[介護研修会] 第2回 介護に関する研修会開催 (2010年3月24日)

 第2回研修会も、第1回と同様、わっく室蘭(社団法人 長寿社会文化協会・室蘭支部)の鈴木健生氏を講師に、「医療と介護の違い」に始まり、 「認知症の症状と対処」、そして「対話(コミュニケーション)」についてお話し頂きました。
以下にその概要を記します。

 医療とは、病気や変調をきたし機能障害が生じた時に、その体を治すこと。
それに対して介護は、治療が一段落した段階で、なお能力障害(能力の低下)があり社会参加が困難な状況にある時に、 本人の心と体の自立に向けて支援すること。
医療がカバーしきれない分野を支援するのが介護の役目と言えます。

 その際、その人の置かれている生活・住宅環境、また介助者の有無、さらには個人的にどのような生活価値観を持っているかなどを把握する。
そこで重要となるのが介護者と介護を受ける相手との関係である。
つまり対話(コミュニケーション)が、互いの理解、意思の疎通に欠かせないものとなります。

 この点について鈴木氏は、ご自分の体験を基に分かりやすく、お話しくださいました。
コミュニケーションには3つの型があり、
 @一方的関係
 A相互関係
 B循環的関係→自己内対話の重要性に分類されます。
このうちの循環的関係について記します。

 基本となる介護者の姿勢は、自分が介護を受ける人の目にどのように映っているかを考える。
相手の声に耳を傾け、相手が何を望んでいるかを理解する。
相手の要求に応えるのが難しいと感じる時にもダメと一方的に決めつけず、どうしたら良いかとその対処法を考えることが大事。
自分の価値観ばかり押しつけず、相手の思いを活かそうとする態度が望まれます。

 鈴木氏はご自分の経験から、自己内対話の重要性とは、
@自分がこのように話したら、相手はどのような気持ちになるのかを考える。
相手の話や価値観、生活環境などに配慮し、相手の身になって思うことが大事。
その時、自分の価値観を優先せず、時には自分とは正反対の価値観を優先することで、互いの心が通い合う道が開けることがある…と具体的な例で説明してくださいました。

 今回の研修は介護にとどまらず、私たちの毎日の生活の中で、どのように人との絆を深めることが出来るかを再度学ぶことができました。
再度とはいえ、やはり対話とは難しい。
相手が身近な存在であればある程に、頭では分かっていても身についていない。
意識せずに何気無く、気の向くままに言葉を口にし、相手を傷つけてはじめて気付く事もしばしばです。

 介護は心を診るとよく言われます。
相手の気持ちに寄り添った言葉がけを日々心掛けたいものです。
自分の中に、優しい言葉、温かい言葉、心地よい言葉を増やしていけたら幸せです。

 受講した当会90歳のシスターは、
「ヘルパーさんと利用者さんのコミュニケーションが徐々に深まってゆく過程がよく分かり、胸が一杯になりました。
互いの葛藤を超えて、利用者さんの気持ちをどうしたら満たすことができるのかと試行錯誤するヘルパーさんとわっくの皆様の姿が深く心に焼きつきました。
この姿こそ介護の心髄ではないでしょうか。」
と感動の言葉を述べていました。

 オブレートの皆様、共に、

 キリストのように考え、キリストのように話し、
       キリストのように行い、 キリストのように愛そう


 を合言葉に、勇気を持って挑戦してみませんか。 

[ 介護研修会 ]