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化学なんて大嫌い!という人のための
風変わりなヒント 第36号
2011年3月31日発行
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<目次>
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1.一風変わった化学の授業
〜 ヨウ素について 〜
2.化学をつくった人たち
〜 ※今回は都合によりお休みです。 〜
3.あとがき
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1.一風変わった化学の授業
〜 ヨウ素について 〜
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今回は、ヨウ素を取り上げます。
ヨウ素デンプン反応の実験で、一度は関わったことがある元素だと思
います。
ヨウ素の概要と性質
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1811年にフランスのクールトワが、多量の海藻灰の抽出液を硫酸
で処理し、紫色の結晶を得ました。
これが最初のヨウ素の発見となります。
その後の1813年にゲイ・リュサックらによって詳細な研究が行わ
れ、蒸気が紫色であることから、ギリシア語のioeides(紫色)にちな
んでヨウ素と名づけられました。
ヨウ素の地殻中の含有率は0.14ppmであり、それほど多い方ではあり
ませんが、海水や海藻などから容易に得ることができます。
ちなみに海水中のヨウ素の含有率は0.06ppmであり、海藻の灰からは
約0.5%ほどのヨウ素が得られます。
単体のヨウ素は、常温で光沢のある暗紫色の固体で、融点は約114℃
ですが、加熱していくと融解する前に紫色の蒸気となって昇華します。
ヨウ素は、周期表では塩素や臭素と同じ17族(ハロゲン)に属し
ており、反応性の高い元素ですが、塩素や臭素よりは反応性が低くなり
ます。
水にはあまり溶けませんが、有機溶媒にはよく溶ける性質があります。
※ヨウ化カリウムが共存すると、水への溶解度が増大します。
また、デンプンと容易に反応して青紫色を呈します。
(ヨウ素デンプン反応として有名です)。
この反応は、デンプンあるいはヨウ素が微量でも鋭敏に反応します。
デンプン分子の分子鎖がつくる「らせん構造」の空洞内に、ヨウ素
分子が取り込まれることで色が発現すると考えられています。
ヨウ素の製法と用途
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ヨウ素の工業的製法としては、
1)地下水に含まれるヨウ化物イオンを、塩素で酸化することでヨウ
素が得た後、これを昇華によって精製する方法
2)チリ硝石に含まれるヨウ素の化合物、例えばヨウ素酸ナトリウム
を亜硫酸水素ナトリウムで還元する方法
などがあります。
日本では主に1)の方法を用いており、世界で有数のヨウ素生産国と
なっています。
実験室での製法としては、ヨウ化カリウムと重クロム酸カリウムとを
加熱蒸留するか、ヨウ化カリウム溶液を硫酸銅で酸化すると得られます。
ヨウ素は、試薬や医薬品として広く用いられています。
ヨウ素価測定法、酸化還元滴定法などの分析用試薬や、医薬品として
はヨードチンキ(ヨウ素とヨウ化カリウムの水/エタノール溶液)、ル
ゴール液(ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液)などの医療用消毒剤として使
用されています。
ヨウ化銀は、高感度の写真感光材料として、また人口降雨の凝結剤と
して使用されています。
またヨウ化メチルは、有機合成においてメチル化試薬として広く用い
られています。
少し意外なところでは、タングステンをフィラメントとする白熱灯
(ハロゲンランプ)にヨウ素は封入されていて、タングステンが蒸発し
てガラス壁に付着するのを防ぐ役割を果たしています。
※どちらかというと、単体のヨウ素よりはヨウ化物の形で用いられる
場合が多いようです。
ヨウ素の放射性同位体
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天然に存在するヨウ素は、安定同位体である質量数127の1種類だ
けですが、多くの放射性同位体が確認されています。
代表的なものとしては、質量数125、126、131のヨウ素が
挙げられます。
質量数125のヨウ素は主に放射線治療用として、また質量数126
のヨウ素はトレーサーとして利用されています。
質量数131のヨウ素は、核分裂の際に多量に生成する核種として知
られています。
※以前は質量数131のヨウ素がトレーサーとして用いられていまし
たが、現在その役目は質量数125、126のヨウ素に置き換えら
れています。
質量数131のヨウ素の半減期は約8日と比較的短いですが、もし人
間がこの放射性ヨウ素を取り込んだ場合、取り込んだ量の約30%が甲
状腺に集まることから、甲状腺腫瘍や、甲状腺機能の低下の原因となり
ます。
これは、放射性同位体のヨウ素であっても、同じように甲状腺に取り
込まれる性質があるためです。
ヨウ化カリウムを錠剤などであらかじめ服用しておくことで、ヨウ素
の放射性同位体の取り込みをある程度防ぐことができますが、これにつ
いては副作用もあるため慎重な対応が必要となります。
必須微量元素としてのヨウ素
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哺乳動物の甲状腺にはヨウ素が不可欠ですが、これは甲状腺から分泌
される成長ホルモンであるチロキシンやチロニンにヨウ素が含まれてい
るためです。
体重70kgの成人には約12〜20mgのヨウ素が存在しています。
(なお、体内に存在するヨウ素の多くが甲状腺に集まっています)。
ヨウ素の一日の必要量としては、成人で0.2〜0.5mg程度です。
ヨウ素の欠乏は甲状腺機能の低下(具体的には甲状腺ホルモンの欠乏)
を招きます。
もし胎児や新生児において甲状腺ホルモンが欠乏すると、知能の遅れ
や発育障害を引き起こすことになります。
ただ、ヨウ素は海産物に多く含まれており、野菜などからも摂取でき
るので、日本ではヨウ素の欠乏症はほとんど見られないのが実情です。
※地球上でヨウ素が不足しがちな地域においては、食塩に微量のヨウ
化物を添加することで対応しています。
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2.化学をつくった人たち
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今回は都合によりお休みです。
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3.あとがき
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ここのところ原発関連のニュースがいつもトップニュースですね。
放射能や放射線といったものは、目に見えないものなので、感情で
判断すればどうしても怖いと感じてしまいます。
でもこういうときこそ理性で判断していくことが大切だとつくづく
思います。
いろいろな情報がありますが、自分なりに冷静に判断できるように
なるために、やっぱりもっと勉強が必要だなぁ、と痛感しているとこ
ろです。
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・発行者 後藤 幹裕
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