検証するというような視点でなく、30年近く前まで遡及して、どこで、どんな政策で道を間違えたかを究明しなければなければなりません。日本人には無理で、アメリカ式究明委員会でしかできえないのかもしれませんが・・・

もはや 時を失ってしまつたことではありますが、日本が新首都移転と経済の構造改革をそれなりのタイミングで決行していたならば、これから起こるであろう未曾有のことを経験しなくても済んだのにという思いが、私にはあります。

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