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化学なんて大嫌い!という人のための 風変わりなヒント
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 第4号(2004.5.29発行)



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   化学なんて大嫌い!という人のための
              風変わりなヒント  第4号
                 2004年5月29日発行

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 <目次>
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 1.一風変わった化学の授業
     〜 電気陰性度と分子の極性について

 2.化学をつくった人たち
     〜 スバンテ・アレニウス

 3.あとがき
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  1.一風変わった化学の授業
           〜 電気陰性度と分子の極性について 〜
 ────────────────────────────────

  電気陰性度については、高校の授業などではさらっと説明があって、
 それでおしまいのようなところがありますが、把握しておくと化学を理
 解するのに役立つとっても便利な考え方です。

  でも電気陰性度という用語を覚える必要はまったくありません。


  電気陰性度というのは、簡単に言うと「原子が電子をひきつける度合
 い」のことで、それを比較しやすいように数値で示したものです。
 (数値が大きいほど電子をひきつける度合いが強くなります)。

  「電子をひきつける度合い」は、別の方向から考えると「(電子をひ
 きつける度合いが弱いために)電子を手放しやすいか、(反対の理由で)
 手放しにくいか」ということになります。

  電子を簡単に手放してしまう原子は、陽イオンになりやすいと言えま
 す。反対に電子を手放しにくく、もっと抱え込みたい原子は陰イオンに
 なりやすいと言えます。

  またそこまで極端ではない原子でも、電子をひきつける度合いには、
 ある程度の違いがあります。

  この違いによって、どういう化学結合をつくるか、ひいてはどんな性
 質の化合物になるか、が決まってきます。

 A)結合をつくる原子の間において、電子をひきつける度合いに大きな
  差がある場合には、どちらかというとイオン結合をつくりやすいと言
  えます。

 B)結合をつくる原子の間において、電子をひきつける度合いにそれほ
  ど大きな差がない場合は、どちらかというと共有結合をつくりやすい
  と言えます。

  ただしイオン結合、共有結合などといっても本当ははっきりと区別で
 きないことを頭の片隅に入れておいてください。
 (例えば水分子中のO−H(酸素−水素)結合について考えたとき、ど
 ちらか一方の結合だと決めることはできないんです。イオン結合のよう
 なところも共有結合のようなところもあるからです。)



  また、「電子をひきつける度合い(電子を手放しやすいかどうか)」
 が把握できていると、後の方で出てくる項目の理解が早まります。

  例えば、広い意味での酸化・還元について考えてみます。

  酸化・還元の定義を少し簡単に書いてみると、

   1)酸化される:相手に電子をあげる(=相手を還元する)
   2)還元される:相手から電子をもらう(=相手を酸化する)

 ということになります。

  これと、少し上に書いた「電子をひきつける度合い(電子を手放しや
 すいかどうか)」をあわせて考えると、

 1’)どちらかというと電子を手放しやすい → 酸化されやすい
 2’)どちらかというと電子を手放しにくい(抱え込みやすい)
   → 還元されやすい

 ということになり、どちらが酸化(あるいは還元)されるのかが簡単に
 判断できます。



  さらに、電子をひきつける度合いの差が小さくても、その度合いに差
 があることで、電子が片方の原子にかたよる傾向が現れます。

  例えば水分子のO−H結合では、電気陰性度に差があるので、どちら
 かというと酸素原子の方に電子がかたよっています。簡単な図で書くと、

   δ- δ+
    O−H
   3.5 2.1 ←ポーリングの電気陰性度の値

 のようになります(δ-は微妙に電荷がマイナス、δ+は微妙に電荷がプ
 ラスであるというくらいの意味です)。

                             δ-
  実際の水分子は、 O  のような形をしていますから、 O
          / \               / \
         H   H             H   H
                           δ+   δ+
 のように微妙な電荷のかたよりがあることになります。

  そして水分子のように、分子全体を見たときに電荷のかたよりがある
 ものを極性分子、かたよりのないものを無極性分子と言います。


  ・極性をもつものは極性をもつものと混ざりやすい(溶解しやすい)
  ・無極性のものは無極性のものと混ざりやすい(溶解しやすい)

 という性質がありますが、水と油は混ざりにくいというのはおおざっぱ
 に言うとこのことからきているわけです。

  一般的に油といわれているものはC−H(炭素−水素)結合がかなり
 の割合を占めています(もちろん全部というわけではありません)。

  C−H結合は以下のように電気陰性度にあまり差がないため、電荷の
 かたよりがほとんど生じません。

   C−H
   2.5 2.1 ←ポーリングの電気陰性度の値

  そのため、極性のあまりない(低い)分子となるので、極性分子であ
 る水とは混ざりにくいというわけです。



  またここでは詳しく書きませんが、電子のかたよりが水素結合や配位
 結合のもとになっているとも言えます。


  有機化合物では、電子をひきつける度合いの違いによって分子内での
 電子のかたよりができることから、性質や反応性に特徴が出てきます。

  どの部分が反応しやすくてどの部分が反応しにくいかを予想するのに
 も役立ちますので、有機化学では電子のかたより具合を知っておくこと
 はかなり有用です。


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 ☆今回の小さなまとめ☆
 ----------------------

  電気陰性度は「電子をひきつける度合い」のことです。
  この考え方を把握しておくと、後々いろいろな事柄がとっても楽に理
 解できると思います。

  次回は 〜 気体について 〜 をお送りします。


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  2.化学をつくった人たち
       〜 スバンテ・アレニウス 〜
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  今回はスウェーデンの化学者、スバンテ・アレニウスを取り上げます。
  1903年のノーベル化学賞を受賞しています。


  1859年に生まれたアレニウスは、小さい頃から非凡な才能を示し
 ました。3歳のときには読書を始め、8歳で学校に入ったときは飛び級
 でいきなり5年級に入れられるという神童ぶりだったそうです。

  大学に進んでからは、化学の根本的な原理を見出していく物理化学に
 興味を持ちました。

  学位論文には電解質溶液の電気伝導度についてまとめたものを提出し
 ます。


  それまでの一般的な考え方では、溶液中の電解質は電場をかけたとき
 だけ電離するもの、というのが常識でした。

  アレニウスは、電解質が電場をかけてもかけなくても溶液中では「一
 定の割合で電離している」ことを、様々な電解質溶液の電気伝導度を測
 定することにより示しました。

  これは現在のイオンについての考え方のもとになる画期的なものだっ
 たのですが、学位論文審査においては最低の成績しかもらえず、ほとん
 ど評価されませんでした。


  しかし偶然この論文を目にとめたオストワルトが、自ら確認実験を行
 ってその正しさを確認したことがきっかけで、少しずつ評価されていく
 ようになります。

  オストワルトに励まされながら、学位論文をもとに内容を充実させて
 発表したのが電離説です。

  電解質が溶液中で電離していると考えることで、電解質溶液に特有の
 ふるまい(ファント・ホッフの示した浸透圧に関する式や沸点上昇、凝
 固点降下などでの例外的な傾向)をうまく説明できるようになりました。

  これにより、彼はノーベル化学賞を受賞することになります。


  この他にもアレニウスは、化学反応における活性化エネルギーの存在
 を示したり(反応速度におけるアレニウスの式)、二酸化炭素の温室効
 果を示したりなど、いろいろな功績を残します。

  従来の常識にとらわれない、豊かな発想の持ち主であったことがうか
 がえますね。


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  3.あとがき
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  化学のメルマガを書いているのだから、高校のときから化学が得意だ
 ったのだろうと思われがちですが、当時の化学の成績はあまりほめられ
 たものではありませんでした。

  どちらかというと文系の科目の方が成績がよく、理系科目は散々だっ
 たことを思い出します。

  それでも化学が好きでしたし、やってみたいと思っていたので、大学
 は化学系に進むことにしました。

  成績から考えればどう見ても文系ですから、もちろん入学試験は大変
 でした(1年余計にかかっています)。

  でも大学に入ってからは好きなことが勉強できたのでとても楽しかっ
 たです。


  私は変わった部類に入るのかもしれませんが、何かの参考になればと
 思って恥ずかしい思いをしながら書いてみました。



  ※参考文献はこちらにまとめてあります。興味がありましたらどうぞ。
   → http://www13.plala.or.jp/chem-hint/reference.html


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