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化学なんて大嫌い!という人のための 風変わりなヒント
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 創刊号(2004.4.17発行)



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   化学なんて大嫌い!という人のための
              風変わりなヒント  創刊号
                 2004年4月17日発行

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 <目次>
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 1.一風変わった化学の授業
        〜 モルについて その2

 2.化学をつくった人たち
        〜 アルフレッド・ノーベル

 3.あとがき
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  1.一風変わった化学の授業
           〜 モルについて その2 〜
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 ※ 〜モルについて その1〜 はこちら(創刊準備号)にあります。

 ○今回の話については、その1を読んでいなくても大丈夫ですが、簡単
  な内容なので、読んでもらえればうれしい限りです。

  ただし、登録されるときにホームページをご覧になった方は同じ内容
 ですので必要ありません。



  それでは、はじめます。

  「モル」は「物質量」を表す基本単位、ということになっています。

  素直に考える人ほど、この「物質量」という言葉にひっかかるものを
 感じると思います。


 「物質量」という言葉を聞いたとき、頭のなかでは、

   物質量=物質(もの)の量 と考えて、

   お米の量はkg、ペットボトル入りのお茶の量ならミリリットル。
   だから、物質量もkgとかミリリットルみたいな単位のはず。

 というように考えると思います(それも一瞬で)。


  ところが、もう少し説明を聞いていくと、kgやミリリットルなどと
 いった単位とはどうも違うみたいだし、

  いろいろな本には、「鉛筆12本をひとまとめにして1ダースと表す
 のと同じ」なんて書かれていたりします。


  「物質量」という言葉からすぐに思い浮かぶイメージと、「鉛筆12
 本で1ダースと同じ」、がすぐに結びつかなくて、頭のなかが混乱して
 くるわけですね。


  こんなふうによくわからなくなったときは、もう一度原点にもどって
 みるといいと思います(堅苦しい表現なのでさらっと読み流してくださ
 いね)。


  アボガドロ数(6.02×10の23乗)に相当する数の粒子の集ま
 りを1モルとする。
 (ここでアボガドロ数というのは、質量数12の炭素原子12g中に含
 まれる炭素原子の数)。

  というのが「モル」の定義でした。


  これを見ると「モル」は、むちゃくちゃ大きな数をひとまとめにする
 ことと関係があるんだ、ということと、
  「モル」っていう単位は(粒子の)数を数える単位なんだ、というこ
 とがわかると思います。


  そして、この「モル」という単位は、質量(g)や体積(リットル)
 とうまく関連するようになっているんです。


  どういうふうに関連しているのか、というのを順番に考えてみると
 こうなります。
  ( )内は具体例です。


 1)ある粒子を一定の質量分だけ集めます。
  (たとえば水素分子2g分だけ集めてきます)
          ↓
 2)この中にある粒子の数は何個?
  (水素分子として6.02×10の23乗個=1モル)
          ↓
 3)体積はどれくらいになるの?
  (0℃、1気圧だと22.4リットル)

  というように段階的に求めていくことができます。
 (もちろん考える順番は3)→1)のように体積からはじめてもかまい
 ません)


  そしてここまで関連づけられると、あとは質量、モル、体積のどれか
 がわかればその他のものを求めることができます。


  たとえば、ある条件のもとで、なかみのわかっている気体の体積が測
 定できれば(そのなかに入っている気体の分子の数がわかるので)すぐ
 にその質量がわかってしまいます。


  このように、粒子の数と、実際に測定する質量(g)や体積(リット
 ル)とが、お互いにうまくつながるようなものとして「モル」をとらえ
 ることで、かなり気が楽になると思います。


 ※ただし、ここでの気体は「理想気体」という、めんどくさいものをす
 べて省いてしまった「仮想の気体」で考えたときのお話です。

  でもここで、「理想気体かそうでないか」などと言って難しくしても
 しょうがないので、とりあえずこういうものなんだ、と思ってもらえば
 十分です。


 ----------------------
 ☆今回の小さなまとめ☆
 ----------------------

  「モル」は粒子の数を数えるための単位。
  質量(g)や体積(リットル)とうまくつながるようになっています。


  次回は 〜 周期表について 〜 をお送りします。


 ────────────────────────────────
  2.化学をつくった人たち
       〜 アルフレッド・ノーベル 〜
 ────────────────────────────────

  今回はアルフレッド・ノーベルを取り上げます。
  ダイナマイトを発明した人、あるいはノーベル賞を創設した人として、
 知らない人はほとんどいないほど有名ですが、どんな人生を生きたのか
 は以外にもあまり知られていないようです。


  アルフレッド・ノーベルは、1833年にスウェーデンのストックホ
 ルムで生まれました。
  生まれたときから大変病弱で、外で友達や仲間と思いっきり飛び回る
 といったことには縁がない少年でした。
  その代わりというと誤解があるかもしれませんが、勉強の方は常にト
 ップで「模範生」だったようです。


  父親の破産の影響から、生活の方はかなり大変だったらしく、母親が
 一日中働いてぎりぎり一杯の状態でした(親戚に援助してもらって、な
 んとかやっていたときもあったようです)。

  そんな状態がしばらく続いた後、家族を残してロシアに渡っていた父
 親が事業で成功し、ロシアの首都サンクトペテルブルグに一家全員で移
 り住みます。

  そこで二人の兄とともに優秀な家庭教師をつけてもらい、さらに勉強
 を重ねていきます。

  様々な人文科学や、自然科学の教養を身につけると同時に、スウェー
 デン語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、英語の5カ国語を自由に操
 れるようにもなりました。これが後になって事業の成功に非常に役立つ
 ことになります。


  成長したノーベルは父親の事業(主に機雷や地雷などの軍事関連製品
 を製造していました)を手伝うようになりますが、兄弟のなかでもとり
 わけ優秀だった彼は、ヨーロッパ、アメリカに遊学し、様々な影響を受
 けて帰ってきます。


  その後、従来の火薬、爆薬より強力な爆発性を持つニトログリセリン
 という化合物の存在を知り、大変興味を持ちました。

  しばらくしてスウェーデンに戻り、またしても破産してしまった父親
 と一緒にこのニトログリセリンを世の中に広めるための実験を重ねてい
 くことになるわけです。


  ニトログリセリンは、ちょっとした刺激でも爆発するので取り扱いが
 大変難しいと思われていましたが、その強力な爆発性は必ず役に立つと
 ノーベルは思っていました。

  鉄道を敷く際に必要となるトンネルの掘削や、鉱山での鉱石の掘り出
 し作業などにおいて、従来の黒色火薬(※1)では威力の足りないこと
 が多かったからです。

  しかしこの化合物は、製造時や輸送中においてしばしば事故を起こし
 ました。ノーベルのすぐ下の弟はニトログリセリンを製造する時に起き
 た事故で亡くなっています。
  有用ですが扱いのやっかいな化合物であることは明らかでした。


  そこで、彼はニトログリセリンを安全なものとして使用することはで
 きないだろうかと考え、いろいろな検討を行います。
  数多くの実験を繰り返した後、最終的にニトログリセリンを珪藻土
 (けいそうど:※2)に吸収させることで、安全に取り扱えることを見
 つけました。
  これが有名なダイナマイトです。

  使いやすくて安全なダイナマイトは、またたく間にヨーロッパはもと
 より、アメリカなどの多くの地域で使われるようになり、その結果とし
 て、彼の事業は成功していきます。



  そんな成功した彼ですが、非常に複雑な内面をもった人物だったよう
 です。

  少年時代は文学の道に進むか、それとも事業家になるかについて、か
 なり迷ったようですが、そのときの家庭的な事情もあって文学の道はあ
 きらめ、事業に関わることになりました。

  現在まで残っている手紙を見ていくと、詩人のように繊細な感性を持
 つ人だったことがわかります。

  また、ノーベルは理想主義的な考えの持ち主でもあったため、純粋す
 ぎるがゆえに世間からのいろいろな中傷に傷つくことが多かったようで
 す。

  特にダイナマイトをはじめとする爆薬が次第に軍事目的にも利用され
 ていくなかで、「死の商人」などというレッテルを貼られることがもっ
 とも悔しかったに違いありません。

  軍事目的のために爆薬を開発したのではない、という思いは人一倍強
 かったのではないかと思います。


  このような背景を考えていくと、なぜノーベル賞に文学賞や平和賞が
 あるのか、ということもなんとなくわかってきます。

  彼の生きている間は新聞などでの非難や批判が多かったことと思いま
 すが、自分の理想を後世に伝えていくという意味で、彼ほど世の中に貢
 献した人物はいないのではないでしょうか。

  社会の矛盾と弱い立場の人への思いやりを終生忘れなかった人だった
 と言われています。



 ○ 簡単な用語紹介

  ※1 黒色火薬(こくしょくかやく)
   硝酸カリウム(硝石)、硫黄、木炭からなる火薬。現在では導火線
   や花火の原料としても用いられる。

  ※2 珪藻土(けいそうど)
   細かい無数の穴があり、液体の吸収やろ過が良好な物質。
   植物プランクトンの一種である、珪藻の死骸などが堆積してできた
   土や岩石。


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  3.あとがき
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  化学のことばには、昔から使われてきたものや、英語の直訳などがい
 ろいろと混じっているので、直感でイメージするのと違うことが多いで
 す。

  また、同じ化合物なのに名前の呼び方が何通りもあったりしますので、
 覚えることばっかりだ、とどうしても思ってしまいます。

  そういうことが、「化学なんて大嫌い!」という人を多くしてしまう
 原因のひとつなのかもしれませんね。



  ※参考文献はこちらにまとめてあります。興味がありましたらどうぞ。
   → http://www13.plala.or.jp/chem-hint/reference.html

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  ◇◇ 化学なんて大嫌い!という人のための          
                    風変わりなヒント ◇◇
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