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障害児の高校進学 |
いっしょに楽しも・・高校も
-「0点でも高校へ」-
千葉「障害児・者」の高校進学を実現させる会
この会は、高校へいきたいと願う全ての子どもの高校進学の実現を目指して活動している会です。
問い合わせ先
障害があっても小中学校でともに学び育ってきた生徒たちは、あたりまえに高校の扉をたたきます。
一緒に育ってきた友達と一緒に高校にも行きたい。
ほかの若者と同じように新しい友達を作りたい。
高校生活を満喫したい。
この願いを受け止めることができるような高校であってほしいと願っています。
>> 注目記事 <<
2024/8/27 千葉県内の全公立高校に「2024年公開質問状(第30回)」を送付しました
各高校におかれましては、お忙しい中恐縮ですが、9月末日までにご回答いただけますようお願いいたします
いただいた回答は、会報「そのうちぽっと」に掲載させていただきます
「2024年公開質問状(第30回)」はこちら
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千葉県では「0点でも高校へ」の25年間の運動でこれまで113人が合格。
100人超えを記念して集会を行い、当事者の声を中心に記念誌にまとめました。
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>> 掲載記事 もくじ <<
★今後の予定
★要望書
2018/6/26県教委宛て2018年度要望書
2017/6/2県教委宛て2017年度要望書
2016/5/23県教委・知事あて
福祉・教育行政の公平性に基づき、公立高等学校の「定員確保」の協議と遵守を求める要望書
2016/5/23県教委宛て2016年度要望書
2015/5/27県教委宛て2015年度要望書
2014/5/28県教委宛て2014年度要望書
2013/5/29県教委宛て2013年度要望書
2012/6/6県教委宛て2012年度要望書
2011/6/1県教委宛て2011年度要望書
2010/5/26
県教委宛て2010年度要望書
2010/3/12緊急措置を求める要望書
2009/9/7エレベーター設置要望書(県知事宛/県教育長宛)
2009/5/25
県教委宛て2009年度要望書
2009/1/7高校入試に関する要望書
2008/5/21
県教委宛て2008年度要望書
2005/7/14ノーマライゼーションの進展に対応した千葉県の障害児教育の検討に対する要望書
公開質問状
2023/9/1第29回公開質問状 Word
2022/9/1第28回公開質問状 Word
2021/9/1第27回公開質問状 PDF
2020/9/7第26回公開質問状 PDF
2019/9/2第25回公開質問状 PDF
2018/9/1第24回公開質問状 PDF
2017/9/1第23回公開質問状 PDF
2016/9/1第22回公開質問状 PDF
今後の予定 *どなたでも参加できます。
🔶🔶🔶高校入試、自己申告書・特別配慮申請書勉強会🔶🔶🔶
2024年9月28日(土)13:30~16:00
千葉市きぼーる 15階 活動室
資料代 300円
★10月定例会★
2024年10月12日(土)13:30~15:30
千葉市中央コミュニティセンター 部屋未定
★今後のの定例会予定
2024年→11/9(土)、12/14(土)、
2025年→1/11(土)、2/8(土)、3/8(土)
●県教委交渉●
日時:2024年12月17日(火)15:00~17:00
場所:未定
●今後の県教委交渉予定
2025年→3/4(火)、3/14(金)
■『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2020/6/30に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2020年度要望書の内容を掲載します。
誰もがあたりまえに高校生になるための要望書
貴職におかれましては、日頃より千葉県の子供の教育のためご尽力いただいていることに敬意を表します。コロナで学校生活は突如奪われ、改めて“みんなと一緒に学ぶ事の大切さ”を誰もが実感していると思います。
貴職と当会は長い時間話し合いを重ね、一歩ずつ障害のある生徒への理解を深めてまいりました。小中学校でみんなと一緒に育った子供たちは毎年当たり前に高校生になれるものと信じ受検します。しかし昨年度の受検においても、障害のある生徒に理解を示すどころか、「何故受検しに来たのか」と言わんばかりの対応をされる学校長も一人や二人ではありませんでした。
そして千葉県は平成26年12月に「定員の遵守に努める」と掲げながら、今年も当然のように定員内不合格者をだし、高校生にすらなれない子を生み続けています。
特に、重い知的障害のある生徒がいくら受検しても落され、結果、浪人せざるを得ないという現状は、公平公正を謳いながら入試制度そのものが構造として差別です。
障害に関係なく、千葉で生まれ、同世代の子と地域の高校で共に学ぶ。そんな当り前の権利が自分たちの手から奪い取られることに対して、私たちは声を挙げなければなりません。自らが声を挙げなければ何も変わりません。
“ここにあなたは居るべきではない”と一度でも言われた事がある人にとって、『分けられる』ことの悲しさ、悔しさ、惨めさは人としての尊厳を踏みにじられ、心に深い傷となります。そんな傷をこれから同じ道を通る子供たちにして欲しくありません。なぜ他の子と同じ高校に行けないのか。私たちには他の人と同様に一般教育を享受する権利があります。誰もがあたりまえに高校生になるために問題を解決すべく強く訴え、以下要望いたします。
なお要望に対する回答は2020年7月22日までに一問一答形式の文章で回答をお願いします。
最後に、私達の大切な仲間である渡邊純さん。純さんは高校生になりたいと7年間受検し続けましたが、無念にもその願いは叶いませんでした。その受検を支えたお母さんの手記を最後に掲載いたします。
【2019年11月17日。純が21歳で大空に旅立って7ヶ月が経ってしまいました。
純はただ ただ 普通に生きたかっただけでした。けれども純の目の前には常に理不尽な壁が立ちふさがっていました。純はその壁に毅然と
立ち向かっていきました。
ありのままの姿で当たり前にみんなの中で生きることを貫いた純の人生を誇りに思います。もちろん、それは同級生やたくさんの方々に支えて
いただいたからこそ出来たことでした。本当に感謝申し上げます。
2013年から7年に渡り受検し続け通算27回。そのうち25回定員内入学拒否にされながらも決して諦めることなく「高校生になりたい」と受検に 向かっていました。
しかし、純が7浪で臨んだ今年の受検は天国での成人の受検となってしまいました。
純はこの受検にどんな思いで臨んだのか、おわかりになるでしょうか。そして純はようやく天国で合格通知を手にして高校生になりました。
でも、障害者差別を受けなければ、こんなに長く理不尽な思いをせずに、みんなと一緒に高校生になれたはずでした。
千葉県教育委員会の方々、高校の校長先生・先生方、「当たり前に普通に生きたい子どもたち、高校で学びたい子どもたちの心に寄り添い
一緒に生きて下さい。もうこれ以上、理不尽な障害者差別はやめて下さい。」
どうか「純の命懸けの声」に真摯に耳を傾けて下さい。心よりお願い致します。
渡邊純の母より】
要望事項
1、【希望者全員入学を求めます】
1、高校進学を希望する全ての生徒が学べる募集定員を設定し、全ての生徒に後期中等教育を受ける機会を保障すること。
2、画一的な適格者主義を見直し、選抜に当たっては多様で多元的な視点を持ち、個々の子供の特性を評価し、様々な人が共に学びあうための選抜とすること。
3、『入学者選抜実施要項』の選抜方法に記載されている「各高等学校の教育を受けるに足る能力、適性等を総合的に判定して入学者の選抜を行うものとする。」という文言は平成5年(1993年)に『高等学校入学者選抜について』(文初高第243号)の通知文です。平成11年(1999年)中央教育審議会答申(第2章第4節)で『一律に高等学校教育を受けるに足る能力・適性を有することを前提とする考え方を採らないことを明らかにした。』とすでに考え方も変化しています。H5年の文言は削除し、多様性を認め合う共生や持続可能社会にふさわしい言葉に変えること。
4、現在の入試制度は障害のある生徒にとって著しく不公平なものです。2019年交渉において記述式ではなく全問選択方式の導入を要求しましたが受入れられませんでした。聴覚障害のある人がヒアリングを求められてもできません。知的障害があれば点数が取れないかもしれません。例えばアレルギーのある人にアレルギーのあるものを公平公正でなくなるから形を変えて食べろとは言わないし、不公平だといいません。しかし今の入試制度は特別配慮申請の内容さえ満たせば障害のある生徒は、障害のない生徒と同等とし、全て点数化され比べられ、「学校の期待する生徒像」でなければ定員が割れていても不合格とされています。文科省も選抜方法の多様化・選択尺度の多元化などが課題とし、「入試選抜の改善方策」として“学力検査を実施しない選抜”など様々な道が開かれるべきである。と提言しています。どんな障害があっても入学が出来ることを前提とした入試選抜方法のあり方に見直すこと。
5、入試制度を見直すにあたって、すでに「定員内不合格」を出さないとしている他府県『東京都』や『大阪府』の取り組みを参考にするため資料を取り寄せ、千葉県でどう行えるのかを検討すること。
6、知的障害で入学後の学習が他の生徒と同じように行えない場合でも、評価の方法を多様で多元的に捉えることで、何ら問題がないことを各学校長に示し周知すること。また周知するための通知文や指導が具体的にどういうものかを示すこと。
2、 【「定員遵守」の徹底を求めます】
1、「定員の確保」と「定員の遵守」という言葉は同じようであって異なります。「確保」は定員内に収まることを意味し、「遵守」はあらかじめ設定した人数を守ることです。教職員の人員配置は入試時には決定されており、例え定員が割れても職員の異動はないと教職員課からのご回答でした。定員が遵守されないということは、その予算は県民の税金によるもので、子供たちの教育の機会を奪うだけでなく、費用の面からも損失です。これまで貴職は「募集定員は県民に公約した数字である」と何度も明言し、2019年10月16日にも確認しています。公約を果たし「定員の遵守」を徹底すること。
2、令和元年(2019)の受験結果は全日制763人 、定時制で451人の空席でした。しかしこの数字だけでは、この中に高校進学を希望して、最終的に高校生になれなかった子供の数が何人いたのかが不明です。進学を希望したのに公立高校で入学拒否され進学できなかった子の人数を明らかにすること。
3、H26年(2014)12月に「定員内不合格0を目指す」としてから6年経ちます。
貴職は各研修および通知等において学校を指導しているとのことですが、従来の方法では不十分であることは数字により明らかです。より一層周知徹底させるための新たなる手段を講じ、その内容を示すこと。
4、「定員の遵守に努める」としながらそれを守らない高校に対して、校長の考えだけに頼らない仕組みをつくること。そのためには県教委は設置者としての責任を持ち、差別に対して偏った考えを持つ校長がいると想定し、「定員内不合格」を出す前に、学校側は県教委に報告し、事前協議を行う仕組みをつくること。県教委と学校が一体となって、千葉県の公立高校で教育を受ける権利が誰一人として奪われないようにすること。また出した校長には指導を行い、生徒や保護者に対する差別的な対応や校長の行き過ぎた裁量権の行使に対して処分の対象とすること。
3、 【医療的ケアが必要な生徒も安心して高校生活が送れるための環境を求めます】
1、「医療的ケアのガイドライン」について、2019年指導課より「作成に向け準備を行っている」と回答されました。
「ガイドライン」の作成準備には十分な時間が経過しております。作成された内容を明らかにすること。
2、まだ「ガイドライン」が現段階においても未作成の場合、2019年指導課より「ガイドライン作成の担当部署」について質問したところ「教育庁全体での取り組みになる」とのご回答でした。また特別支援教育の「医療的ケアガイドライン」を参考にするとのことでした。各地方自治体では「医療的ケアの必要な生徒」が増えており、それぞれ工夫しながら取り組んでいただいております。県教委は指導監督する立場でありながら、特別支援学校以外の“医療的ケアの想定”はやや地方自治体や担当部署任せになっているのではないでしょうか。議会で“「医療的ケアガイドライン」の必要性は感じている”としながら未だ着手されていないのであればその理由を示すこと。また主となる担当部署を指導課にすること。特別支援学校のガイドラインのままでなく、普通高校のカリキュラムに合わせ他の学生と共に安心して学校生活を過ごせるためのガイドラインとすること。
3、「ガイドライン」により「医療的ケアの必要な生徒」および受け入れる学校側が安心して入試、高校生活を送れるように「ガイドライン」の内容を2020年12月までに学校側へ通達すること。
4、県教委が毎年発信している『入学者選抜における障害のある生徒等への配慮・対応』(資料①)の役割は、今まで障害のある生徒と関わったことがない教職員に対しても、事例を示し理解を深めるための資料であると理解しています。現に「医療的ケア」の必要な生徒も入試を受けており、「医療的ケア」の項目を追加すること。またそのことを多くの教職員に周知し理解を深めること。
5、
6、2019年指導課より、予算の確保への質問に対して『看護師の配置は県教育委員会で配置している様々な非常勤職員としての枠組みを活用する。』との回答でしたが、具体的にどのような枠組みの人材活用を検討しているのかを明らかにすること。
7、2019年指導課より、看護師の手配や日程について、「対象となる生徒が入学許可となった後に、必要に応じて校長からの方針に基づき対応することになります。」との回答ですが、それでは入学してから看護師等の配置に時間がかかることが想定されます。「医療的ケア」は必要な人にとって“生きていくのに必要不可欠なもの”であり身体の一部です。スムーズに看護師や非常勤職員が配置できる目途(ロードマップ等)を示すこと。親の付添いを強要せず他の子と同様に自立した高校生活を過ごせるよう入学当初から環境を整えるための準備を行うこと。
8、受検検査日の看護師等配置について、2019年度県教委は『受検に際しての医療的ケア等については、受検する側の負担においてお願いしたいと思っております。(経費負担(当日の交通費など諸費用)は当事者にお願いしています)』との回答でした。「医療的ケアが必要な生徒」は看護師や交通費など費用負担しなければ千葉県では高校受検すら出来ないのでしょうか。費用等を一方的に個人負担とされるのは、合意形成が取れたとは言い難いものです。県教委は当事者から『合理的配慮』を求められた場合、速やかに各教育委員会と連携しその体制を整えること。また既に中学を卒業している受検者の場合、県教委は保護者と話し合い試験当日不安なく「医療的ケア」が受けられるように手配すること。地方自治体が受検者に対して看護師配置等を認めないケースがあった場合は、県教委は指導助言し、受検者が不安なく受検に臨む環境を整えること。
9、医的ケアの必要な生徒が高校に入学した際、学校教育すべての活動(授業、校外学習、放課後活動等)に参加出来るよう付き添いなしの学校生活を実現させること。
1、H18(2006)年「バリアフリー法」が施行され、年公立の小中学校のバリアフリー整備の義務を課すと改定されました。高等学校は義務ではありませんが、障害のある生徒のみならず、学校は災害時の避難場所や地域での生涯学習や交流の場など公共施設としも重要です。すでに文部科学省や国土交通省などバリアフリーの現状を調査するポイント(エレベーター、手すり、トイレなど)も示しています。全公立高校のバリアフリーの状況を調査すること。またわかりやすい形で県民に公表し、全ての公立高校がバリアフリーの基準を早期に満たすよう計画すること。
2、車椅子ユーザーにとって、エレベーターがあることでアクセスの範囲が格段に広がります。残念ながら全高校にエレベーターの設置はされておらず、車椅子の生徒は、学校の設備から選択せざるを得ない状況があります。誰もが自由に学校選択できるように、全公立高校で早期にエレベーター設置を行うこと。
3、 バリアフリー法の中に“心のバリアフリー”も掲げています。昨年学校見学で車椅子の昇降について「教職員の手が足りないので一切手伝えない」と告げられました。施設面のバリアフリーが出来ていればそのような問題も起きなかったと思います。しかし公立高校はまだエレベーターも設置していない学校が多数あります。障害のある人が社会参加するためには、どうやったら出来るかを一緒に考えてもらう人たちなしで生きていく事はできません。それは普通の人も一人で生きていけないのと同じです。無事入試に合格しても、入学してから色々な問題があるかもしれません。その時は「心のバリアフリー」の視点を持ち常に話し合う姿勢を持つよう全ての教職員に指導すること。
4、昨年、試験問題の文字のフォントについて、様々な書体は識字認識が難しい生徒には難しいので書式を統一して欲しいという意見がありました。ユニバーサルデザイン文字(UD文字)など誰もが見やすい文字で試験問題を作成すること。
5、昨年、記述式解答を廃止し、全て選択式解答に変更することについてどう思うか尋ねたところ、以下のような回答でした。自ら学び思考する力は重要なものでありますが選択方式でなければ解答が難しい生徒もいます。個々に応じて解答方法を変更すること。
6、 既に多くの都道府県では願書などの性別欄を廃止しています。様式を統一することで出来る配慮もあります。千葉県でも積極的に取り入れること。
5、 【「特別な配慮」と「サポート」を混同しないこと、入試選抜の実質的平等のための合理的配慮を行うこと】
1、「特別配慮申請書」は元々保護者が先生方に我が子の事を少しでも知ってもらいたい思いで子供について手紙を書いて渡していた物が、書式化され現在に至ります。しかし今日「特別配慮申請書」はやや形骸化しております。
6、【コロナ禍において過剰な対応を取らないことを求めます】
1、コロナで誰もが不安の中、感覚が過敏な子は長時間マスクが出来ないなど、障害があることで様々な困難があるかもしれません。そのような場合でも過剰に反応せず、よく話し合い、学校生活から不当に排除されたり、分けられたりしないこと。
以上
■『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2018/6/26に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2018年度要望書の内容を掲載します。
「定員遵守」の徹底により中学卒業生全ての進路保障を求める要望書
貴職におかれましては、日頃より千葉県のすべての子どもの人権と教育の保障に尽力いただいておりますことに敬意を表します。
中学を卒業する全生徒の学習権保障の実現に向けて、高校の授業料が無償化され十年が経とうとしています。千葉県においても「千葉県県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」(平成28年12月)および、平成30年度の「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」に「定員の遵守」が明記されました。千葉県教育委員会が、高等学校での教育可能な人数を公約した「定員」を遵守することを明記し定員内不合格ゼロを目指しているにも関わらず、平成30年度も162人の受検生が学習権保障を拒否されました。義務教育を終えた後も「無償で学ぶ権利があります」と法律で定めたからには、高校で学ぶことを希望するすべての若者(国民)の学習権を保障することが真の公平・公正となります。
障害者の権利に関する条約「第二十四条 教育」においても、教育についての障害者の権利を認め、機会均等の実現のため、障害者を包容する教育制度(inclusive education system)等の確保および「個人に必要とされる合理的配慮の提供」が位置付けられています。そして国公立学校には平成28年度から、障害のある子どもに対する支援・配慮が義務付けられました。文部科学省から出された対応指針には、学校などにおける「不当な差別的取扱い」の具体例として、「学校への入学の出願の受理、受験、入学…等を拒むこと」「試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外」すること等が例示されています。また「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成28年)により、地方公共団体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児(医療的ケア児)の支援に関する医療、障害福祉、教育等の連携の一層の推進を図るよう努めることとされました。これらすべては、障害児者の学習権保障の実現を目指してのものです。ここにおいてなお、「定員遵守」を無視し、定員内での「入学拒否」を行う校長判断を、無制限に黙認すべきではありません。教育を希望する若者を最大限受入れ、学習権の保障に努めることこそが、教育委員会の責務です。
森田知事は、「すべての子どもが、そのおかれた環境に左右されることなく、夢と希望をもって成長して、『千葉で生まれ育ってよかった』と思える社会の実現」を宣言されています。しかし、子どもの教育権保障の重要性を理解せず、子どもの人権をないがしろにする「定員内不合格」という判断が横行していることは、千葉で生まれた子どもの不幸そのものです。特に、千葉県では定時制高校においても、定員内で「入学拒否」される生徒が多数います。定時制高校は、様々な事情を抱えた生徒のため、学習権保障のための最後の砦というべき役割を担っています。平成22年に東京都教育委員会は「定時制は高校教育の最終的な安全網の役割も果たしているため救済措置が必要」との考えから、4月8日の時点でなお300人の定時制募集を行い、全員の学習権保障を実現しました。東京、神奈川では「定員遵守」が徹底されており、定員内不合格ゼロが実現されています。
また千葉県における「定員内不合格」に係る判断には、受検生の資質ではなく、校長個人の資質による違いも顕著で、医療的ケア児の知識・理解も不十分です。平成17年、長生高校の校長は、特色化選抜と学力選抜で不合格になり、2次募集の試験の前に見学に訪れた親子に、次のように説明しました。「どうぞおかけ下さい。大変な努力をされましたね。…定員が割れている場合、点数だけでは合否を決めないですよ。Nさんが今まで生きてきたことと、努力してきた心を、我々は見ていくのです」。Nさんは長生高校定時制に合格しました。昨年、後期試験・二次募集・追加募集と、3度「定員内不合格」にされたBさんは、今年東葛飾高校(定時制)に前期試験で合格しました。Bさんには、中学の校長先生や担任はもとより小学校の担任、そして市長からも祝福の手紙が届きました。地域全体で子どもを育てる姿勢を実感する嬉しい出来事でした。東葛飾高校の校長は、合格発表の後、「私は退職ですが、安心して下さい」とBさんと両親に伝え気遣って下さいました。こうした一人ひとりの受検生と丁寧に向き合う校長先生も大勢います。
一方、Aさんは過去6年間、23回受検に臨み、すべて不合格という校長判断をされました。23回中、21回は「定員内不合格」です。(※添付資料①) 特に船橋高校(定時制)校長は前期試験、後期、二次、追加と4回連続の「定員内不合格」という判断を下しました。前期試験では32人の定員が空いている中で、そして後期では61人、二次では53人、追加募集においてもなお51人の定員が空いていたにも関わらず、定員遵守をする意思はありませんでした。これはまぎれもなく非教育的・非人道的な判断です。開示されたAさんの後期試験の点数は34点でした。この点数は彼の精一杯の努力と意欲を示すものであり、決して定時制高校での学習機会を拒絶される点数ではありません。(過去のAさんの受検の開示点数は、61点.69点.76点.77点等でした。※添付資料①)
例えば、今年、東葛飾高等学校定時制に入学したBさんの開示点数は56点でした。また今春、浦安南高等学校を卒業したCさんの入学試験の開示点数は13点。船橋高校定時制を2014年に卒業したDさんの入学試験の開示点数は41点でした(※添付資料②)。当会では、1989年の発足時から、入学者選抜試験そのものが、知的障害児者にとって不利益な制度であることを訴えてきました。それ故子どもを点数で比較評価するつもりはありません。しかし、障害のある他の生徒が入学、進級、卒業している実態に比べ、Aさんへの「6年間23回の不合格」の事実はあまりに理不尽であり不公平・不公正です。しかも、医療的ケア児への看護師配置の仕組みや手続きについての理解のないままの判断となっています。他の障害のある生徒たちが、入試に合格し、高校生になり、卒業まで立派に教育を全うして下さる高校の校長の総合判断と、船橋高校校長の「総合的判断」の違いは、どこから生じるのか。校長個人の経験や資質、理解の程度によって、子どもの教育を受ける権利が左右されている現状は、公平・公正ではありません。
このように、県教育委員会も中学校も当事者も、誰一人検証できない「校長判断」により、一人の障害児だけが定員内不合格にされるという差別的な事件が繰り返されないために、また千葉に生まれた子どもが、一言の理由も説明も助言もなく、教育権保障から見捨てられることが起こらないため、校長と県教育長が「定員遵守」に係る事前協議を行う制度の策定を求めます。
「定員遵守」の徹底により、千葉県のすべての子どもが教育権保障を実現されることを切に願い下記事項を要望致します。
記
1. 《希望者全入について》
千葉県教育委員会が定める公立高校の定員は、中学卒業予定者のうち進学希望者全員の後期中等教育機会を保障するに足る数として設定されており、定員遵守の徹底により、希望する生徒全員の高校進学の実現を求めます。
2. 《定員遵守の数値目標について》
「入学者選抜実施要項」に「定員遵守」が明記されていますが、その効果なく150名を超える定員内不合格が続いています。改めて「定員内不合格者数」の最終的な数値目標を示し、周知徹底することを求めます。
3. 《「定員遵守」に係る事前協議について》
千葉県公立高等学校の校長が、定員を遵守できない事情がある場合、校長と県教育長が事前に協議を行う制度の策定を求めます。
4. 《医療的ケアについて》
千葉県の公立高校において、医療的ケア児が高校に入学した際に、看護師等の配置を担当する部署及び、申請手続きの仕組みを明らかにするとともに、全公立高等学校等への周知徹底を求めます。
5. 《Aさんの受検について》
Aさんは、平成25年度から平成30年度まで6年間、23回の受検に臨みましたがすべて不合格(内21回は定員内不合格)(※1)とされてきました。そのうち21回が定員内不合格という異常で差別的な事態の解消を求めます。看護師・介助者等の加配の手続きが明らかにされていないことで当事者や保護者へ、受験すること自体の疑問が投げかけられる等の不適切な対応及び不安を解消し、Aさんの学習権保障の実現を求めます。
以上
【添付資料】①【Aさん・6年浪人の経緯】
②【当会の受検生の「開示点数」】
③【千葉県「定員内不合格」による入学拒否者数】
■『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2017/6/2に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2017年度要望書の内容を掲載します。
「定員内入学拒否」のない千葉県の公立高校を求める要望書
貴職におかれましては、日頃より千葉県の子どもの人権と教育の保障に尽力いただいておりますことに敬意を表します。千葉県ではこの春55,190人の子どもが義務教育を終了し新たな一歩を踏み出しました。
当会では1989年以来、一貫して「希望する生徒全員の高校進学」の実現を要望してきました。当時の中学卒業生数は97,780人、進学率は94.3%であり、9万2千人余りが進学できました。
その後28年余、高校進学を希望する生徒=県民の願いは増え続けました。当会は障害児者の支援を担う団体ですが、教育支援を必要とする生徒は外にも不登校、社会的養護、貧困、生活保護家庭など多くあり、それ故「希望する生徒全員の高校進学」を要望してきました。
中学卒業する生徒への思いは、県民、貴教育委員会共に違いなく、あらゆる場で子どもの支援の機会や施策が試みられ実現されてきました。
特色化選抜等の受検制度の改革、三部制高校等の新設、自己申告書の制度化(不登校・障害)、特別配慮申請書の制度化、エレベーターや「加配職員」の派遣など、後期中等教育の機会を求める生徒への多様な支援が実現されてきました。こうした千葉県教育委員会並びに学校現場の理解と実践の下、当会からも119人の生徒の高校進学が実現してきました。
また近年の「障害者差別解消法」「子どもの貧困防止法」「児童福祉法改正」等の成立に伴い、「医療的ケア児」も含め様々な困難を抱えた生徒に教育の機会が広がりつつあります。
民間や市町村においても、生活保護家庭や社会的養護の場で進学を希望する子どもへの学習支援が広がりつつあります。千葉県子どもの貧困対策大綱においても、中学卒業生の進路保障が貧困の連鎖を食い止める上で必要な支援として掲げられ対策が進められています。
会発足当時2.5%であった中卒での就職者は0.3%にまで減少しましたが、この就職者の多くは生活保護家庭や養護施設の生徒でもあります。
2017年の児童福祉法の改正では、法の対象「児童」を一部22才にまで延長し、高校大学を含めての「自立支援・教育支援」の実現を掲げています。
これらの法律や取り組みは、障害や家庭の貧困等、子どもに責任のない要因で教育を受けられないという「社会的不利益」をなくす取り組みであり、貧困の連鎖、虐待の連鎖、障害者差別の解消を目指すものです。
これら国民の願いと取り組みに反し、今年も千葉県の公立高等学校では160名を超える中学(卒業)生が、「定員内」で「入学を拒否」されました。しかも「定員内」で入学を拒否される理由・根拠を説明される子どもや保護者は一人もいません。
千葉県教育委員会が一昨年より、「定員確保を遵守するように」と県内のすべての高等学校に通知・指導を行っているにもかかわらず、未だに一部の高等学校では、この「定員内入学拒否」の慣習を継続しています。
高等学校の「定員」は、県民への公約であり、「特別な理由」(例えば退学に値する行為等)がない限り「定員」分の「教育」を行う予算、人員、設備が準備されています。
近年の新しい法律の成立や改正、学習指導要領の改訂等、これほどの知恵と配慮を積みあげ、多様な生徒に教育を与える機会を目指してきた社会において、なお15歳の0.2%の子どもだけが、目の前にある教育の機会と希望を拒否され一切の教育行政の支援から断ち切られる現状は不公平、不公正、不平等そのものです。
高校進学率が50%に満たなかった時代から70年以上をかけて、この社会は、県民は、すべての子どもに平等に教育の機会を与えることを目指してきました。
その願いから疎外されるのが、定員内で入学を拒否されるわずか0.2%の子どもです。この子たちを救済し支援し教育を保障するために、高校を増設する必要はありません。教員を増やす必要もありません。ただ東京や神奈川の学校が何十年も誠実に受け入れているように、進学を希望する生徒を「定員内」で拒否しないこと、それだけです。千葉県でそれができない理由はありません。千葉県でもすでに多くの高校に置いて、不登校、社会的養護、生活保護家庭、医療的ケアを必要とする生徒を受け入れ実践されてきた実績があります。
入試の合否は校長の権限ですが、校長がその判断の根拠としているのは県教育委員会が作成する「入学者選抜実施要項」です。そうであるなら、「説明責任」を伴わない定員内入学拒否者が生じない実施要項を、千葉県教育委員会の責任の下に作成してください。
「千葉県子どもの貧困対策推進計画」の中で森田県知事は、「すべての子どもが、そのおかれた環境に左右されることなく、夢と希望をもって成長して、『千葉で生まれ育ってよかった』と思える社会の実現」を目指すと宣言されています。
東京、神奈川には「定員内入学拒否」される生徒は一人もいません。神奈川、東京に架かる橋一つを隔てて、千葉には「定員内入学拒否」する学校があるのです。しかも定時制高校の二次・追加募集は、「作文、面接」のみで、「入学拒否」という校長判断がなされます。これは個々の受験生の問題ではなく、千葉県の教育の公平・公正の姿勢、教育のセーフティネットの役割を担うべき定時制高校の良心の問題です。
千葉に生まれた子どもが15歳で「定員内入学拒否」され、一言の理由も説明も助言もなく見捨てられる制度を、千葉県から消滅させてください。
1000人に2人の犠牲を生み続ける制度の継続を県民は望んでいません。
千葉県のすべての子どもが安心と希望をもって大人になるため、公平・平等に開かれた教育の実現を切に願い下記事項を要望致します。
記
1. 千葉県教育委員会が定める公立高校の定員は、中学卒業予定者のうち進学希望者全員の後期中等教育機会を保障するに足る数として設定されているのであるから、定員確保が遵守され、かつ「説明責任を伴わない定員内入学拒否」が生じない選抜実施要項を作成し、希望する生徒全員の高校進学を実現してください。
2. 平成29年度千葉県公立高等学校の入学者選抜において、実質「定員内入学拒否」された15歳の生徒について、「障害者差別解消法」「子どもの貧困防止法」「児童福祉法」の主旨に基づき、その後の各生徒の状況について調査し、どのような生徒が入学拒否をされているのか、その生徒に対しどのような教育、福祉等の行政支援が保障されているか否かを検証し、義務教育後の進路保障から疎外される0.2%という少数の生徒への支援策を講じて下さい。
3. 5年間に渡り、定員内で入学拒否されているAさんと、今年東葛飾高等学校(定時制)を3度に渡り定員内入学拒否されたBさんの、高校進学への意欲と希望を認め、学校現場による看護師・介助者加配の不安等を解消し、高校進学を実現させてください。
4. 平成28年6月の「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」により、地方公共団体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児(以下「医療的ケア児」という。)の支援に関する保健、医療、障害福祉、保育、教育等の連携の一層の推進を図るよう努めることとされた内容について、高等学校への理解を進めるための研修会等を実施して下さい。
以上
【添付資料】 定員内入学拒否者 一覧 (当会作成)
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、「共に育つ教育を進める千葉県連絡会」と連名で、2016/5/23に千葉県知事と千葉県教育委員会教育長宛に提出した要望書の内容を掲載します。
福祉・教育行政の公平性に基づき、公立高等学校の「定員確保」の協議と遵守を求める要望書
貴職におかれましては、日頃より「すべての子どもが、そのおかれた環境に左右されることなく、夢と希望をもって成長して、『千葉で生まれ育ってよかった』と思える社会の実現」をめざしご尽力いただいておりますことに敬意を表します。
私たちは、1989年以来、希望するすべての子どもに後期中等教育の保証を求め活動してきました。千葉県においては高校進学率が99%に近づき、特別支援学校高等部においては100%受入れを実現しています。
その一方で中学卒業生全体の1%未満の少数の子どもたちは、進学を希望しても定員が空いている定時制高校でも教育を受ける機会を得られず、その結果、教育行政からも福祉行政、社会的養護の機関からも支援を受けられない状態に陥る「忘れられた子ども」が存在します。その子どもたちは、本来もっとも支援を必要とする立場のはずです。これまで、様々な支援を必要とする子どもたちのために様々な法律や支援制度が作られてきました。
「障害者基本法」には、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される」ものであり、その「共生する社会を実現するため」、「国、地方公共団体等の責務」が記されています。
また「子どもの貧困対策の推進に関する法律」においては、教育の機会の平等が重要な課題とされ、『子どもの貧困率、生活保護世帯に属する子どもの高等学校等進学率等子どもの貧困に関する指標及び当該指標の改善に向けた施策』が求められています。
子どもの貧困防止や障害者差別解消法に係る「子ども」の問題は、「福祉行政」と「教育行政」に分けられた課題ではありません。しかし千葉県に生まれた子どもにとって、「後期中等教育」を受ける機会が著しく不公平・不平等の状態に置かれた現実があります。
2015年12月に策定された「千葉県子どもの貧困対策推進計画」は、『子どもの将来がその生まれ育った環境に左右されることのないように、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育を受ける機会の均等を図り…』を趣旨とし、『すべての子どもが、そのおかれた環境に左右されることなく、夢と希望をもって成長して、『千葉で生まれ育ってよかった』と思える社会の実現を目指します。
そのため、家庭・学校・地域がそれぞれの立場から責任を自覚し、相互に連携し、社会全体で子どもの成長を支える社会づくりに取り組みます。』を理念として掲げています。そして計画のなかでは具体的に生活保護家庭の子ども高校進学率(90%で推移)を全体の進学率(98%)にまで引き上げることが目標とされています。生活保護家庭に生まれた子どもは、生まれた家庭の貧困故に、高校進学ができませんでした。国が生活保護家庭の子どもの高校進学を認めたのは1969年のことです。一般世帯の高校進学率が80%を超え、憲法で保障された最低限の子どもの権利として、生活保護を受けている家庭の子どもにも高校進学の機会が保障されるようになりました。それからすでに47年が過ぎています。その上での「子どもの貧困対策の推進に関する法律」です。また1988年には児童福祉施設に対しても、「積極的に高校進学に取り組む」よう厚生省から通知が出されました。貧困も障害も社会的養護が必要な子どもも、その状況は子ども自身にはなんの責任もないことであり、社会が子どもの安全と成長を見守るのは当然のことです。こうして社会が、一歩一歩、社会から見捨てられる子どもが一人もいなくなるように最大限の努力を続けた結果が、現在の99%近い高校進学率です。
また、高校進学には「高校で学ぶに足る学力が必要」とされた時代もありましたが、2007年に改正された学校教育法施行規則において、不登校や中退者に対して『その実態に配慮した特別な教育課程』の編成が認められ、新たに高等学校学習指導要領(2013年から全面実施)でも『義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ること』とされ、千葉県教育庁高等学校改革推進協議会委員長を務めた保坂亨千葉大教授も「ほぼ全入(98%の高校進学率)である現状からみても、…高校教育まで受ける権利を社会が保障すべきであるとわれわれは考えている。」と述べています。
これらは、福祉行政においても、教育行政においても、中学卒業生の進路として「後期中等教育」の場をいかに保障するかが現実的課題となっていることを示しています。
しかし千葉県の公立高校においては、県民に対する公約である「定員」を確保せずに「不合格」者が出され、毎年100人以上の子どもが教育を受ける機会を失っています。しかも本来教育のセーフティネットの役割を担うべき定時制高等学校においても多数の定員内での不合格者がいます。
これらの結果として、高校進学できないために、中学卒業時に養護施設からも退去せざるを得ない15歳の生徒がいます。また千葉県立東金高等学校定時制の受検では、平成27年度から28年度にかけて7回連続で「定員内不合格」にされた障害のある生徒がいます。千葉県の隣りの東京・神奈川では、毎年「定員」が確保されており、この点において、定員内不合格とされた子どもたちにとって、『千葉で生まれ育ってよかった』とは決して思えません。
これらのごく一部の子どもは、社会的養護の観点からも、貧困対策の観点からも、障害者差別解消の観点からももっとも支援を必要とする立場の子どもであるにも関わらず、福祉行政からも教育行政からも、教育を受ける機会の支援が届かない忘れられた存在です。
千葉県には、「定時制高校の検定料の減免制度」もなく、(37都道府県には被災者や生活保護世帯等への減免制度がある)、その上「定員内での不合格者」が毎年100名を超えるという、幾重にも不平等・不公正な結果を、千葉県の15歳の子どもたちは強いられています。
本来、定時制高校(単位制高校)においては、障害や病気のみならず不登校、貧困、虐待等、様々な困難を抱える生徒の学びを支えるセーフティネットの役割を果たしてきました。
また千葉県教育委員会は平成26年より「定員確保の遵守」を通知しています。こうした状況にあってなお、今年も100人を超える定員内不合格者が出され、結果として不平等不公平の状態が続いています。
この現状に対し、なんら対策を講じないことは、教育行政の公平・公正に反します。99%近くまで子どもの教育機会の保障が実現しているいまこそ、本来もっとも支援を必要とする子どもたちに教育機会を保障するために、福祉・教育行政の公平性に基づき、すべての公立高等学校が「定員確保」を遵守するための協議及び実現を要望致します。
記
①特別支援学校が定員を超えて子どもを受け入れている一方で、教育のセーフティネットの役割を担う定時制・単位制高校において、定員に十分な余 裕がある状況で、貧困や障害による困難を抱えた子どもに教育を受ける機会が与えられないという「不公平・不公正」な状態の改善を求めます。
②「子どもの貧困対策の推進に関する法律」及び「千葉県子どもの貧困対策推進計画」に基づき、教育の機会均等の実現に向けて、公立高校の「定員 確保」遵守のため福祉行政と教育行政の合理的調整を求めます。
③「障害者差別解消法」に基づき、千葉県内の公立定時制高等学校において、障害者に数年にわたり繰り返される「定員内不合格」の解消を求めます
④公立高等学校入学者選抜の「検定料の減免制度」の実施を求めます。
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2016/5/23に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2016年度要望書の内容を掲載します。
高校入試に係る「定員確保の遵守」と「障害者差別の解消」を求める要望書
貴職におかれましては、日頃より千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活充実のためご指導ご尽力いただいておりますことに敬意を表します。
私たちは1989年以来、希望するすべての子どもに後期中等教育の保証を求め活動してきました。
これまで当会から143人が受検し、117人の障害児・者が高校で学ぶ機会を得ました。しかし平成25年度から28年度にかけて、障害のあるAさんに対し千葉県立多古高等学校で連続5回、千葉県立東金高等学校定時制で連続7回、計12回定員内不合格という判断がなされました。
これまで千葉県教育委員会は、高校の入学者選抜の結果については「校長判断」であり、その結果はすべて正当で瑕疵なきもの差別なきものとみなしてきました。これまで校長判断に障害者への無理解がなかったかを検証する手段、仕組みもありませんでした。
しかし現在千葉県の高校進学率は98.6%に達しています。この数字は、不登校や貧困、中退、障害児等、学びのために様々な支援を必要とする子どものために、「セカンドチャンス」「セーフティネット」「学び直し」のための配慮を行ってきた結果であり、教育機会の平等を「すべての子ども」のために積み上げてきた結果です。
高校入試の合否の権限は校長にあります。しかし一高等学校の校長判断の結果、中学校卒業生のために用意した「千葉県の定員」からこぼれ落ちる15才の子どもが168人(平成27年度)もいる現状はあまりに無残です。その168人は、千葉県が15才の子どものために用意された「教育の機会」=「定員」から切り捨てられたと感じる他ありません。
校長が一高校の入学を許可できないと判断するとき、それは「すべての子どもの教育機会の平等」を考慮しての判断ではありません。同じ千葉県の教育に関わる校長・教員でも、中学校の姿勢はまったく違いました。定員が空いているにも関わらず不合格という報告を聞いて、驚き、落胆、絶句、涙する校長や担任の先生が中学校にはいました。「え、定員は空いていたんですよね」そう言って、子どもと一緒に泣いてくださる先生が中学校にはいました。その先生方の思いは、私たちが子どものために願って活動してきたことが間違いではないと確信させ支え続けてくれました。
一校長が「教育の機会を与えることができない」と判断した15歳の子どもに対し、どのような「学校体制・人員・設備・配慮」があれば、「定員確保」が可能かを判断し真の教育のセーフティネットを構築・調整することは教育委員会の責務であると考えます。
「すべての子どもの人権と教育機会の平等」を判断するのは、県民全体に責任をもつ教育長であるべきです。現行法が、当該高校の入学許可の権限を校長に委ねているとしても、その校長判断の尊重とすべての子どもの教育機会の保障をする公平性を、両立調整する役割は教育長教育委員会に託された責務です。「定員確保の遵守」通知は、その目的のための一つであるはずです。
また2016(平成28)年4月からは、障害者差別解消法が施行されました。同法は、障害を理由とする差別的な取り扱いを禁止するため、障害者への「合理的配慮の不提供の禁止」という形で障害者に対する配慮を義務付けています。対応指針には、学校などにおける「不当な差別的取扱い」の具体例として、「学校への入学の出願の受理、受験、入学……等を拒むこと」「試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外」することなどを例示しています。
障害者差別禁止条例においても障害者差別解消法においてもインクルーシブな教育環境が求められる現在、定員が大幅に空いている全日制・定時制高校において、障害をもつ生徒が4年にわたり計12回定員内不合格にされるという「校長判断」について、ひとことの説明責任もない現状が正当化されるべきではありません。特に平成28年度東金高等学校定時制においては追加募集23人のところ、Aさん一人が受検した結果、「合格者なし」とした校長の判断を、このまま誰ひとり検証・確認することなくすませるべきではありません。
千葉県では、定員内不合格の理由・根拠等については説明されてきませんでしたが一般的な「理由」としてあげられてきたのは、受験時の途中退室や喫煙や受検妨害等です。しかし今回のAさんのケースにはあてはまりません。他に定員内不合格の理由として、福岡県議会での以下のような答弁がありました。
[2002年11月5日平成13年度決算特別委員会]=『高校教育課長:それでは、幾つか定員内不合格の主な理由について列記させていただきます。例えば未成年であるにもかかわりませず、例えば校舎内で喫煙する、さらに校舎内を土足で歩くこういうような高等学校への入学の意思がない、意欲がないというふうに見られるものとか、あとは携帯電話を所持していて、それを指導した教員に対して暴言を吐くというような、高等学校に進もうとする生徒という観点からはどうしても好ましくないような方、もしくは、例えば面接の際に薬物を使用したことがあり、または使用することについて容認するようなことを言うような規範意識の低さ、かようなものが定員内不合格の理由の一例でございます。』
[2015年11月2日 決算特別委員会]=『教育庁高校教育課長:個別の合否につきまして詳細は申し上げられませんけれども、面接において高校に入学したいという意思が全く感じられない者や、学力検査中机に伏しているなど回答の意思がなかった者について、定員内不合格にしたとの報告が上がっております。』
ここには、定員内不合格の理由が詳細に述べられていますが、Aさんに当てはまるものは一つもありません。
また、高校進学には「高校で学ぶに足る学力が必要」とされた時代もありましたが、2007年に改正された学校教育法施行規則において、不登校や中退者に対して『その実態に配慮した特別な教育課程』の編成が認められたこと、および新たに高等学校学習指導要領(2013年から全面実施)でも『義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ること』があげられており、平成28年度の受検において76点という成績のAさんが定時制高校を「定員内不合格」にされる理由にはなりません。
千葉県内のすべての小学校、中学校で実践されているすべての子どもへの教育が、同じ千葉県の定時制高校でなぜ行うことができないのか。私たちには理解する術がなく、これこそが「障害」による「不利益」であり、これこそを「障害者差別」ではないのかと感じています。
上記のように、考えうる限りにおいてAさんが「定員内不合格」とされる理由は何ひとつなく、それでもなおAさんを「定員内不合格」とした東金高等学校(定時制)の「校長判断」の中に、「障害を理由とする差別的な材料」が含まれているかどうかを検証するのは、障害者基本法に定められた「地方公共団体」の責務であると考えます。
教育行政の公平性に基づきすべての公立高等学校が「定員確保」を遵守するため、平成27年度から28年度の受検において、千葉県立東金高等学校定時制の7回連続で障害のあるAさんが「定員内不合格」にされた「総合的判断」のなかに、
(1)エレベーターがないなどの施設上の問題が判断材料に含まれたか否か、
(2)医療的ケアの実施のための看護師等の人員配置の問題が判断材料に含まれたか否か、
(3)あるいは「試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外」されていないかどうか
等、合理的配慮に係る問題と「総合的判断」の中身ついて検証を要望致します。
障害者差別解消法で義務付けられた合理的配慮は、あらゆる教育現場で提供されるべきものであり、他の生徒との平等と教育の機会均等の保障のため、障害のある生徒も公立高校で「確保されるべき定員」の一人として敬意ある対応及び教育の機会が保障されることを要望いたします。
記
① 希望するすべての中学卒業生が、高校進学の機会を得られる高校定員の設定と定員確保遵守を実施して下さい。
② 「障害者差別解消法」に基づき、千葉県内の公立定時制高等学校において、障害のある生徒に繰り返された「定員内不合格」の実態の検証を求め ます
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2015/5/27に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2015年度要望書の内容を掲載します。
希望するすべての子どもに後期中等教育の保障を求める要望書
貴職におかれましては、日頃より千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活充実のためご指導、ご尽力いただいておりますことに敬意を表します。
私たちは、1989年以来、ノーマライゼーションの実現を求め、普通高校進学を願う障害児・者が、障害による差別や不利益を受けることなく希望した高校へ進学でき、同世代の仲間と共に高校生活を送れることを願って活動し、県教育委員会との話し合いを重ねてきました。
これまで当会から140人が350回の受検に臨み、235回もの不合格(定員内不合格71回)に負けずに115人もの障害児・者が千葉県の公立高校に入学、現在15人が高校生活を送っています。この数字は、全国的にも際立っており、一人一人の子ども達が、落とされても落とされても「高校生になりたい」と言い続け、受検に向かい続けて築き上げてきた尊いものです。
同時に、貴委員会がノーマライゼーション実現に向け、普通高校に入りたいと願う当事者の思いを受け止め、長年にわたって力を尽くして下さった結果でもあり、深く感謝いたします。
2014年12月2日付で貴職が県立高等学校長宛てに新たに通知して下さった「千葉県県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)では、募集定員に基づき、定員の遵守に努めること」と、以前の《適正なものとすること》から《定員の遵守に努めること》に変更して下さいました。「これで定員内不合格はなくなる」と大いに期待しました。
今年当会から前期は4人が受検しAさんが合格。後期は2人が受検し、Bさんが全日制高校に定員内で合格しました。しかし、2浪で受検したCさんは東金高校定時制を定員内不合格にされました。そして、Cさんは2次、追加募集とも東金高校定時制を受検し続けましたが、定員内不合格とされ3浪を突きつけられました。「定員の遵守」への期待は大きく裏切られました。
私たちの会が発足して26年、点数だけでなく、障害の種類や程度が大きく影響し、障害の重い受検生に厳しい結果が出されてきた事実があります。今回もそれしか理由が見あたりません。Cさんの不合格という結果は、明らかに障害による不利益であり、障害者差別です。Cさんは3年間も差別を受け続けてきたのです。
追加募集の結果発表後、東金高校の校長先生に「定員内不合格を出したこと」についての考えを伺うと「定員の遵守の通知文は知っているが実施要項にも通知文にも『各学校の実態に応じて可能な限り入学許可候補者とする』と記されている」と、そればかりを何度も強調されました。
平成26年12月2日付「千葉県県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」の項目1の冒頭「入学許可候補者の決定については、千葉県公立高等学校第1学年生徒募集定員に基づき、定員の遵守に努めること。」と『定員の遵守』とありながらその後半に「また、募集定員に満たないことが予想される学校においては、各学校の実態に応じて可能な限り入学許可候補者とし、定員の確保につとめること。」と、『各学校の実態に応じて』という表現があります。
本来後者の下線部分は前者の「定員の遵守」を念押しするための形であったはずです。しかし今回の受検では「各学校の実態に応じて」の部分のみが強調され、受検生には全く関係ない学校の事情や都合が定員内不合格の根拠とされて「定員の遵守」が尊重されない結果となりました。
今回、東金高校定時制の追加募集(16人募集で4人受検)の結果発表の掲示には「合格者なし」の文字だけが書かれていました。最後の砦である定時制。その最後のチャンスである追加募集に「高校生になりたい」と藁をもつかむ思いで受検したCさんを含む4人の希望を打ち砕くことが許されるはずがありません。その根拠が受検生とは全く無関係の「学校の実態」ということならあまりにも理不尽です。その文章は削除すべきです。
当会との話し合いの中で貴委員会も「高校生になってはいけない子はいない」と言って下さっています。しかも今回「定員の遵守」を掲げてくださいました。 高校の募集定員は、県民に対して約束した数であり、定員内という同じ状況で「高校生になる子ども」と「定員内不合格にされ、高校生になれない子ども」が存在していいはずがありません。「合否の決定は校長の裁量である」と貴委員会は説明されます。そうならば、この理不尽な校長の裁量は公平・公正であるとは言えず、裁量権の乱用であり、あってはならないことです。このようなことを今後許さないで下さい。
私たちの子どもたちは、小学校、中学校をみんなの中でありのままの姿で過ごしてきました。そして、中学校が終わると当然のこととして高校へ向かいます。ただ、当たり前にみんなと一緒に高校生になりたいだけなのです。しかし席が空いているのに障害のある子は座らせてもらえない、そこには障害の種類や程度による不利益、差別の高い壁が存在し続けています。この理不尽さにこれまで多くの受検生が心を傷つけられてきました。それでも「みんなと一緒に高校へ」と願う受検生の強い意志で何度落とされても受検に臨むのです。
この思いに寄り添って下さったからこそ新たな通知である「定員の遵守」を掲げて下さったと感謝致しております。しかしながら定員内不合格は今年もなくなりませんでした。どうかこの現状を重く受け止め、危機感を持って更なる対策に取り組んで下さい。
高校を卒業した人は皆さん「高校が一番楽しかった」と言います。障害の種類や程度に関わらず、本人が安心して受検ができ、障害による差別を受けることなく希望する高校で学びたいという子どもたちの願いが叶えられ、入学後は、尊厳が守られ、安心して高校生活が送れるよう、下記の要望を是非とも実現されますようお願い致します。
尚、お忙しいとは存じますが、8月4日までに文書にてご回答をお願い申し上げます。
記
【要望事項】
1.
平成28年度「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、高校進学を希望するすべての生徒が学べる募集定員を設定し、すべての生徒に後期中等教育を受ける機会を保障してください。
2.
千葉県教育委員会として「定員の遵守」を徹底してください。そのために以下の事を含めあらゆる対策を行ってください。
① 平成28年度の「千葉県県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」は、平成27年度の「千葉県県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」の項目1から「また、募集定員に満たないことが予想される学校においては、各学校の実態に応じて可能な限り入学許可候補者とし、定員確保に努めること。」を削除したものとしてください。
② 平成28年度千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項は、平成27年度千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項の「募集定員の確保に努める」の部分を「募集定員の遵守に努める」に変え、「なお、その際、受検者の数が募集人員に満たない学校においては、各学校の実態に応じて可能な限り入学許可候補者とする。」を削除したものとしてください。
③ 公立高校進学を願う障害児・者が差別や不利益を受けることなく希望した高校に進学できるようにするためには高等学校の管理職への意識啓発が必要であり、そのために以前行っていた「障害のある生徒の高校進学について」という研修内容を新任校長・新任教頭・新任教務主任研修等で復活してください。
④ 現場の教職員が「障害児が高校生になること」への差別や偏見を持たず、理解を深めるよう各高等学校でも積極的に研修等を行うよう働きかけてください。
3.
千葉県公立学校入学者選抜検査当日、痰の吸引等医療的なケアが必要な受検者がいる場合、県教育委員会として受検者に不利益のないよう医療的ケアを保障してください。
4.
車椅子を使っている等、エレベーターが必要な生徒が入学・在籍する高校にエレベーターを早急に設置して下さい。またそのための予算を毎年計上してください。
以上
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2014/5/28に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2014年度要望書の内容を掲載します。
要 望 書
貴職におかれましては、日頃より千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活充実のためご指導、ご尽力いただいておりますことに敬意を表します。
私たちは、1989年以来、ノーマライゼーションの実現を求め、普通高校進学を願う障害児・者が、障害による差別や不利益を受けることなく希望した高校へ進学でき、同世代の仲間と共に高校生活を送れることを願って活動し、県教育委員会との話し合いを重ねてきました。
これまで当会から136人が342回の受検に臨み、229回もの不合格(定員内不合格68回)に負けずに113人もの障害児・者が千葉県の公立高校に入学、現在17人が高校生活を送っています。この数字は、一人一人の子ども達が、落とされても落とされても「高校生になりたい」と言い続け、受検に向かい続けて築き上げてきた尊いものです。
同時に、貴委員会がノーマライゼーション実現に向け、普通高校に入りたいと願う当事者の思いを受け止め、長年にわたって力を尽くして下さった結果でもあり、深く感謝いたします。
しかしながら今年の受検は、当会から5人の生徒が受験に臨み4人は合格したものの、2年目の受検に臨んだ1人が今年も高校生になれませんでした。しかも、5人で12回の受検中5回は定員内不合格でした。
Aさんにあっては、昨年、後期・2次と大きく定員割れする中、多古高校を定員内不合格にされましたが、この1年間多古高校で授業・行事で交流し「今年こそ高校生になれる」と信じて今回も多古高校を受験しました。
しかし、その思いはまたも受け止められることなく、前期選抜から2次募集までの3回全て定員内不合格にされるという許しがたい結果でした。
これによりAさんは2浪という決断をせざるを得なくなりました。浪人してまで高校生になりたい、一年間待ち続け今回も受検し続けた16歳の心はどれだけ傷つけられたのか。
席が空いているのに障害のある子は座らせてもらえない。そこには障害の種類や程度による不利益・差別があると言わざるを得ません。この理不尽さにこれまで多くの受検生が心を傷つけられてきました。それでも「みんなと一緒に高校へ」と願う受検生の強い意志で何度落とされても、受検に臨むのです。
入りたい高校、近くの高校をあきらめ、定員の割れる高校、入れる高校を探して、移動に困難を抱える障害児・者が電車を乗り継いで1時間以上もかかる高校に通わなければ高校生になれないという現実は続いています。
貴委員会も定員内不合格がなくなるよう努めて頂いています。しかしながら毎年高校生になれず傷つく人たちがいるこの現状を重く受けとめ、対策を見直す時ではないでしょうか。
高校を卒業した人は、皆さん「高校が一番楽しかった」と言います。障害の種類や程度に関わらず、本人が安心して受検ができ、障害による差別を受けることなく希望する高校で学びたいという子どもたちの願いが叶えられ、入学後は、尊厳が守られ、安心して高校生活が送れるよう、下記の要望をぜひとも実現されますようお願い致します。
記
【要望事項】
≪後期中等教育の保障≫
1. 平成27年度「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、高校進学を希望するすべての生徒が学べる募集定員を設定し、すべての生徒に後期中等教育を受ける機会を保障して下さい。
2. 1の実現のため募集定員の算定の中卒進学者数に、明年度進学希望者の数を加えてください。定員は県民への公約でありその点からも特に定員内不合格者数に関しては募集定員に含むべきです。
また、高校進学の最後の砦ともいえる定時制高校の募集定員は、その特性や地域性を充分考慮して余裕ある数として下さい。
3. 当会が県内の公立高校に行った公開質問状の集計結果では、2013年9月時点で千葉県の公立高校42校に69名の障害のある生徒が在籍し、様々な工夫や配慮を受けながら高校生活を送っています。障害児・者が公立高校で学びたいという希望を保障するために、千葉県の公立高校への受け入れの拡大を千葉県の後期中等教育の方針として掲げて下さい。
4. 障害の有無にかかわらず共に生きる社会の実現に向けて、重要な役割を果たすべき学校教育の意義を踏まえ、障害のある生徒とない生徒が共にいる学校が実現できるよう、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出して受検する障害のある生徒のうち、知的障害のある生徒に関して、「学力検査」に偏った選抜方法が障害による不利益をもたらしている現状を改める措置を講じて下さい。
5. 移動に困難を抱える障害のある生徒にとっては、乗り物を乗り継いで長時間かけて遠くの高校に通うことが困難です。「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、「障害のある生徒で、現住所から通学至便な公立高校を希望し、その他の公立高校に通学することが困難と認められる者」について、自宅から近い距離にある公立高校で教育を受ける権利を保障するための制度を策定して下さい。
≪管理職への意識啓発≫
6. 公立高校進学を願う障害児・者が差別や不利益を受けることなく希望した高校に進学できるようにするためには、管理職への意識啓発が必要であり、そのために以前行っていた「障害のある生徒の高校進学について」という研修内容を新任校長・新任教頭・新任教務主任研修等で復活して下さい。
≪検査時の配慮≫
7. 障害のある生徒の入学者選抜の学力検査の実施において、通常の学力検査の方法では実施困難で、かつ時間延長等の措置が困難な障害に配慮するため、マークシート方式等での受検を取り入れて下さい。
8. 受検時の時間延長については東京、大阪などですでに認められ千葉県でも平成11年度の「推薦による入学者選抜」において、筋力の力が弱くて字を書くことが困難な生徒に対して、「特別配慮」として時間延長が認められました。また24年度入学者選抜においても「学力検査の受検時に、医療機器調整等による医療的ケアに要する時間等に対して、必要な時間の配慮を行った。」とされています。医療的ケアを必要としない生徒に対しても手に麻痺があったり、筋力の力が弱くて字を書くことが困難であったり、視覚障害のため点字で受検したりする生徒に「特別配慮」として時間延長を認めることは障害による不利益な取り扱いをしないための当然の配慮です。全ての受検において、障害による不利益を被らないよう、必要とする生徒に時間延長を「特別配慮」として認めて下さい。
≪定員確保の徹底≫
9. 受検者が定員に満たない場合には、公立教育機関として、高校で学びたいという意欲と希望を持つ受験生を全てまず受け入れるという千葉県の姿勢を明確に示して下さい。
10.受検者が定員に満たないまま不合格者を出そうとする場合、公立高等学校の校長は県教育長に判断内容を報告し、教育長は校長の判断が「障害による不利益」に該当しないことを確認できるように、「事前協議」の制度を整えて下さい。
特に、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出し、障害による不利益がないよう求めている受検生については、定員を確保せずに不合格とする校長判断に、障害への差別や偏見があってはならないことを確認できるようにして下さい。
11.障害のある生徒が「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出したにもかかわらず、定員が満たない状況で「不合格」とされた場合、そのような判断をした校長は、校長の裁量の行き過ぎとして、処分の対象とするなど、断固とした態度で対処して下さい。
12.募集定員は県民に公約した数字であり、高校進学を希望し受検した者は、募集定員内であれば、高校教育の機会が与えられるべきです。毎年貴職は「千葉県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」を出し、「定員確保に努めること」としているのに、定員内不合格者を出し続けている状況は、許されるものではありません。前年度受検者が定員に満たないまま不合格者を出した高等学校及び、例年「定員」を確保しないまま教育を行っている高等学校の校長及び教職員の「定員確保」についての認識等を把握し、必要に応じて研修、対話、情報提供等を行い、県民への公約である「定員確保」の徹底を図り、定員内不合格者を無くして下さい。
13.第2次募集を行っても定員に満たない高校については、全日制、定時制に関わらず、期間を定めずに追加募集を行えるようにして下さい。
14.平成26年度入学者選抜において、定員内不合格者を出した高校に対しては、貴職から事情聴取を行い、その内容を公表して下さい。
また、今後も毎年実施し、公表して下さい。
さらに、定員内不合格を出した高校名並びに校長名を校長・教頭等の研修等で口頭で読みあげると共に資料として配布して下さい。
≪選抜上の障害者差別をなくすための配慮≫
15.自己申告書の扱いについては、千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項に「これを選抜のための資料に加えることができる。」と記されています。平成24年度入学者選抜において、自己申告書を選抜の資料とできることを知らない高校がありました。この記載では高校間に取り扱いの差が生じ、選抜での公平性が確保されず、受検した高校によって障害による不利益が生じます。また高校では、読んだが不利にも有利にもしなかった、として参考程度にとどまる扱いとなっています。受検そのものに不利益を抱える受検生が提出する書類を参考程度として扱われるのでは、自己申告書を提出した生徒の不利益は解消されないままとなります。「参考にできる」規定ではなく、自己申告書を「選抜のための資料」として正当に位置付けて下さい。
また加点対象として下さい。
16.昨年度、同じ特別配慮の内容でも学校により内容に制限を求められる等、受検の公平性が保たれないことが生じました。そのようなことがないように指導してください。
17.学力検査の点数という同一の基準を、障害のある人とない人にそのまま当てはめることは、知的障害者に対する差別であり、選抜における不利益は増すばかりです。配慮してはじめて平等になるのですから、検査実施時のみならず、選抜においても障害に配慮した判定を行う必要があることを、「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」の「選抜方法」の項に記載して下さい。
≪障害のある高校生の学校生活について≫
18.県内の公立高校において、本人の意思に反して「特別支援教育」「特別支援教育による介助」及び「授業からの取り出し」「別室での別課題や試験」等を行わないことを徹底して下さい。
19.成績評価・進級・単位の取得の配慮については、千葉県における障害児の普通高校在籍24年余りの経験と実践の蓄積を踏まえ、障害によりテストの点数が取れない、又は書字困難等の生徒に対する各高校のこれまでの取り組みをまとめ、評価方法の事例集又は指針を示し、障害児の在籍する高校が利用できるようにし、進級・単位の取得が出来、卒業出来るようにして下さい。
20.障害のある生徒が尊厳を守られ高校生活を送ることができるよう、普通教育を受ける上での必要な配慮は一人の担当職員に任せるのではなく、すべての教職員が行い、学校全体で受け止めて下さい。
21.障害者雇用による就労を希望する生徒のいる高校には、担当の教職員が求職の情報や障害者雇用の知識が十分に得られるようにして下さい。
≪中学校における理解について≫
22.中学校における進路指導等において、障害のある生徒の普通高校進学の選択肢が狭められることなく、公立高校進学について十分な理解と配慮が得られるように、市町村教委及び中学校を対象とした「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項説明会」において、次のことを行って下さい。
(1)「特別配慮申請書」及び「自己申告書」の趣旨並びに取り扱いについて、指導を徹底すること。
(2)「『障害のある生徒』の高校進学に係る資料」「入学者選抜にかかる障害を持つ生徒への配慮・対応」を配布し、その内容の理解を進めること。
(3)進路指導において、特別支援学校高等部への進学を一方的に進めたり強制することのないよう徹底すること。
(4)障害のある生徒の「指導要録」や「調査書」の記述が高校受検の 「不利益」にならないよう徹底すること。
≪特別支援教育ではなく普通教育の充実を≫
23.公立高校内への特別支援学校の分校・分教室設置は、今まで「障害」により分離された空間のなかった公立高校の中にあえて「障害のある生徒だけ」を受け入れる場を作ることになります。同様に、高校内において、これまで分離を基本とする教育内容・教育方法を行ってきた特別支援学校からの助言・支援・連携により特別支援教育体制作りを進めることも、普通高校(普通教室)での障害のある生徒に対する別扱いや取り出し授業等の分離に繋がることが危惧されます。新たな「分離の場」を教育の場に持ち込むことや、特別支援教育(特殊教育)を普通教室に持ち込むのではなく、当会と県教育委員会及び高校の先生方と協力しながら積み上げてきた障害児の普通高校進学の取り組みの成果と理解を広め、これまで通り、どんな障害があっても希望する公立高校で、普通教育の中での工夫や配慮により、高校・クラスの一員として学校全体で受け止め、分け隔てられることなく安心して後期中等教育が受けられるようにして下さい。
≪学校内の設備について≫
24. 千葉県の公立高校において、階段昇降機の貸し出しは25年度11校で13台と依然として多いです。公共施設としてエレベーターがあるのが当然です。障害、病気、怪我いずれも移動に困難をかかえる生徒が入学・在籍する高校にはエレベーターを早急に設置して下さい。そのための予算を毎年計上して下さい。
以上
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2013/5/29に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2013年度要望書の内容を掲載します。
要 望 書
貴職におかれましては、日頃より千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活充実のためご指導、ご尽力いただいておりますことに敬意を表します。また県立高校へのエレベーター設置も年ごとに進み、安全、安心な環境整備が着実に推進しておりますことに感謝申し上げます。
私たちは、1989年以来、ノーマライゼーションの実現を求め、普通高校進学を願う障害児・者が、障害による差別や不利益を受けることなく希望した高校へ進学でき、同世代の仲間と共に高校生活を送れることを願って活動し、県教育委員会との話し合いを重ねてきました。
これまで当会から131人が330回の受検に臨み、221回もの不合格(定員内不合格64回)に負けずに108人もの障害児・者が千葉県の公立高校に入学、現在19人が高校生活を送っています。この数字は、一人一人の子ども達が、落とされても落とされても「高校生になりたい」と言い続け、受検に向かい続けて築き上げてきた尊いものです。
同時に、貴委員会がノーマライゼーション実現に向け、普通高校に入りたいと願う当事者の思いを受け止め、長年にわたって力を尽くして下さった結果でもあり、深く感謝いたします。
しかしながら、今年の受検は、当会から5人の生徒が受検に臨み2人のみ合格という到底受け入れられない結果でした。
しかも、高校生になれなかった3人で9回の定員内不合格。そしてその9回中7回が大きく定員が空く中、当会からの受検生のみ不合格という障害者差別そのものでした。
Aさんにあっては、前期選抜から追加募集まで4回全て定員内不合格。前期・後期とも上総高校(園芸)を受検し、前期は8人定員割れで1人だけ不合格。後期は17人募集でAさん1人だけの受検だったにも関わらず不合格。それでも「上総高校へ行きます」と2次募集も上総(普通)を受検。41人募集で9人受検の中、たった1人だけ不合格にされました。
同じ学校に1人だけ受検全て(3回)落とされるというあり得ないこと、あってはならないことが起きました。そして、追加募集で生浜高校三部制定時・夜間部も10人募集で2人受検し、Aさんだけが定員内不合格。高校生になりたいと願い、4回もの受検を受け続けた15歳のエネルギーはどれだけのものだったのか。どんなに傷つけられたのか想像すらできません。
また、Bさんも4回の受検中、東葛飾高校(定時)、行徳高校(定時)で3回の定員内不合格。しかも高校生になる最後のチャンスである追加募集では2次に続き行徳高校(定時)を再度受検したにも関わらず、25人募集で2人の受検の中、1人だけ不合格とされました。
Cさんは、車椅子のためエレベーターのある印旛明誠高校を前期で受検しましたが不合格。後期は多古高校(普通)を受検しましたが16人定員が空く中1人だけ不合格。2次も多古高校を受検しましたがまたも1人だけ不合格。体調を崩したこともありましたが、追加募集を受検せず浪人する決断をせざるを得ませんでした。
今年の受検結果は、当会が活動し始めた20年以上前に逆戻りした厳しいものです。なぜこのようなことが起きたのか、千葉県教育委員会は後期中等教育保障のために、定員内不合格を含め、理不尽な不合格をなくすため、今一度「障害児・者が高校進学をすること」について、研修を行うなど選抜制度の不備だけでなく、校長はじめ教職員の障害児・者への理解を深めることに力を尽くす責務があります。
席が空いているのに障害のある子は座らせてもらえない。この理不尽さにこれまで多くの受検生が心を傷つけられてきました。それでも「みんなと一緒に高校へ」と願う受検生の強い意志で何度落とされても、受検に臨むのです。
入りたい高校、近くの高校をあきらめ、定員の割れる高校、入れる高校を探して、移動に困難を抱える障害児・者が電車を乗り継いで1時間以上もかかる高校に通わなければ高校生になれないという現実は続いています。
高校を卒業した人は、皆さん「高校が一番楽しかった」と言います。障害の種類や程度に関わらず、本人が安心して受検ができ、障害による差別を受けることなく希望する高校で学びたいという子どもたちの願いが叶えられ、入学後は、尊厳が守られ、安心して高校生活が送れるよう、下記のとおり要望致します。
貴委員会として今年の結果を重く受け止め、ぜひとも実現されますようお願い致します。
記
【要望事項】
≪後期中等教育の保障≫
1.
平成26年度「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、高校進学を希望するすべての生徒が学べる募集定員を設定し、すべての生徒に後期中等教育を受ける機会を保障して下さい。
2.
1の実現のため募集定員の算定の中卒進学者数に、明年度進学希望者の数を加えてください。
また、高校進学の最後の砦ともいえる定時制高校の募集定員は、その特性や地域性を充分考慮して余裕ある数として下さい。
3.
当会が県内の公立高校に行った公開質問状の集計結果では、2012年9月時点で千葉県の公立高校45校に67名の障害のある生徒が在籍し、様々な工夫や配慮を受けながら高校生活を送っています。障害児・者が公立高校で学びたいという希望を保障するために、千葉県の公立高校への受け入れの拡大を千葉県の後期中等教育の方針として掲げて下さい。
4.
障害の有無にかかわらず共に生きる社会の実現に向けて、重要な役割を果たすべき学校教育の意義を踏まえ、障害のある生徒とない生徒が共にいる学校が実現できるよう、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出して受検する障害のある生徒のうち、知的障害のある生徒に関して、「学力検査」に偏った選抜方法が障害による不利益をもたらしている現状を改める措置を講じて下さい。
5.
移動に困難を抱える障害のある生徒にとっては、乗り物を乗り継いで長時間かけて遠くの高校に通うことが困難です。「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、「障害のある生徒で、現住所から通学至便な公立高校を希望し、その他の公立高校に通学することが困難と認められる者」について、自宅から近い距離にある公立高校で教育を受ける権利を保障するための制度を策定して下さい。
≪管理職への意識啓発≫
6.
公立高校進学を願う障害児・者が差別や不利益を受けることなく希望した高校に進学できるようにするためには、管理職への意識啓発が必要であり、そのために以前行っていた「障害のある生徒の高校進学について」という研修内容を新任校長・新任教頭・新任教務主任研修等で復活して下さい。
≪検査時の配慮≫
7.
障害のある生徒の入学者選抜の学力検査の実施において、通常の学力検査の方法では実施困難で、かつ時間延長等の措置が困難な障害に配慮するため、マークシート方式等での受検を取り入れて下さい。
8.
受検時の時間延長については東京、大阪などですでに認められ千葉県でも平成11年度の「推薦による入学者選抜」において、筋力の力が弱くて字を書くことが困難な生徒に対して、「特別配慮」として時間延長が認められました。また24年度入学者選抜においても「学力検査の受検時に、医療機器調整等による医療的ケアに要する時間等に対して、必要な時間の配慮を行った。」とされています。医療的ケアを必要としない生徒に対しても手に麻痺があったり、筋力の力が弱くて字を書くことが困難であったり、視覚障害のため点字で受検したりする生徒に「特別配慮」として時間延長を認めることは障害による不利益な取り扱いをしないための当然の配慮です。全ての受検において、障害による不利益を被らないよう、必要とする生徒に時間延長を「特別配慮」として認めて下さい。
≪定員確保の徹底≫
9. 受検者が定員に満たない場合には、公立教育機関として、高校で学びたいという意欲と希望を持つ受験生を全てまず受け入れるという千葉県の姿勢を明確に示して下さい。
10.受検者が定員に満たないまま不合格者を出そうとする場合、公立高等学校の校長は県教育長に判断内容を報告し、教育長は校長の判断が「障害による不利益」に該当しないことを確認できるように、「事前協議」の制度を整えて下さい。
特に、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出し、障害による不利益がないよう求めている受検生については、定員を確保せずに不合格とする校長判断に、障害への差別や偏見があってはならないことを確認できるようにして下さい。
11.障害のある生徒が「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出したにもかかわらず、定員が満たない状況で「不合格」とされた場合、そのような判断をした校長は、校長の裁量の行き過ぎとして、処分の対象とするなど、断固とした態度で対処して下さい。
12.募集定員は県民に公約した数字であり、高校進学を希望し受検した者は、募集定員内であれば、高校教育の機会が与えられるべきです。毎年貴職は「千葉県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」を出し、「定員確保に努めること」としているのに、定員内不合格者を出し続けている状況は、許されるものではありません。前年度受検者が定員に満たないまま不合格者を出した高等学校及び、例年「定員」を確保しないまま教育を行っている高等学校の校長及び教職員の「定員確保」についての認識等を把握し、必要に応じて研修、対話、情報提供等を行い、県民への公約である「定員確保」の徹底を図り、定員内不合格者を無くして下さい。
13.第2次募集を行っても定員に満たない高校については、全日制、定時制に関わらず、期間を定めずに追加募集を行えるようにして下さい。
14.平成25年度入学者選抜において、定員内不合格者を出した高校に対しては、貴職から事情聴取を行い、その内容を公表して下さい。
また、今後も毎年実施し、公表して下さい。
さらに、定員内不合格を出した高校名並びに校長名を校長・教頭等の研修等で資料として配布して下さい。
≪選抜上の障害者差別をなくすための配慮≫
15.自己申告書の扱いについては、千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項に「これを選抜のための資料に加えることができる。」と記されています。平成24年度入学者選抜において、自己申告書を選抜の資料とできることを知らない高校がありました。この記載では高校間に取り扱いの差が生じ、選抜での公平性が確保されず、受検した高校によって障害による不利益が生じます。また高校では、読んだが不利にも有利にもしなかった、として参考程度にとどまる扱いとなっています。受検そのものに不利益を抱える受検生が提出する書類を参考程度として扱われるのでは、自己申告書を提出した生徒の不利益は解消されないままとなります。「参考にできる」規定ではなく、自己申告書を「選抜のための資料」として正当に位置付けて下さい。
また加点対象として下さい。
16.学力検査の点数という同一の基準を、障害のある人とない人にそのまま当てはめることは、知的障害者に対する差別であり、選抜における不利益は増すばかりです。配慮してはじめて平等になるのですから、検査実施時のみならず、選抜においても障害に配慮した判定を行う必要があることを、「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」の「選抜方法」の項に記載して下さい。
≪障害のある高校生の学校生活について≫
17.県内の公立高校において、本人の意思に反して「特別支援教育」「特別支援教育による介助」及び「授業からの取り出し」「別室での別課題や試験」等を行わないことを徹底して下さい。
18.成績評価・進級・単位の取得の配慮については、千葉県における障害児の普通高校在籍23年余りの経験と実践の蓄積を踏まえ、障害によりテストの点数が取れない、又は書字困難等の生徒に対する各高校のこれまでの取り組みをまとめ、評価方法の事例集又は指針を示し、障害児の在籍する高校が利用できるようにし、進級・単位の取得が出来、卒業出来るようにして下さい。
19.障害のある生徒が尊厳を守られ高校生活を送ることができるよう、普通教育を受ける上での必要な配慮は一人の担当職員に任せるのではなく、すべての教職員が行い、学校全体で受け止めて下さい。
20.障害者雇用による就労を希望する生徒のいる高校には、担当の教職員が求職の情報や障害者雇用の知識が十分に得られるようにして下さい。
≪中学校における理解について≫
21.中学校における進路指導等において、障害のある生徒の普通高校進学の選択肢が狭められることなく、公立高校進学について十分な理解と配慮が得られるように、市町村教委及び中学校を対象とした「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項説明会」において、次のことを行って下さい。
(1)「特別配慮申請書」及び「自己申告書」の趣旨並びに取り扱いについて、指導を徹底すること。
(2)「『障害のある生徒』の高校進学に係る資料」「入学者選抜にかかる障害を持つ生徒への配慮・対応」を配布し、その内容の理解を進めること。
(3)進路指導において、特別支援学校高等部への進学を一方的に進めたり強制することのないよう徹底すること。
(4)障害のある生徒の「指導要録」や「調査書」の記述が高校受検の際「不利益」にならないよう徹底すること。
≪特別支援教育ではなく普通教育の充実を≫
22.公立高校内への特別支援学校の分校・分教室設置は、今まで「障害」により分離された空間のなかった公立高校の中にあえて「障害のある生徒だけ」を受け入れる場を作ることになります。同様に、高校内において、これまで分離を基本とする教育内容・教育方法を行ってきた特別支援学校からの助言・支援・連携により特別支援教育体制作りを進めることも、普通高校(普通教室)での障害のある生徒に対する別扱いや取り出し授業等の分離に繋がることが危惧されます。新たな「分離の場」を教育の場に持ち込むことや、特別支援教育(特殊教育)を普通教室に持ち込むのではなく、当会と県教育委員会及び高校の先生方と協力しながら積み上げてきた障害児の普通高校進学の取り組みの成果と理解を広め、これまで通り、どんな障害があっても希望する公立高校で、普通教育の中での工夫や配慮により、高校・クラスの一員として学校全体で受け止め、分け隔てられることなく安心して後期中等教育が受けられるようにして下さい。
以上
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2012/6/6に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2012年度要望書の内容を掲載します。
要 望 書
貴職におかれましては、日頃より千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活充実のためご指導、ご尽力いただいておりますことに敬意を表します。また県立高校へのエレベーター設置も年ごとに進み、安全、安心な環境整備が着実に推進しておりますことに感謝申し上げます。
私たちは、1989年以来、ノーマライゼーションの実現を求め、普通高校進学を願う障害児・者が、障害による差別や不利益を受けることなく希望した高校へ進学でき、同世代の仲間と共に高校生活を送れることを願って活動し、県教育委員会との話し合いを重ねてきました。
今年は当会から10人の生徒が受検に臨み9人が合格し、新たな高校生活をスタートさせました。また今年当会の2人の仲間が高校を卒業することができました。
これまで当会から126人が313回の受検に臨み、207回もの不合格(定員内不合格55回)に負けずに105人もの障害児・者が千葉県の公立高校に入学、現在20人が高校生活を送っています。この数字は、一人一人の子ども達が、落とされても落とされても、「高校生になりたい」と言い続け、受検に向かい続けて築き上げてきた尊いものです。
同時に、貴委員会がノーマライゼーション実現に向け、普通高校に入りたいと願う当事者の思いを受け止め、長年にわたって力を尽くして下さった結果でもあり、深く感謝いたします。
しかしながら、障害児・者の入学実績が広がる中でも点数の取れない知的障害児・者の前には、相変わらず厚い壁が立ちふさがり続けています。毎年定員が割れる中でも、障害のある子どもたちは、当然のように落とされ続けてきました。現行の「選抜」制度が障害児・者にとって不利益をもたらしているという現状認識から、当会と貴委員会との話し合いの中で、特に「障害による不利益がないようにすること」「定員の確保」については、この24年間、何百回と改善を訴え続けてきました。しかし今年の受検においても、会の生徒は8回もの「定員内不合格」の判定をされ、特に木更津東高等学校定時制においては、追加募集という進路を決定する最後の機会で、20名募集に2名の受検生という状況においてさえ「定員」を確保することなく、障害のある生徒1人だけを不合格にし、浪人生活を強いるという到底納得できない許しがたい結果となりました。このように毎年繰り返される定員内不合格は、入学者選抜実施要項が守られないという、後期中等教育の保障のための対策の不備が、結果として不平等な状態(浪人)を強いているのであり、その修正・改善を行うのは、千葉県教育委員会の責務の一つです。
また今年も定員内不合格を含め、理不尽な不合格は、「教職員に障害児を受け入れる能力がない」「対応できるのか自信がない」というような理由で、これは学校の問題であり、選抜制度の不備だけでなく校長はじめ教職員の障害児・者への理解のなさ、偏見もあるのではないかと考えます。席が空いているのに障害のある子は座らせてもらえない。この理不尽さにこれまで多くの受験生が心を傷つけられてきました。それでも「みんなと一緒に高校へ」と願う受検生の強い意志で何度落とされても、受検に臨むのです。
入りたい高校、近くの高校をあきらめ、定員の割れる高校、入れる高校を探して、移動に困難を抱える障害児・者が電車を乗り継いで1時間以上もかかる高校に通わなければ高校生になれないという現実は続いています。
今回の受検生の1人は最後のチャンスである追加募集を前にして、「僕はA高校へ行きたい。諦めない。必ず校長先生は僕を待っていてくれる」と高校の先生方を純粋に信じて受検し続けることを伝え、それを受けとめたA高校定時制へ入学することができました。
高校を卒業した人は、皆さん「高校が一番楽しかった」と言います。障害の種類や程度に関わらず、本人が安心して受検ができ、障害による差別を受けることなく希望する高校で学びたいという子どもたちの願いが叶えられ、入学後は、尊厳が守られ、安心して高校生活が送れるよう、下記のとおり要望致します。
貴委員会として積極的に受け止め、ぜひとも実現されますようお願い致します。
記
【要望事項】
≪後期中等教育の保障≫
1.平成25年度「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、高校進学を希望するすべての生徒が学べる募集定員を設定し、すべての生徒に後期中等教育を受ける機会を保障して下さい。
なお、募集定員の算定の中卒進学者数に、明年度進学希望者の数を加えてください。
2.当会が県内の公立高校に行った公開質問状の集計結果では、2011年9月時点で千葉県の公立高校32校に52名の障害のある生徒が在籍し、様々な工夫や配慮を受けながら高校生活を送っています。障害児・者が公立高校で学びたいという希望を保障するために、千葉県の公立高校への受け入れの拡大を千葉県の後期中等教育の方針として掲げて下さい。
3.
障害の有無にかかわらず共に生きる社会の実現に向けて、重要な役割を果たすべき学校教育の意義を踏まえ、障害のある生徒とない生徒が共にいる高校が実現できるよう、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出して受検する障害のある生徒のうち、知的障害等のある生徒に関して、「学力検査」に偏った選抜方法が障害による不利益をもたらしている現状を改める措置を講じて下さい。
4.
移動に困難を抱える障害のある生徒にとっては、乗り物を乗り継いで長時間かけて遠くの高校に通うことが困難です。「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、「障害のある生徒で、現住所から通学至便な公立高校を希望し、その他の公立高校に通学することが困難と認められる者」について、自宅から近い距離にある公立高校で教育を受ける権利を保障するための制度を策定して下さい。
≪検査時の配慮≫
5.
障害のある生徒の入学者選抜の学力検査の実施において、通常の学力検査の方法では実施困難で、かつ時間延長等の措置が困難な障害に配慮するため、マークシート方式等での受検を取り入れて下さい。
6.
受検時の時間延長については東京、大阪などですでに認められ、千葉県でも平成11年度の「推薦による入学者選抜」において、筋力の力が弱くて字を書くことが困難な生徒に対して、「特別配慮」として時間延長が認められました。また24年度入学者選抜においても「学力検査の受検時に、医療機器調整等による医療的ケアに要する時間等に対して、必要な時間の配慮を行った。」とされています。医療的ケアを必要としない生徒に対しても手に麻痺があったり、筋力の力が弱くて字を書くことが困難であったり、視覚障害のため点字で受検したりする生徒に「特別配慮」として時間延長を認めることは障害による不利益な取り扱いをしないための当然の配慮です。全ての受検において、障害による不利益を被らないよう、必要とする生徒に時間延長を「特別配慮」として認めて下さい。
≪定員確保の徹底≫
7.受検者が定員に満たない場合には、公立教育機関として、高校で学びたいという意欲と希望を持つ受験生を全てまず受け入れるという千葉県の姿勢を明確に示して下さい。
8.受検者が定員に満たないまま不合格者を出そうとする場合、公立高等学校の校長は県教育長に判断内容を報告し、教育長は校長の判断が「障害による不利益」に該当しないことを確認できるように、「事前協議」の制度を整えて下さい。
特に、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出し、障害による不利益がないよう求めている受検生については、定員を確保せずに不合格とする校長判断に、障害への差別や偏見があってはならないことを確認できるようにして下さい。
9.障害のある生徒が「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出したにもかかわらず、定員が満たない状況で「不合格」とされた場合、そのような判断をした校長は、校長の裁量の行き過ぎとして、処分の対象とするなど、断固とした態度で対処して下さい。
10.募集定員は県民に公約した数字であり、高校進学を希望し受検した者は、募集定員内であれば、高校教育の機会が与えられるべきです。毎年貴職は「千葉県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」を出し、「定員確保に努めること」としているのに、定員内不合格者を出し続けている状況は、許されるものではありません。前年度受検者が定員に満たないまま不合格者を出した高等学校及び、例年「定員」を確保しないまま教育を行っている高等学校の校長及び教職員の「定員確保」についての認識等を把握し、必要に応じて研修、対話、情報提供等を行い、県民への公約である「定員確保」の徹底を図り、定員内不合格者を無くして下さい。
11.第2次募集を行っても定員に満たない高校については、全日制、定時制に関わらず、期間を定めずに追加募集を行えるようにして下さい。
12.平成25年度入学者選抜において、定員内不合格者を出した高校に対しては、貴職から事情聴取を行い、その内容を公表して下さい。
また、今後も毎年実施し、公表して下さい。
≪選抜上の障害者差別をなくすための配慮≫
13.自己申告書の扱いについては、千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項に「これを選抜のための資料に加えることができる。」と記されています。平成24年度入学者選抜においても、自己申告書を選抜の資料とできることを知らない高校もありました。この記載では高校間に取り扱いの差が生じ、選抜での公平性が確保されず、受検した高校によって障害による不利益が生じます。また高校では、読んだが不利にも有利にもしなかった、として参考程度にとどまる扱いとなっています。受検そのものに不利益を抱える受検生が提出する書類を参考程度として扱われるのでは、自己申告書を提出した生徒の不利益は解消されないままとなります。「参考にできる」規定ではなく、自己申告書を「選抜のための資料」として正当に位置付けて下さい。
また加点対象として下さい。
14.学力検査の点数という同一の基準を、障害のある人とない人にそのまま当てはめることは、知的障害者に対する差別であり、選抜における不利益は増すばかりです。配慮してはじめて平等になるのですから、検査実施時のみならず、選抜においても障害に配慮した判定を行う必要があることを、「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」の「選抜方法」の項に記載して下さい。
≪障害のある高校生の学校生活について≫
15.県内の公立高校において、本人の意思に反して「特別支援教育」「特別支援教育による介助」及び「授業からの取り出し」「別室での別課題や試験」等を行わないことを徹底して下さい。
16.成績評価・進級・単位の取得の配慮については、千葉県における障害児の普通高校在籍22年余りの経験と実践の蓄積を踏まえ、障害によりテストの点数が取れない、又は書字困難等の生徒に対する各高校のこれまでの取り組みをまとめ、評価方法の事例集又は指針を示し、障害児の在籍する高校が利用できるようにし、進級・単位の取得が出来、卒業出来るようにして下さい。
17.障害のある生徒が尊厳を守られ高校生活を送ることができるよう、普通教育を受ける上での必要な配慮は一人の担当職員に任せるのではなく、すべての教職員が行い、学校全体で受け止めて下さい。
18.障害者雇用による就労を希望する生徒のいる高校には、担当の教職員が求職の情報や障害者雇用の知識が十分に得られるようにして下さい。
≪中学校における理解について≫
19.中学校における進路指導等において、障害のある生徒の普通高校進学の選択肢が狭められることなく、公立高校進学について十分な理解と配慮が得られるように、市町村教委及び中学校を対象とした「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項説明会」において、次のことを行って下さい。
(1)「特別配慮申請書」及び「自己申告書」の趣旨並びに取り扱いについて、指導を徹底すること。
(2)「『障害のある生徒』の高校進学に係る資料」「入学者選抜にかかる障害を持つ生徒への配慮・対応」を配布し、その内容の理解を進めること。
(3)進路指導において、特別支援学校高等部への進学を一方的に進めたり強制することのないよう徹底すること。
(4)障害のある生徒の「指導要録」や「調査書」の記述が高校受検の際「不利益」にならないよう徹底すること。
≪特別支援教育ではなく普通教育の充実を≫
20.公立高校内への特別支援学校の分校・分教室設置は、今まで「障害」により分離された空間のなかった公立高校の中にあえて「障害のある生徒だけ」を受け入れる場を作ることになります。同様に、高校内において、これまで分離を基本とする教育内容・教育方法を行ってきた特別支援学校からの助言・支援・連携により特別支援教育体制作りを進めることも、普通高校(普通教室)での障害のある生徒に対する別扱いや取り出し授業等の分離に繋がることが危惧されます。新たな「分離の場」を教育の場に持ち込むことや、特別支援教育(特殊教育)を普通教室に持ち込むのではなく、当会と県教育委員会及び高校の先生方と協力しながら積み上げてきた障害児の普通高校進学の取り組みの成果と理解を広め、これまで通り、どんな障害があっても希望する公立高校で、普通教育の中での工夫や配慮により、高校・クラスの一員として学校全体で受け止め、分け隔てられることなく安心して後期中等教育が受けられるようにして下さい。
以上
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2011/6/1に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2011年度要望書の内容を掲載します。
希望するすべての子どもに後期中等教育の保障を求める要望書
千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活につきましては、日頃からご指導及びご尽力をいただきお礼申し上げます。県立高校へのエレベーター設置も進み、安全・安心な環境が整備されつつあることに心より感謝申し上げます。
今年は当会から5人が受検に臨み4人が合格し、新たな高校生活をスタートさせることができました。また今春、当会の8人が無事高校を卒業しました。子どもたちにとって、充実した高校生活は、その後の人生の大きな自信と支えになっています。長年の貴委員会及び各高等学校の障害児理解の姿勢の賜物と深く感謝いたします。
当会が高校進学の支援を始めて今年で23年になります。「障害児」の進学が想定されずに作られた「選抜」制度そのものが、障害児者にとって不利益である現実認識から、当会と貴教育委員会との話し合いは始まりました。受験時の配慮が何一つない時代から22年間、延べ287回の受験に臨んできた116人の子どもたちの姿が、公立高校の希望者全入を求める私たちの確信の根拠であり支えです。どのような障害があろうと、116人のすべての子どもたちが、勉強が苦手であっても高校に行きたいという意欲と希望を強く持ち、不合格にされてもあきらめずに受験に向かってきました。
特別支援学校の高等部では、すでに十数年前から、希望者全入が実現しています。このことは、障害の種類、程度を問わず、高校(後期中等教育)は子どもの学習する権利の一つであることを、社会が認知している表れです。 しかし、千葉県では、毎年100名を超える定員内不合格者が出されています。「高校無償化」によりすべての子どもに学ぶ機会と権利を保障できる社会環境下において、「定員が空いている」状態での「不合格」という判断は、教育の放棄であり子どもの教育を受ける権利を無視するものです。
千葉県教育委員会は、以前より「障害のある生徒の高等学校への入学について」、次のように説明してきました。
『中学校及び養護学校中等部等に在籍する(在籍した)障害のある生徒が、卒業後どのような進路を選択するかは、本人、保護者の選択に任されている。したがって、養護学校高等部だけでなく、その他の学校等も選択することができる。』
(平成13年度県立学校新任教頭研修・資料より)
少なくとも上記資料以前から、特別支援学校高等部では「希望者全入」が実現していました。 また2010年からは、98%の高校進学を支える「高校無償化」が実現しました。 このように可能な限りすべての子どもに高校教育を保障しようとする政策が進む中で、普通中学校から普通高校を希望する障害のある生徒だけが、「障害」故に高校で学ぶ機会を著しく制限されています。 「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」においても、「合理的な理由なく、障害を理由として、福祉サービスの提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること」は差別であると定義されています。 特別支援学校という「教育」を選べば、100%入学できるのですから、普通高校を選ぶすべての子どもたちにも、無償で高校を受けることのできる制度を整えてください。
記
1.
平成24年度「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、高校進学を希望するすべての生徒が学べる募集定員を設定し、すべての生徒に後期中等教育を受ける機会を保障してください。
2.
特別支援学校高等部の希望者全入の現状、高校無償化及び中高一貫校成立の趣旨を踏まえ、公立高校においても県として『定員内希望者全入』の基本的立場を明確に示して下さい。特別支援学校と高等学校の校長とは法的に同じ立場であり、県が『定員内希望者全入』の立場を明確にすることが、校長権限の制限干渉には当たらないものと考えます。その上で、例外については必要に応じて教育長と協議する公平な制度を整えて下さい。
3.
前期選抜試験の入学許可候補者の決定について、特別配慮申請書を提出して受験している生徒で入学後も合理的配慮が必要な生徒を入学許可候補者とする場合には、予め定められた定員の割合プラス1%を加える弾力的な運用を実施して下さい。また「転入学等の受け入れ推進のための定員の弾力的運用について」(通知)について、特別配慮申請書を提出し入学後も合理的配慮が必要な生徒を優先的に候補者とする弾力的な運用に変更して下さい。
以上
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2010/5/26に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2010年度要望書の内容を掲載します。
高校無償化の実施に伴い、希望するすべての子どもの後期中等教育の保障を求める要望書
記
1.平成23年度、「千葉県公立高等学校入学者選抜」においては、来春中学を卒業する生徒及び、今年高校生になれなかった「明年度進学希望者」を含めた生徒全員が、入学可能な募集定員を設定し、かつ地域の偏りをなくし、希望するすべての生徒が後期中等教育を受ける機会を保障してください。
そのために、計画進学率(進学率の推測値)に関しては、昨年までの高校無償化以前の数値の設定を変更して下さい。(※4)
高校無償化の主旨を徹底するために、千葉県の中学3年生の高校進学希望者の数字プラス「明年度進学希望者」の数字を合わせた数字をもとに、99%を超える募集定員を設定して下さい。
(1994年度、広島県では、99.5%分の定員にしたことで、基本的に希望するすべての子どもに後期中等教育を受ける機会が保障されました。)(※5)
2.高校無償化法案の成立と実施に伴い、その趣旨に反する事態がないよう、「定員の確保」を確立してください。公立高校の定員は、教育の保障を県民に公約した数であり、本来『希望するすべての生徒に後期中等教育を保障するための定員』であるべきものです。その定員の枠内において、「無償で教育を受ける権利」を制限される事態が起こらないように、新たな権利擁護のための方針を徹底して下さい。
1990年から一貫して「定員確保」のための通知が出され続けていますが、この20年の間、実態は変わらず、毎年100名を超える定員内不合格者が出され続けています。
高校無償化が実施された今年こそ、新たな基準を確立すべき時機と考えます。国民が「高校無償化」により学ぶ権利を保障されつつある状況下において、「定員が空いている」状態でなお「不合格」という判断をするからには、「停学・退学」処分に準ずる、明確な説明責任を果たすことのできる理由が必要であると考えます。校長の権限を不当に制限するのではなく、教育行政が、子どもの人権を守るために、打ち出せる政策が必ずあるものと、私たちは信じてお願いいたします。
障害がある場合には、本人が必要とする合理的な配慮を受けつつ、希望するすべての生徒が後期中等教育を受ける機会が保障されることを要望いたします。
以上
(※1)千葉県における定員内不合格者、計画進学率、明年度進学希望者について
(※2)『平成22年度東京都立高等学校定時制課程の第一学年生徒の追加募集』について
(※3)千葉県公立高校入学者選抜における定員内不合格の年次推移
(※4)千葉県計画進学率
(※5)
広島県の実例を資料として添付します。
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2010/3/12に千葉県教育長及び千葉県知事宛に提出した、緊急措置要望書の内容を掲載します。
希望するすべての子どもに後期中等教育を保障するための緊急措置を求める要望書
(1)主旨
今年の高校入学者選抜の現状は、高校で学ぶことを希望する子どもたちにとって、極めて苛酷な状況です。千葉県では、希望する全ての子どもが可能な限り後期中等教育を受けられるよう、毎年「計画進学率」を上げてきました。今年度の計画進学率は97.9%です。この数字は県全体でみれば、公私立合わせて、希望する全ての子どもが進学可能な数字です。実際、定時制高校の2次募集の倍率も数字の上では全県で0.94倍です(一昨年は0.46倍)。
しかし、現実には通学の制限があり、東葛・葛南・千葉周辺地区では、募集153人に対し、218人の志願で1.42倍。東葛・葛南地区に限れば、募集98人に対し、169人の志願で1.72倍にもなります。
中卒生の『最後の砦』と言われる定時制高校の2次募集でのこの倍率はあまりに過酷で異常な事態です。一昨年の2次募集の全県の倍率は、今年の半分以下の0.46倍でした。今年の苛酷な状況は、言うまでもなく今年の中卒者の責任によるものではありません。4月からは、公立高校の授業料無償化が始まろうとしています。それは、子どもが「お金の心配をしないで学べる」ためのものであり、希望する全ての子どもが後期中等教育を受けられることを実現するためのものであるはずです。
そこで、今回の2次募集及び追加募集の際に、子どもたちを救済するための緊急措置を講じることを要望いたします。子どもたちの「学び」の意欲と希望を受けとめ、希望するすべての子どもたちに豊かな後期中等教育を保障して下さい。
(2)要望事項
1・2次募集を実施する高等学校が、募集人員を超えて受け入れるために、臨時講師の派遣等の緊急措置の実施を通知し、2次募集の募集人員を超えて可能な限りの生徒の受け入れを実現して下さい。
2・今年の受験生に対する救済措置として、東葛・葛南地区及び千葉周辺の定時制高校(単位制含む)で、新たな募集枠を設定し追加募集を実施して下さい。
3・定員確保の更なる徹底のために、入学者の選抜において、校長が定員内不合格を決定する際には、在籍する生徒への退学処分等と同様に、定員内不合格についてもその決定の理由を明らかにし、本人の理由開示の請求に対し、校長の説明責任を果たすことを義務付けてください。
4・昨年度及び今年度、《最終試験で不合格になり、行き場をなくした生徒について追跡調査》を実施し、来年度以降、希望するすべての子どもたちに後期中等教育を保障する制度を実現して下さい。
(3)理由
1・昨年、大阪で「緊急措置」が実施されました。公立高校の2次募集の結果、不合格者は167人でした。府立高校教職員組合は、「夜間定時制は、中卒生の『最後の砦』。高校進学を希望する生徒たちの教育を受ける権利を保障すべきだ」と主張。府教委に対し、夜間課程への進学希望者を、全員受け入れる緊急措置を要求しました。
大阪府教委は3月30日、「補欠入学は従来、定員に満たない学校・学科だけで認めていたが、前例のない定員超えで、異例の措置に踏み切った。募集枠は12校12学科で計167人。」ということでした。それでも定員超過で29人が入学できませんでした。
千葉県でも、昨年、高校生になれず「浪人」した子どもはかなりの数にのぼります。東葛地区だけでも90人もの浪人生がいると言われます。21年度市町村別進路別卒業者数によれば、高校進学等や就職した者以外の数は707人になります。今年の受験状況を見れば、この中のかなりの数の子どもが浪人し今年受験したものと思われます。去年の浪人生を含め、今年の受験生に対し、何らかの緊急の追加措置が必要不可欠と考えます。こうした事態がすでに明らかであり、15日実施の2次募集において、可能な限りの子どもたちを救済するための措置を講じるべきであると考えます。
なお、平成19年度の2次募集の人数は全県で1013人(倍率0.37)に対し、平成22年度は2次募集575人(倍率0.81)であり、東葛・葛南地区では、平成19年度2次募集371人(倍率0.54)に対し、平成22年度2次募集113人(1.97倍)という異常な数字となっています。
特に定時制高校においては様々な理由事情で進学する生徒が多く、「教育の安全網」として機能してきました。したがって、今回、2次募集を実施する定時制高校においては、再度追加募集をするのではなく、今回受験する生徒をまず救済すべきと考えます。
たとえば、船橋高校定時制の2次募集では一昨年の0.76倍から2.31倍に増えていますが、船橋高校では3年前に1学級減になったばかりであり、教員を確保することで相当数の子どもたちを救済することが可能です。また、今年で募集停止になる習志野高校商業科においては一昨年の0.04倍から1.17倍に増えていますが、最後の受験生となる子どもたちを可能な限り受け入れるべきと考えます。
2・例年、2次募集を行なってきた東葛高校定時制や松戸南高校等は、一般入試において募集人員を超えてしまい、2次募集を行なっていません。しかし、定時制で学びたい生徒の受け入れ枠を保障するのは教育行政の責任であり、社会全体の責任でもあります。今年の受験状況における異常な事態に際し、再度各定時制高校(単位制含む)において、非常勤講師の加配等の措置を講じることで、受け入れ可能な人数を確認し、新たな募集人員を準備すべきと考えます。
3・千葉県では、公立高校の定員は県民に対する公約であり、可能な限り定員を確保することを各高等学校の校長に通知しています。定員を確保することなく不合格とする「定員内不合格」は県民の信頼を裏切るものでもあります。東京、神奈川ではこの20年、定員内不合格は限りなく0に近い数字です。しかし、千葉で義務教育を終えた子どもたちにとって不幸なことに、千葉県の公立高校では例年100人を超える定員内不合格者を出し続けています。
「公立」の「学校」で、「席が空いている」のに、希望する子どもを門前払いし、座らせないというのは、「学校」としてあまりに無責任です。
しかも、千葉県では定時制高校においても、多くの定員内不合格を出すという異常な事態が 恒常化しています。国会では高校授業料無償化法案が審議され、それには外国の学校も含まれています。
また、三重県四日市市茂福の通信・定時制の三重県立北星高校では、子育てをしながら学校に通う親を支えるため、託児室を置いている高校さえあります。こうした状況のもと、千葉県で義務教育を終えた子どもたちが、定員が空いている高校にさえ入学を拒否される事態は、あまりに異常な事態です。
それでもなお、校長が入学を許可できない明白な理由があるのであれば、定員内で不合格にされた生徒への説明責任が当然のごとく生じるはずですが、現状ではそれもありません。これはあまりに子どもの人権に対し配慮が欠けています。入学許可の決定が校長の権限であるなら、その権限に応じた説明責任を果たすべきであり、生徒の退学処分等と同様に、その理由を明確にし、本人へ説明することが教育者として当然のことと考えます。そうした、明白な理由、社会的に認められる理由が開示できないのであれば、希望する全ての生徒を受け入れ、教育を行なうべきと考えます。
4・2009年10月19日付朝日新聞によれば、最終試験で不合格になり、行き場をなくした生徒について追跡調査を実施していたのは、新潟、徳島、宮崎の3県のみとあり、千葉県では実施されていません。しかし、公立高校の授業料無償化の実施にともない、希望する全ての子どもが後期中等教育を受けられることを実現するためにも、行き場をなくした中卒者がどのような生活を送り、どのような支援が必要かを、県教育委員会として調査・把握すべきと考えます。
以上
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2009/9/7に千葉県知事宛に提出した、エレベーター設置要望書の内容を掲載します。
エレベーターを必要としている生徒のいる県立高校への
エレベーター設置を求める要望書
日頃から、障害のある人もない人も共に暮らせる社会の推進のためにご尽力されていることに敬意を表します。
私たちは障害のある生徒も千葉県立高校でみんなと一緒に勉強したいという希望がかなえられる事を願って活動しています。
移動が難しい生徒の学校生活につきましては、これまでもスロープや手すりの設置、トイレの改修など個々の生徒の実情に応じた学校施設の改修が行われてきました。また新設校や全面改修校にはエレベーターが設置され、バリアフリー化が着実に進んでいる事を実感し、感謝しているところです。
しかし、現在エレベーターが設置されている県立高校は幕張総合高校と千葉商業高校の2校だけで、県立高校のわずか1パーセントにすぎず、東京都の62%、神奈川県の23%と比べて大きく立ち後れており、全国的にみても最下位レベルとなっています。(別添)
そのために、エレベーターを必要とする生徒のいる高校では、生徒をおぶったり、車椅子ごと抱え上げて階段を移動したりと生徒たちも教職員の方たちもさまざまな困難と苦労を余儀なくされています。
私たちは、エレベーターを必要とする障害のある生徒も県立高校で、安全・安心な環境のもとで学ぶことができることを願っています。また、学校施設は、そこで学ぶ児童生徒のみならず、住民にとってももっとも身近な公共施設の一つであり、安全・安心な学校を作っていくことは、生徒だけでなく地域や社会全体にとっても重要なことであることは文部科学省が推進する「スクール・ニューディール」構想にも述べられている通りです。
また、平成21年1月に決定された第四次千葉県障害者計画の中に、県立高校のエレベーターの増加に努めると明記されています。
必要なところから県立高校へのエレベーター設置を行い、千葉県が施設面においても充実した教育の県となるよう、下記の通り要望いたします。是非実現されますようよろしくお願いいたします。なおお忙しいところ恐縮ですが、ご回答は9月28日までに文書でいただきますよう重ねてお願いいたします。
記
エレベーターを必要としている生徒のいる県立高校に早急にエレベーターを設置してください。
以上
※別添資料:平成19年度公立高等学校のエレベータ設置状況(47都道府県設置率順)〔PDF版8.21KB〕
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2009/9/7に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、エレベーター設置要望書の内容を掲載します。
エレベーターを必要としている生徒のいる県立高校への
エレベーター設置を求める要望書
千葉県立高校に在籍する障害児の学校生活につきましては、日頃よりご指導及びご尽力をいただき、お礼申し上げます。
移動が難しい生徒の学校生活につきましては、これまでもスロープや手すりの設置、トイレの改修など個々の生徒の実情に応じた学校施設の改修が行われてきました。また新設校や全面改修校にはエレベーターが設置され、バリアフリー化が着実に進んでいる事を実感し、感謝しているところです。しかしエレベーターの設置されている高校はまだごく少数であり、そのために、エレベーターを必要とする生徒たちはさまざまな困難と苦労を余儀なくされています。
私たちは、エレベーターを必要とする障害のある生徒も県立高校で、安全・安心な環境のもとで学ぶことができることを願って、下記の通り要望いたします。是非実現されますようよろしくお願いいたします。なおお忙しいところ恐縮ですが、ご回答は9月28日までに文書でいただきますよう重ねてお願いいたします。
記
【要望事項】
エレベーターを必要としている生徒のいる県立高校に早急にエレベーターを設置してください。
【要望の趣旨】
1.車椅子では受験する高校が限られてしまう
近年、中学校のバリアフリー化が進み、県内の公立中学校のエレベーター設置状況をみると、平成20年度は35校(県内全公立中学校の9.1%)で、平成19年の24校と比べ急速に増加しています。
市町村によっては、エレベーターを必要とする生徒のいる中学校にはすみやかにエレベーターを設置しているところもあり、車椅子を使っていても、地域の中学校にエレベーターがあることで、安心して学び、安全に学校生活を送っている生徒が増えています。
これに対して、現在エレベーターが設置されている県立高校は幕張総合高校と千葉商業高校の2校だけで、県立高校のわずか1パーセントにすぎず、東京都の62%、神奈川県の23%と比べて大きく立ち後れており、全国的にみても最下位レベルとなっています。(別添)
このため、いざ高校受験という時には、通学可能な距離にある県立高校にエレベーターが設置されていないことで、受験そのものをためらったり、あきらめたり、あるいは志望校を変更せざるを得ない生徒がいます。
エレベーターが無いことで希望する高校へ進めないということは、障害による不利益に他なりません。
2.階段移動が大きなストレスになっている
平成20年度の公立高校を対象とした調査(千葉「障害児・者」の高校進学を実現させる会が行った公開質問状)ではエレベーターを必要としている生徒のいる公立高校13校のうちエレベーターを使っていた高校は1校、昇降機を使用していたのは4校のみで、8校は学校職員や生徒たちがおぶったり抱きかかえたり、車椅子ごと持ち上げたりして人力での階段移動を行っていました。
このような人力での移動方法は介助する側にとって大きな負担ですし、危険でもあります。なによりも本人が毎回怖い思いをしています。
また、エレベーターさえあれば自分で移動できる生徒が、階段移動の度に常に人に頼らざるをえない事は、自立の時期を迎えた高校生にとって大きなストレスともなっています。
3.階段昇降機は遅くて危険
現在、車椅子使用の生徒に階段昇降機が整備されている高校がありますが、移動に時間がかかり、授業に間に合わない、トイレを我慢する、休み時間外に出られない等の事態が日常的に起こっています。昇降機自体の重量もかなりあり、転倒等安全面でも不安なばかりか、慣れた人でなければ扱えませんし、対応できる車椅子が限られているなど使い勝手の悪さから、整備されていても使用しない高校もあるのが現状です。遅くて危険な階段昇降機ではなく、エレベーターの設置が不可欠です。
4.第4次障害者計画に記載
ノーマライゼーションの進展に伴い、近年社会ではバリアフリー化が進んでいます。駅、スーパー、病院等あらゆる公共の施設等にはエレベーターが設置され、不自由なく移動できるようになっています。このような中で、現在、エレベーターがなくて困るのは学校だけという状況になってきています。
平成21年1月に決定、公表された第四次千葉県障害者計画にも教育機関のバリアフリー化として、県立高校のエレベーターの増加に努めることが明記されました。
現在エレベーターを必要とする生徒が在籍しているにもかかわらず、エレベーターが無いのはあまりにも障害者への配慮を欠いています。現に苦労している生徒と学校現場があり、県の方針として県立高校へのエレベーター増加が明記された今、エレベーター設置に踏み切らない理由はなにも無いのではないでしょうか。
5.安全・安心な県立高校に
私たちは、エレベーターを必要とする障害のある生徒も県立高校で、安全・安心な環境のもとで学ぶことができることを願っています。また、学校施設は、そこで学ぶ児童生徒のみならず、住民にとってももっとも身近な公共施設の一つであり、安全・安心な学校を作っていくことは、生徒だけでなく地域や社会全体にとっても重要なことであることは文部科学省が推進する「スクール・ニューディール」構想にも述べられている通りです。
6.別紙1・2に詳細を記載
エレベーターを必要としている生徒たちの現状については、別紙1・2に掲げる通りです。生徒が安全に安心して毎日の学校生活を送れるよう、一日も早くエレベーターを設置してください。よろしくお願いいたします。
以上
※別添資料:平成19年度公立高等学校のエレベータ設置状況(47都道府県設置率順)〔PDF版8.21KB〕
(別紙1・2は掲載省略)
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2009/5/25に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、2009年度要望書の内容を掲載します。
要 望 書
千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活につきましては、日頃からご指導及びご尽力をいただきお礼申し上げます。
私たちは、1989年以来、ノーマライゼーションの実現を求め、普通高校進学を願う障害児・者が、障害による差別や不利益を受けることなく希望した高校へ進学でき、同世代の仲間と共に高校生活を送れることを願って活動し、県教育委員会との話し合いを重ねてきました。
今年は当会から3人が受検に臨み、全員が合格し、新しい高校生活をスタートさせました。また今年当会の10人の仲間が高校を卒業することができました。
これまで、当会からは今年で104人が264回の受検に臨み、177回もの不合格(定員内不合格45回)に負けずに86人が千葉県の公立高校に入学、現在17人が高校生活を送っています。この数字は、一人一人の子どもたちが、落とされても落とされても、高校生になりたいと言い続け、受検に向かい続けて築き上げてきたものです。
同時に、貴委員会がノーマライゼーションの実現に向け、普通高校に入りたいと願う当事者の思いを受け止め、長年にわたって力を尽くしてくださった結果であり、深く感謝いたします。
しかしこのように障害児・者の入学実績が広がる中でも、点数の取れない知的障害児・者の前には相変わらず厚い壁が立ちふさがり続けています。
知的障害により点数を取ることの困難な子どもに、みんなと同じ試験を課し、点数をとって入って来いと言われる。選抜制度は知的障害により試験で点数のとれない子どもにとってはまさに差別的で理不尽な制度です。受検上の配慮については行われてきましたが、受検できたとしても、試験で点数がとれない事に変わりなく、障害による不利益は根本的に解消されないままです。
入りたい高校、近くの高校をあきらめ、定員の割れる高校、入れる高校を探して、移動に困難を抱える障害児・者が、電車を乗りついで1時間以上もかかる高校に通っている厳しい現実も続いています。
加えて、今年の受検では、昨年秋からの急激な景気の悪化で、公立高校の志願倍率が上昇し、高校で学びたいと願う障害児・者にとっては、さらに厳しい事態となりました。
どのような障害があっても、本人が必要とする合理的な配慮が受けられ、尊厳をもって安心して受検でき、障害による差別を受けることなく、希望する高校で学びたいという子どもたちの願いが叶えられ、入学後は安心して高校生活が送れるよう、下記の通り要望いたします。貴委員会として積極的に受けとめ、是非とも実現されますようお願い致します。
記
【要望事項】
《後期中等教育の保障》
1.
平成20年秋以降の急激な景気の悪化により、平成21年度入学者選抜では、公立高校に入学を希望する生徒が増え、志願倍率が上昇して、沢山の生徒が、高校で学びたいという希望をあきらめざるを得ない状況でした。また地域による偏りも顕著でした。平成22年度の「千葉県公立高等学校入学者選抜」においては、このような状況を充分に踏まえて、来春中学校を卒業する全ての生徒が入学可能な募集定員を設定し、高校進学を希望する全ての生徒の後期中等教育を保障して下さい。
2.
今年、大阪の定時制高校で、4月になってから異例の追加募集を行っています。定時制高校に出願が急増し、多くの不合格者が出たことに対応し、前例のない定員越えで募集枠を決めたと報じられています(資料1)。前項1の理由により、公立高校での教育ニーズが高まっている中で、昨年同様、沢山の生徒が高校進学の希望をあきらめざるを得ない状況が生じた時には、異例の緊急措置について検討して下さい。
3.
当会が県内の公立高校に行った公開質問状の集計結果では、平成20年9月時点で千葉県の公立高校45校に66名の障害のある生徒が在籍し、様々な工夫や配慮を受けながら高校生活を送っています。障害児・者が公立高校で学びたいという教育ニーズを保障するために、千葉県の公立高校(分校・分教室ではなく通常教室)への障害のある生徒の受け入れの拡大を千葉県の後期中等教育の方針として掲げて下さい。
4.
「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出して受検する知的障害のある生徒については、そもそも「学力検査」に偏った選抜方法自体が差別的であり、不利益であることを認識し、学力検査の結果のみで能力・適性がないと判断することのないよう、中学校生活の実態を充分に把握し、「中学校における教育の基盤の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施す」(学校教育法41条)ことを実現させて下さい。
《定員確保の徹底》
5.
受検者が定員に満たない場合には、公立教育機関として、高校で学びたいという意欲と希望をもつ受験生を全てまず受け入れるという千葉県の姿勢を明確に示して下さい。
6.
入学許可候補者A組の割合については、「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」にある通り受検者数が募集定員を超えるときは「募集人員の80パーセント」としたとしても、受検者数が募集定員以内の時はその割合を定めず全てA組とするようにして下さい。
7.
受検者が定員に満たないまま不合格者を出そうとする場合、公立高等学校の校長は県教育長に判断内容を報告し、教育長は校長の判断が「障害による不利益」に該当しないことを確認できるように、「事前協議」の制度を整えて下さい。
特に、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出し、障害による不利益がないよう求めている受検生については、定員を確保せずに不合格とする校長判断に、障害への差別や偏見がないことを確認できるようにして下さい。
8.
障害のある生徒が「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出したにもかかわらず、定員が満たない状況で「不合格」とされた場合、そのような判断をした校長は、校長の裁量の行き過ぎとして、処分の対象とするなど、断固とした態度で対処して下さい。
9.
平成20年度の入学者選抜において、定員内で不合格となった受検生は述べ215人であり、平成19年度より35名増加しています。平成21年度は定員割れする高校が少なかったにもかかわらず、定員内不合格は相変わらず続いています。募集定員は県民に公約した数字であり、高校進学を希望し受検した者は、募集定員内であれば、高校教育の機会が与えられるべきです。毎年貴職は「千葉県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知)」を出し、「定員確保に努めること」としているのに、定員内不合格者が増加する状況は、貴職の職務怠慢といわざるを得ません。前年度受検者が定員に満たないまま不合格者を出した高等学校及び、例年「定員」を確保しないまま教育を行っている高等学校の校長及び教職員の「定員確保」についての認識等を教職員課において把握し、必要に応じて研修、対話、情報提供等を行い、県民への公約である「定員確保」の徹底を図り、定員内不合格者を無くして下さい。
10.
第2次募集を行っても定員に満たない高校については、全日制、定時制に関わらず期間を定めずに追加募集を行えるようにして下さい。
11.
平成21年度入学者選抜における定員内不合格者数を明らかにして下さい。
12.
平成21年度入学者選抜において、定員内不合格者を出した高校に対しては、平成20年度と同様に、貴職から事情聴取を行い、その内容を公表して下さい。
また、今後も毎年実施し、公表して下さい。
《「検査」実施における「合理的配慮」に基づく措置》
13.障害のある生徒の入学者選抜の学力検査の実施において、通常の学力検査の方法では実施困難で、かつ時間延長等の措置が困難な障害に配慮するため、東京都で十数年前から実施しているマークシート方式での受検を取り入れて下さい。
14.移動に困難を抱える障害のある生徒にとっては、乗り物を乗り継いで長時間かけて遠くの高校に通うことが困難です。「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、「障害のある生徒で、現住所から通学至便な公立高校を希望し、その他の公立高校に通学することが困難と認められる者」について、自宅から近い距離にある公立高校で教育を受ける権利を保障するため、現在東京都で行われている「選考の特例」と同様の措置を検討して下さい。
15.多くの高等学校で「作文」が選抜の課題にされていますが、文字や文章を書くことが困難な障害に対する配慮はほとんど考えられていません。視覚障害への配慮として点字での受験があるように、言葉の障害のある生徒に対して「面接」や「介助者との会話」等を「作文」に代わるものとして正式かつ正当に評価するための指針を「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」に明記して下さい。
16.受検時の時間延長については東京、大阪等ですでに認められ、千葉県でも平成11年度の「推薦による入学者選抜」において、筋肉の力が弱くて字を書くことが困難な生徒に対して、「特別配慮」として時間延長が認められました。手に麻痺があったり、筋肉の力が弱くて字を書くことが困難であったり、視覚障害のため点字で受検したりする生徒に「特別配慮」として時間延長を認めることは障害による不利益な取り扱いをしないための当然の配慮です。全ての受検において、障害による不利益を被らないよう、必要とする生徒に「特別配慮」として時間延長を認めて下さい。
《選抜上の障害者差別をなくすための配慮》
17.自己申告書の扱いについては、千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項に「これを選抜のための資料に加えることができる。」と記されています。このため、現在、自己申告書の扱いは各高校によりまちまちで、平成20年度入学者選抜においても、自己申告書を選抜の資料として用いなかった高校もあります。この記載では高校間に取り扱いの差が生じ、選抜での公平性が確保されず、受検した高校によって障害による不利益が生じます。また高校では、読んだが不利にも有利にもしなかった、として参考程度にとどまる扱いとなっています。受検そのものに不利益を抱える受検生が提出する書類を参考程度として扱われるのでは、自己申告書を提出した生徒の不利益は解消されないままとなります。自己申告書を選抜の資料として位置付けるとともに、選抜のための重要な資料として有利に働くようにして下さい。
18.学力検査の点数という同一の基準を、障害のある人とない人にそのまま当てはめることは、知的障害者に対する差別であり、選抜における不利益は増すばかりです。配慮してはじめて平等になるのですから、検査実施時のみならず、選抜においても障害に配慮した判定を行う必要があることを、「千葉県公立学校入学者選抜実施要項」の「選抜方法」の項に記載して下さい。
19.前項と同様の理由、及び、選抜・評価の多様化を図る特色化選抜の理念を継承するため、平成23年度以降の前期選抜の選考方法において、資料全体(①学力検査の得点
②2日目の検査の結果
③調査書等)に占める各資料の割合において「①学力検査の得点」の比重が大きくならないようにして下さい。
《障害のある高校生の学校生活について》
20.小・中学校においては加配の教職員が配置されている場合でも、本人の成長に合わせて適度な距離をおいて見守っているのに比べ、高校では本人及び周囲の生徒もより成長しているにも係らず、絶えず教職員が側にいることで、本人の自立や周囲との関係を損ねている場合があります。そこで、障害のある生徒や様々な配慮を必要とする生徒たちに対して、ただ一人の担当職員だけが世話をするという意識ではなく、全ての教職員が学校生活全般にわたり、普通教育を受ける上での必要な配慮を行うという意識が作られるようにして下さい。
21.教室移動を伴う授業や、修学旅行、校外学習等の行事において、生徒の障害を理由として、親の付き添いを求められたり、参加を拒まれたり、制限されたりして授業が受けられなかったり、校外学習に参加できないという差別が行われている事例があります。生徒の障害を理由として親の付き添いを求められたり、参加を拒まれたり、制限されたりする事なく、全ての授業に参加できるようにして下さい。
22.千葉県の公立高校において、「移動に困難をかかえている障害児」の在籍する高校(松戸南高校・流山南高校)に早急にエレベーターを設置して下さい。
23.就職を希望する生徒のいる高校には、担当の教職員が求職の情報や知識が充分に得られるようにし、職場開拓も含めて積極的に取り組めるようにして下さい。
《中学校における理解について》
24.中学校の進路指導等において、障害のある生徒の普通高校進学の選択肢が狭められることなく、公立高校進学について充分な理解と配慮が得られるように、市町村教委及び中学校を対象とした「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項説明会」において、次のことを行って下さい。
(1)「特別配慮申請書」及び「自己申告書」の趣旨並びに取り扱いについて、指導を徹底すること。
(2)「『障害のある生徒』の高校入学に係る資料」「入学者選抜に係る障害をもつ生徒への配慮・対応」を配布し、その内容の理解を進めること。
(3)進路指導において、特別支援学校高等部への進学を一方的に勧めたり強制することのないよう徹底すること。
(4)障害のある生徒の「指導要録」や「調査書」の記述が高校受験の際「不利益」にならないよう徹底すること。
《特別支援教育ではなく普通教育の充実を》
25.公立高校内への特別支援学校の分校・分教室設置は、今まで「障害」により分離された空間のなかった公立高校の中にあえて「障害のある生徒だけ」を受け入れる場を作ることになります。同様に、高校内において、これまで分離を基本とする教育内容・教育方法を行ってきた特別支援学校からの助言・支援・連携により特別支援教育体制づくりを進めることも、普通高校(普通教室)での障害のある生徒に対する別扱いや取り出し授業等の分離に繋がることが危惧されます。新たな「分離の場」を教育の場に持ち込むことや、特別支援教育(特殊教育)を普通教室に持ち込むのではなく、当会と県教育委員会及び高校の先生方と協力しながら積み上げてきた障害児の普通高校進学の取り組みの成果と理解を広め、これまで通り、どんな障害があっても希望する公立高校で、普通教育の中での工夫や配慮により、高校・クラスの一員として学校全体で受け止め、分け隔てられることなく安心して後期中等教育が受けられるようにして下さい。
以上
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2009/1/7に千葉県教育委員会教育長宛に提出した、高校入試に関する要望書の内容を掲載します。
2011(平成23年)年度以降の千葉県公立高等学校入学者選抜について
障害のある受検生への不利益を解消するための改善を求める要望書
千葉県公立高校に在籍する障害児・者の学校生活につきましては、日頃から御指導及び御尽力をいただきお礼申し上げます。
2008年度千葉県公立高等学校入学者選抜方法等改善協議会において、平成23年度以降の入学者選抜について検討が進められてきました。今年度中には貴委員会により改善案が取りまとめられると伺っています。
これまでの公立高校入学者選抜では、障害のある受検者は、受検においても、選抜においても、さまざまな不利益(差別)を受けてきました。
貴委員会が、入試改善の検討を取りまとめるにあたっては、公立高校の入学者選抜における障害のある生徒への不利益(差別)の解消の機会として取り組んでいただきたく、下記要望いたします。ぜひ実現されますようお願いいたします。
記
《高校進学を希望するすべての人への後期中等教育の保障》
1.
平成20年度の入学者選抜において、定員内で不合格となった受検生は延べ215人であり、平成19年度より35名増加しています。募集定員は県民に公約した数字であり、高校進学を希望し受検した者は、募集定員内であれば、高校教育の機会が与えられるべきです。
入学許可候補者A組の割合を定めるのであれば、現行の「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」にあるとおり受検者数が募集定員を超えるときは「募集人員の80パーセント」としたとしても、受検者数が募集定員以内のときはその割合を定めず全てA組とするようにしてください。
2.
障害を理由とした不合格は、障害者差別であることは明らかです。特に、受検者が募集定員に満たない中で障害を理由とした不合格が生じたとすれば、障害当事者の人生にとって多大な損害を与えることになります。
受検者が募集定員に満たないまま不合格者を出そうとする場合、公立高等学校の校長は県教育長に判断内容を報告し、教育長は校長の判断が「障害による不利益」に該当しないことを事前に確認する制度としてください。
3.
エレベーターが設置されていない事で、受験そのものを諦めざるをえない障害児・者がいます。早急に公立高校にエレベーターを設置し受験機会の公平化を図ってください
4.
第2次募集を行っても定員に満たない高校については、全日制、定時制に関わらず期間を定めずに追加募集を行えるようにし、高校に入学を希望する最後の一人まで、入学できるようにして下さい。
《「検査」実施における「合理的配慮」に基づく措置》
5.
障害のある生徒の入学者選抜の学力検査の実施において、通常の学力検査の方法では実施困難で、かつ時間延長等の措置が困難な障害に配慮するため、マークシート方式での受検を取り入れて下さい。
6.
受検時の時間延長については東京、大阪等ですでに認められ、千葉県でも平成11年度に特別配慮申請により時間延長が認められた例がありますが、学力検査においては認められてきませんでした。手に麻痺があったり、筋肉の力が弱くて字を書くことが困難であったり、視覚障害のため点字で受検したりする者に時間延長を認めることは、障害による不利益な取扱いをしないための当然の配慮であり、千葉県職員採用試験や大学入試などで広く実施されています。
全ての入学者選抜において、時間延長を必要とする障害のある生徒は、必要に応じて時間延長の措置が受けられるようにしてください。
7.
多くの高等学校で「作文」が選抜の課題にされていますが、文字や文章を書くことが困難な障害に対する配慮はほとんど考えられていません。視覚障害への配慮として点字での受検があるように、書字の障害のある生徒に対して「面接」や「介助者との会話」等を「作文」に代わるものとして認め、「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」に明記してください。
《選抜上の障害者差別をなくすための配慮》
8.
移動に困難を抱える障害のある生徒にとっては、乗り物を乗り継いで長時間かけて遠くの高校に通うことが困難です。「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、「障害のある生徒で、現住所から通学至便な公立高校を希望し、その他の公立高校に通学することが困難と認められる者」について、自宅から近い距離にある公立高校で教育を受ける権利を保障するため、現在東京都で行われている「選考の特例」(別添1・別添2)と同様の措置を行ってください。
9.
障害があることによって生ずる事柄を説明した「自己申告書」を提出した受検生については、「自己申告書」を選抜のための重要な資料として点数化してください。
10.
現在の入試改善案では、ペーパーにより教科の狭義の学力を評価する「学力検査」が各選抜において課されます。学力検査の点数という同一の基準を、障害のある人とない人にそのまま当てはめることは、知的障害者に対する間接差別であり、選抜における不利益は増すばかりです。
配慮してはじめて平等になるのですから、検査実施時のみならず、選抜においても障害に配慮した判定を行う必要があることを、「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」の「選抜方法」の項に記載してください。
11.
前項と同様の理由、及び、選抜・評価の多様化を図る特色化選抜の理念を継承するため、前期選抜の選抜方法において、資料全体(①学力検査の得点 ②2日目の検査の結果
③調査書等)に占める各資料の割合において「①学力検査の得点」の比重が大きくならないようにしてください。
以上
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2008/5/21に千葉県教育委員会教育長宛に提出した2008年度要望書の内容を掲載します。
要望書
千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活につきましては、日頃から御指導及び御尽力をいただきお礼申し上げます。
私たちは、1989年以来、ノーマライゼーションの実現を求め、普通高校進学を願う障害児・者が、障害による差別や不利益を受けることなく希望した高校へ進学でき、同世代の仲間と共に高校生活を送れることを願って活動し、県教育委員会との話し合いを重ねてきました。
今年は当会から8人が受検に臨み、7人が合格、6人が新しい高校生活をスタートさせました。また今年当会の6人の仲間が高校を卒業することが出来ました。
これまで、当会からは今年で102人が257回の受検にのぞみ、173回もの不合格(定員内不合格45回)に負けずに83人が千葉県の公立高校に入学、現在24人が高校生活を送っています。この数字は、一人一人の子ども達が、落とされても落とされても、高校生になりたいと言い続け、受検に向かい続けて築き上げてきたものです。
同時に、貴委員会がノーマライゼーションの実現に向け、普通高校に入りたいと願う当事者の思いを受け止め、長年にわたって力を尽くしてくださった結果であり、深く感謝いたします。
しかしこのように障害児・者の入学実績が広がる中でも、点数の取れない知的障害児・者の前には相変わらず厚い壁が立ちふさがり続けています。
毎年、定員が大きく割れる中でも障害のある子どもたちは当然のように落とされ続けてきました。
今年「2次募集」で不合格となったAさんは、その日のうちに、きっぱりと次も受検する事を表明して、「追加募集」で長生高校定時制を受検しました。16名募集のところAさん1名が受検し、たった1名の受検だったのに不合格という信じられない結果でした。
長生高校は、3度の受検を落とされ、落とされ、それでも高校生になりたいと、力を振り絞って受検したAさんを「高校の教育を受けるに足る能力・適性がない」として不合格にしました。しかも校長は、Aさんに対して言葉をかけてほしいと話した時に「本人に理解できますか」という発言をしました。会では3月31日に県教委と校長宛に「入学者選抜に係る抗議及び申し入れ書」を提出し、長生高校の差別的な判定と差別発言に強く抗議するとともに、Aさんが被った不利益の回復を求めて申し入れを行いました。
また、Bさんは「学力等による入学者選抜」で布佐高校の定員が割れている中で不合格になりました。
AさんとBさんは、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出しての受検でした。それにもかかわらず、定員が満たない状況で「不合格」とされました。「千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項」において「募集定員の確保に努める」ことが明示され、かつ「障害」があることで差別や不利益を被ることのないように制度化された「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出しているにも関わらず定員内で不合格にするという判断は、障害児・者への差別にほかなりません。
定員確保の通知が守られていれば、Bさんは、駅に近くて通学しやすい布佐高校に入学でき、Aさんもみんなと一緒に高校生になれたはずでした。席が空いているのに障害のある子は座らせてもらえない。こんな差別的で理不尽な事はありません。
今後、定員内で不合格とされる障害児・者が1人もいなくなることを願い下記要望いたします。貴委員会として積極的に受けとめ、ぜひとも実現されますようお願いいたします。
記
【要望事項】
1.
平成21年度の「千葉県公立高等学校入学者選抜」において、来春中学校を卒業する全ての生徒が入学可能な募集定員を設定し、高校進学を希望する全ての生徒の後期中等教育を保障して下さい。
2.
上記1の実現に向けて、受検者が定員に満たない場合には、原則として、公立教育機関として、高校で学びたいという意欲と希望をもつ受験生をすべてまず受け入れるという千葉県の姿勢を明確に示して下さい。
特に、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出して受検する知的障害のある生徒については、そもそも「学力検査」に偏った選抜方法自体が差別的であり、不利益であることを認識し、一回の学力検査の結果のみで能力・適性がないと判断することのないよう、中学校生活の実態を十分に把握し、「中学校における教育の基盤の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施す」(学校教育法41条)ことを実現させて下さい。
3.
受検者が定員に満たないまま不合格者を出そうとする場合、公立高等学校の校長は県教育長に判断内容を報告し、教育長は校長の判断が「障害による不利益」に該当しないことを確認できるように、「事前協議」の制度を整えて下さい。
特に、「特別配慮申請書」及び「自己申告書」を提出し、障害による不利益がないよう求めている受験生については、定員を確保せずに不合格とする校長判断に、障害への差別や偏見がないことを確認できるようにして下さい。
■「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」が、2005/7/14に千葉県教育委員会教育長宛に提出した要望書の内容を掲載します。
ノーマライゼーションの進展に対応した
千葉県の障害児教育の検討に対する要望書
千葉県公立高校に在籍する障害児の学校生活につきましては、日頃から御指導及び御尽力をいただきお礼申し上げます。
私たちは、1989年以来、ノーマライゼーションの実現を求め、普通高校進学を願う障害児・者が、障害による差別や不利益を受けることなく希望した高校へ進学でき、同世代の仲間と共に高校生活を送れることを願って活動し、県教育委員会との話し合いを重ねてきました。
当会からは今年で64人が千葉県の公立高校に入学し、2005年5月現在25人が在籍して様々な支援を受けながら堂々と高校生活を送っています。平成17年度は当会から16人が受験し、12人が公立高校に入学しました。6年間17回受験して高校の門をたたき続け、5浪の末ついに入学を果たしたMさんは今笑顔で高校に通っています。
これまで知的障害を持つ生徒を受け入れた実績を持つ千葉県の公立高校は37校にも及び、全国的にも際立っています(資料1)。この数字は146回にも及ぶ不合格(「定員内不合格」39回)に負けずに、落とされても落とされても高校生になりたいといい続け、受験に挑戦しつづけた障害児・者自身が築き上げてきたものです。そしてまた同時に千葉県教育委員会が当事者の思いを受け止め、障害児・者の高校進学について、様々な差別や不利益をなくすために全庁挙げて「何かできることはないか」を考え、長年にわたって力を尽くしてくださった結果を表す数字でもあります(資料2)。
また、当会からのみならず様々な障害を持つ生徒が、近年普通高校への進学を希望して高校の門をたたいています。障害を持つ生徒が受検時の配慮を求める「特別配慮申請書」の提出延べ数は、平成15年度入学者選抜時48、平成16年度55、平成17年度79と増加し、障害を理由とした「自己申告書」提出者は平成17年度入学者選抜において延べ117となっています。養護学校高等部ではなく普通高校への進学を希望している障害を持つ生徒が増えている現状の中で、様々な障害を持つ生徒を受け入れるため、県教育委員会は受験者及び入学者に対しての配慮、施設や備品の整備、人的配置を行ってきました。(資料3・4・5)
また高校現場で毎日知的障害を持つ生徒と一緒に生活してくださっている校長・教頭・教師からは「この子は何でも分かっています」「付き合ってみなければ分からない。いろいろ勉強になります。教育とは何かを考えさせられました」「障害のある生徒がいることで、生徒一人一人を大切にするようになりました」「周りの生徒が変わり、手助けするようになりました」などの声が様々な場所で聞かれるようになりました。
高校において障害のある生徒が様々な配慮や支援を受けながら、障害のない生徒と共に学ぶ姿はまさに教育におけるノーマライゼーションの実現そのものです。県教育委員会及び高校現場での障害を持つ生徒を受け入れるとりくみは、ノーマライゼーション社会の進展であり、ノーマライゼーション社会の実現をめざす千葉県の方向性と一致したものとして高く評価されます。この経験は教育のみならず社会のノーマライゼーションを進める上での貴重な体験であり、県民と県にとっての大事な財産でもあります。
しかし、このように障害のある生徒の受け入れが少しずつ進んでいる一方、私たちは、今の社会の中で障害児・者の参加が最も拒まれている場所のひとつが「高等学校」だということも強く感じてきました。
入学者選抜制度が障害のある生徒たちの前に大きく立ちはだかっています。これまで当会から82人の子供たちが210回の受検にのぞみ、落とされても落とされても、負けずに高校生になりたいと願ったにもかかわらず18人は千葉県の公立高校に入学することができませんでした。受検においては特別配慮の制度により、多少の配慮が実現しました。しかし現実には多くの生徒たちが定員内でも不合格になっています。今年も当会の子ども4人が定員内で不合格にされました。
千葉県では毎年3桁にのぼる定員内不合格者を出し続けています。(資料6)
高校生になりたいと願って受検をしている15歳の生徒たちに対して籍があいているにもかかわらず門戸を閉ざしている高校の姿は、97%の高校進学率にもかかわらず一部の生徒を疎外するものです。また知的な障害を持つ生徒に対して学力検査を課し、障害のない生徒と同列に並べた結果、点数が足りないからと排除することは障害による差別にほかなりません。
また、これまで障害を理由として、教育の場所を分けてきたことは社会全体のノーマライゼーションの進展にとっても大きな障害となってきました。障害者施設定員数は増加しつづけ、千葉県の近年における知的障害者入所者定員数(千葉市と船橋市を除く)を見ても平成15年10月1日から平成17年4月1日までの1年半の間に3.5%増加しています。障害児・者が分け隔てられた教育は障害者が地域で当たり前に生きていくことにつながらず、分けられた教育からそのまま分けられた社会へとつながりつづけてきた現実があります。
2003年3月文部科学省調査研究協力者会議の『今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)』により、「障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換」が図られることとなりました。
千葉県でも、一昨年度から『ノーマライゼーションの進展に対応した障害児教育の検討会議』(以下「検討会議」という)が行われ、千葉県の特別支援教育の基本的な考え方として「児童生徒が、地域でともに学ぶ機会が得られる教育を目指す」ことが掲げられています。しかし、具体的には交流教育の推進、小・中・高校への養護学校分校分教室の設置など、分けることを前提としたものでしかなく、普通高校で共に学ぶための支援は全く扱われていません。検討会議の『1年次のまとめ』では、今まで述べたような障害の状況にかかわらず普通高校に通っている障害児が多数いる現状にも、これまで県教育委員会が行ってきた取り組みにも一言も触れられていませんでした。
これは3月に出された『千葉県の特別支援教育の在り方について(提言)中間まとめ』(以下「中間まとめ」という)においても同様であり、場を分ける事を前提とした分校・分教室の併置を「共に学ぶ」教育としているなど、このままでは、県教育委員会自身の取り組みが評価され、生かされ、教育におけるノーマライゼーションが進む方向に行くのではなく、むしろ後退の方向にむかう事が強く懸念されます。
「中間まとめ」に対して4月から5月にかけて行われた「パブリックコメント」では、多様な意見が集まり、「中間まとめ」で示された提言をこのまま推し進めることに明確に反対をし、「統合教育」に方向転換を求める内容も多く寄せられていました。一人一人に応じた教育は、場を分けたままの教育システムの中では「障害の有無に関わらず共に学ぶ」教育としては機能せず、みんなの中にいるのは無理な子どもとして、より分離が進むことを強く危惧します。
また、検討会議が秘密裏に開始され、開会日程の公表、傍聴、委員名簿の公表は県民からの要望によってやっと実現し、当事者参加、県民参加、県民との直接対話はいまだ実現していない状況は、県の施策の企画段階から当事者を含む県民と行政が一体となって分野横断的に取り組む「健康福祉千葉方式」により策定された地域福祉支援計画や第三次障害者計画と比較すると「異常」ともいえます。検討会議は、複数の当事者を含む県民参加のもと、健康福祉千葉方式にならって分野横断的につくられるべきであったと思います。
さらに、千葉県地域福祉支援計画で、教育については「障害のあるなしにかかわらず、子どもの頃から共に育ち、共に遊び、共に学び、共に働くというノーマライゼーションの意識の醸成と実現を図るとともに、子ども、障害者、高齢者の特性・コミュニケーション方法を理解できる教育を行うことが重要です。」と記され、第三次千葉県障害者計画ではより具体的に「障害を理由に分けられることなく、小・中学校等の通常の学級でも、特別な教育ニーズに合わせた教育ができるようにする必要があります。この際、当事者の意思の尊重と教職員の意識改革、支援体制や環境の整備を併せて行う必要があります。」としています。したがって「共に学ぶ」とは具体的には「障害を理由に分けられないこと」であることが明らかです。それにもかかわらず「分けること」を前提とした検討会議の中間まとめは、県の施策と著しく整合性を欠くものです。このような千葉県の教育のみならず県民福祉の方向性に関わる根源的な問題に整合性を欠いたままで検討を進めることは、これまで「健康福祉千葉方式」により築き上げてきた県の施策と県民をないがしろにするものです。
また千葉県の教育は教育だけの問題ではなく広く県民福祉の問題でもあります。したがって千葉県の障害児教育についての検討は教育委員会中心の検討ではなく広く「第三次千葉県障害者計画」「千葉県地域福祉支援計画」策定に関係した各課はじめ障害当事者、県民の参加のもと、教育のノーマライゼーションを進めてきた実態を明らかにするところから始められるべきものと考えます。
千葉県は今こそ「分離教育」から「統合教育」へと千葉県の方針転換を図る事をめざして検討するべきです。
「統合教育」へと県が方針転換することはすでに宮城県で行なわれていることを見ても明らかなように、現行の法制度上で充分可能です。障害のある児童生徒が普通学級に措置されることは現行法制度上違法ではなく、現にこれまで何万人もの障害のある児童・生徒が小中学校普通学級に措置され、高等学校においても入学、進級、卒業しています。小中学校で障害のある児童・生徒に対応した人的配置や、施設改修が行われている自治体もあります。
「中間まとめ」においても共に学ぶ教育の方向性がしめされ、「通常学級に在籍する学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、高機能自閉症等のある児童生徒を含めたすべての障害のある幼児児童生徒」に対して一人一人に応じた適切な支援を行うことが述べられていることから、地域の普通学級への入学を基本とし、場を分けた教育を例外とすることは、県の方針転換の問題でしかありません。
さらに、統合教育が世界の流れとなっており、日本でも他県が統合教育に方向転換した中で、千葉県が「障害者差別と思われる事例の募集」で明らかになった分離教育による県民の苦しみや辛さ、被差別による被害の多さ、大きさを知り、差別との指摘があるのにそれを過小評価して対応を先送りし、その結果、障害のある子どもと家族、のみならず県民福祉に取り返しのつかない犠牲を生み続けることは、ハンセン病問題で目の当たりにした「行政の不作為」が千葉県の教育でも繰り返されることになります。
特別支援教育の検討を契機に、統合教育へ大きく舵を切った宮城県では、障害の有無にかかわらずすべての児童生徒が小中学校の普通学級で共に学ぶ教育の展開を将来構想の基本理念に掲げ、今後10年間をかけて整備を行うことを表明しました。
私たちは、千葉県の障害児教育の検討が真のノーマライゼーションに向けたものとなることを切に願い、下記のとおり要望いたします。是非実現されますようお願いいたします。
なお、お忙しい中恐縮ですが、要望事項に対する回答は7月28日までに書面にていただきますよう重ねてお願いいたします。
記
【要望事項】
1.「統合教育」を千葉県の教育の方針に掲げ、障害の状況にかかわらずどの子も地域の小・中学校普通学級・公立高等学校で学べるようにしてください。
2.養護学校分校・分教室の設置は行わないで下さい。
3.『ノーマライゼーションの進展に対応した障害児教育の検討会議』は、知事部局にまたがる横断的な体制、委員の公募、公開の在り方、当事者・関係団体からの意見聴取、県民参加の機会等について見直し、健康福祉千葉方式により再編してください。
4.1.の実現のため、千葉県教育委員会がこれまで障害児・者の普通高校進学実現のために取り組んできたこと及び現状について検討会議で報告・検討を行なって下さい。
5.「第三次千葉県障害者計画」「千葉県地域福祉支援計画」策定に関係した各課は、検討会議に参加し、県の施策との整合性を図り、「統合教育」の方向性を明示してください。
千葉「障害児・者」の高校進学を実現させる会
添付資料
(資料1) 障害児・者の在籍(卒業)高校一覧《千葉県版2005》
(資料2) 千葉県教育委員会が取り組んできた「障害児・者」の高校進学のための主な取り組み
(資料3) 入学者選抜における特別配慮申請書提出状況・平成17年度入学者選抜自己申告書提出状況
(資料4) 平成16年度入学者選抜における障害のある生徒等への配慮・対応について
(資料5) 平成16年度千葉県公立高校に在籍する障害のある生徒に配慮する人的配置の状況
(資料6) 平成17年度(2005年度)千葉県公立高校入学者選抜において定員内不合格を出した高校及びその人数
(資料2)千葉県教育委員会が取り組んできた「障害児・者」の高校進学のための主な取り組み
(※『千葉「障害児・者」の高校進学を実現させる会』がこれまでの経緯をまとめたもの)
1 教育の機会の保障に向けて
(1)定員確保を求める通知と「障害を持つ生徒の取扱いについて」(通知)を出す。(1990年)
(2)「平成9年度入学者選抜実施要綱」の中に「定員確保に努める」という文章を書き入れる。
(3)計画進学率を上昇。
2 入学者選抜における不利益の解消に向けて
(1)受験した生徒を点数で上からA,B,Cに分けてC組は始めから判定会議の対象外として不合格としていたやり方を変え、Cをなくして受験者全員を判定会議の対象とする。(1990年~)
(2)「特別配慮申請書」を新しく作り、県内全部の公立中学校・高校に配布。(1996年~) (これにより様々な障害を持つ生徒が受験の時に必要な配慮を希望できるようになり、障害のある生徒の高校受験が広く認められることとなる)
(3)不登校生徒だけではなく、障害のある生徒が使える「自己申告書」を全国ではじめて作成した。(1998年~)
3 必要な配慮や支援等の環境整備に向けて
(1)障害児・者の入学に当たって学校長からの要請があれば人的配置を行う(教職員の増員)。(1996年~)
(2)障害児・者の入学に当たっての施設の改修(1996年~)
(3)障害児・者が入学した高校の管理職の情報交換のための会議を行う。(2000年~)
4 教職員の意識改革に向けて
(1)管理職の研修で、障害のある生徒の高校進学についての研修を行う。
高等学校名( 高等学校/全日制 定時制 通信制)
校長先生名( )
Ⅰ.障害のある生徒の在籍・現状について
質問1 現在、貴校に、障害のある生徒は在籍していますか?
a.在籍していない
b.在籍している(1年 人)(2年 人)(3年 人)(4年 人)
c.その他( )
質問2【質問1で「b.在籍している」高校にお聞きします。】
(1)県立高校ではこれまで新築・改築時にエレベーターが設置されてきましたが、後付けで設置される高校も毎年2基ずつではありますが設置されるようになってきました。貴校に在籍する生徒で、エレベーターを必要とする生徒はいますか?
a.いない
b.いる →現在、階段移動の介助はどのように行っていますか?(複数回答可)
ア.エレベーターを使用
イ.階段昇降機を使用
→操作は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
ウ.車イスに乗ったまま持ち上げている
→介助は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
エ.抱きかかえたり背負ったりしている
→介助は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
オ.その他( )
c.その他( )
(2)貴校に在籍する生徒で、「医療的ケア」の必要な生徒はいますか?
(※医療的ケアとは、たんの吸引、経管栄養、導尿、人工呼吸器等、日常的に行われる医療的な介助行為)
a.いない
b.いる →どのような医療的ケアですか?
ア.吸引
イ.経管栄養
ウ.導尿
エ.その他( )
→誰が行っていますか?(複数回答可)
ⅰ保護者 ⅱ本人 ⅲ学校職員 ⅳその他( )
(3)現在、貴校に、障害のある生徒に配慮する目的で、「臨時的任用講師」、「非常勤講師」、「特別支援教育支援員」等の人的配置がされていますか?
a.人的配置は必要ない
b.人的配置は必要だが、配置されていない
c.人的配置がされている →(職名及び選択肢に○を付け、カッコ内にご記入ください)
ア.臨時的任用講師:人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
イ.非常勤講師:人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
ウ.特別支援教育支援員:人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
エ.その他(職名 ):人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
(4)障害のある生徒の学校生活で、保護者に付き添いを依頼したことがありますか?
a.ない
b.ある
c.その他( )
(5)学校生活における障害のある生徒への配慮や対応について、「貴校での基本的な考え方」、「困っていることや改善・検討を要する課題」があればお書きください。
Ⅱ.入学者選抜について
質問3 平成26年度入学者選抜において、貴校で、『特別配慮申請書』を取り扱いましたか?
a.取り扱っていない
b.取り扱った(延べ 件)
c.その他( )
質問4 平成26年度入学者選抜において、貴校で、『自己申告書(障害を理由としたもの)』を取り扱いましたか?
a.取り扱っていない
b.取り扱った(延べ 件)
→ 受理した『自己申告書(障害を理由としたもの)』は、選抜の資料として用いましたか?
ア.用いなかった(その理由: )
イ.用いた →どのように用いましたか?(複数回答可)
ⅰ.教職員の前で読み上げた
ⅱ.教職員に資料として配付した
ⅲ.評価尺度・基準として位置付けている
ⅳ.その他( )
c.その他( )
質問5【質問3又は質問4で「b.取り扱った」と回答された高校にお聞きします。】
平成26年度入学者選抜において『特別配慮申請書』又は『自己申告書(障害を理由としたもの)』を提出した者で、貴校に入学した生徒はいますか?
a.いない
b.いる( 人)
c.その他( )
質問6 公立高等学校における募集定員は県民への約束であり、県教育委員会も定員確保に努めるよう通知しています。平成26年度入学者選抜における、定員内不合格の有無についてお答え下さい。
a.受検者数が募集人員に満たない選抜はなかったので、定員内不合格者は出していない。
b.受検者数が募集人員に満たない選抜はあったが、定員内不合格者は出していない。
→その理由をお書き下さい。
c. 定員内で不合格者を出した。
→その理由をお書き下さい。
質問7 【質問6で「c. 定員内で不合格者を出した」高校にお聞きします。】
(1)定員内不合格者数をお書き下さい。
学科 |
前期 |
後期 |
2次募集 |
追加募集 |
その他の選抜 |
科 |
人 |
人 |
人 |
人 |
人 |
科 |
人 |
人 |
人 |
人 |
人 |
(※この質問に対し回答のない場合は、添付資料の定員内不合格一覧表のとおり、県教育委員会の資料をもとに算出した数字を公表させていただきます。)
(2)定員内不合格となった者の中に、『特別配慮申請書』又は『自己申告書(障害を理由としたもの)』を提出した生徒はいましたか?
a.いない
b.いた(延べ 人)
c.その他( )
Ⅲ.その他
質問8 私たちは1989年以来、「障害」の有無にかかわらず誰もが地域で当たり前に暮らせる社会を求める立場から、障害のある生徒の“高校生になりたい”という願いを実現させるため活動してきました。これまでに私たちの会から、試験で点数を取ることが難しい等、様々な障害のある「障害児・者」が千葉県の公立高校に113名入学し、現在17名が在籍して高校生活を送っています。これは全国的にも際立っており、県の教育委員会はじめ、学校現場で教職員一人一人が子どもたちの願いを受け止め、日々付き合うことで理解を深めてきて下さったことを示す数字でもあり、深く感謝いたします。そこで教育的・社会的意義等も含め障害のある人もない人も高校で共に学び、生きることについてお考えをお聞かせ下さい。また、このために校内でどのような取り組みが必要であるか、お考えをお聞かせ下さい。
第19回公開質問状(2013年度)
高等学校名( 高等学校/全日制 定時制 通信制)
校長先生名( )
Ⅰ.障害のある生徒の在籍・現状について
質問1 現在、貴校に、障害のある生徒は在籍していますか?
a.在籍していない
b.在籍している(1年 人)(2年 人)(3年 人)(4年 人)
c.その他( )
質問2【質問1で「b.在籍している」高校にお聞きします。】
(1)県立高校ではこれまで新築・改築時にエレベーターが設置されてきましたが、後付けで設置される高校も毎年2基ずつではありますが設置されるようになってきました。貴校に在籍する生徒で、エレベーターを必要とする生徒はいますか?
a.いない
b.いる →現在、階段移動の介助はどのように行っていますか?(複数回答可)
ア.エレベーターを使用
イ.階段昇降機を使用
→操作は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
ウ.車イスに乗ったまま持ち上げている
→介助は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
エ.抱きかかえたり背負ったりしている
→介助は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
オ.その他( )
c.その他( )
(2)貴校に在籍する生徒で、「医療的ケア」の必要な生徒はいますか?
(※医療的ケアとは、たんの吸引、経管栄養、導尿、人工呼吸器等、日常的に行われる医療的な介助行為)
a.いない
b.いる →どのような医療的ケアですか?
ア.吸引
イ.経管栄養
ウ.導尿
エ.その他( )
→誰が行っていますか?(複数回答可)
ⅰ保護者 ⅱ本人 ⅲ学校職員 ⅳその他( )
(3)現在、貴校に、障害のある生徒に配慮する目的で、「臨時的任用講師」、「非常勤講師」、「特別支援教育支援員」等の人的配置がされていますか?
a.人的配置は必要ない
b.人的配置は必要だが、配置されていない
c.人的配置がされている →(職名及び選択肢に○を付け、カッコ内にご記入ください)
ア.臨時的任用講師:人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
イ.非常勤講師:人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
ウ.特別支援教育支援員:人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
エ.その他(職名 ):人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
(4)障害のある生徒の学校生活で、保護者に付き添いを依頼したことがありますか?
a.ない
b.ある
c.その他( )
(5)学校生活における障害のある生徒への配慮や対応について、「貴校での基本的な考え方」、「困っていることや改善・検討を要する課題」があればお書きください。
Ⅱ.入学者選抜について
質問3 平成25年度入学者選抜において、貴校で、『特別配慮申請書』を取り扱いましたか?
a.取り扱っていない
b.取り扱った(延べ 件)
c.その他( )
質問4 平成25年度入学者選抜において、貴校で、『自己申告書(障害を理由としたもの)』を取り扱いましたか?
a.取り扱っていない
b.取り扱った(延べ 件)
→ 受理した『自己申告書(障害を理由としたもの)』は、選抜の資料として用いましたか?
ア.用いなかった(その理由: )
イ.用いた →どのように用いましたか?(複数回答可)
ⅰ.教職員の前で読み上げた
ⅱ.教職員に資料として配付した
ⅲ.評価尺度・基準として位置付けている
ⅳ.その他( )
c.その他( )
質問5【質問3又は質問4で「b.取り扱った」と回答された高校にお聞きします。】
平成25年度入学者選抜において『特別配慮申請書』又は『自己申告書(障害を理由としたもの)』を提出した者で、貴校に入学した生徒はいますか?
a.いない
b.いる( 人)
c.その他( )
質問6 公立高等学校における募集定員は県民への約束であり、県教育委員会も定員確保に努めるよう通知しています。平成25年度入学者選抜における、定員内不合格の有無についてお答え下さい。
a.受検者数が募集人員に満たない選抜はなかったので、定員内不合格者は出していない。
b.受検者数が募集人員に満たない選抜はあったが、定員内不合格者は出していない。
→その理由をお書き下さい。
c. 定員内で不合格者を出した。
→その理由をお書き下さい。
質問7 【質問6で「c. 定員内で不合格者を出した」高校にお聞きします。】
(1)定員内不合格者数をお書き下さい。
学科 |
前期 |
後期 |
2次募集 |
追加募集 |
その他の選抜 |
科 |
人 |
人 |
人 |
人 |
人 |
科 |
人 |
人 |
人 |
人 |
人 |
(※この質問に対し回答のない場合は、添付資料の定員内不合格一覧表のとおり、県教育委員会の資料をもとに算出した数字を公表させていただきます。)
(2)定員内不合格となった者の中に、『特別配慮申請書』又は『自己申告書(障害を理由としたもの)』を提出した生徒はいましたか?
a.いない
b.いた(延べ 人)
c.その他( )
Ⅲ.その他
質問8 私たちは1989年以来、「障害」の有無にかかわらず誰もが地域で当たり前に暮らせる社会を求める立場から、障害のある生徒の“高校生になりたい”という願いを実現させるため活動してきました。これまでに私たちの会から、試験で点数を取ることが難しい等、様々な障害のある「障害児・者」が千葉県の公立高校に108名入学し、現在19名が在籍して高校生活を送っています。これは全国的にも際立っており、県の教育委員会はじめ、学校現場で教職員一人一人が子どもたちの願いを受け止め、日々付き合うことで理解を深めてきて下さったことを示す数字でもあり、深く感謝いたします。そこで教育的・社会的意義等も含め障害のある人もない人も高校で共に学び、生きることについてお考えをお聞かせ下さい。また、このために校内でどのような取り組みが必要であるか、お考えをお聞かせ下さい。
第18回公開質問状(2012年度)
高等学校名( 高等学校/全日制 定時制 通信制)
校長先生名(
)
Ⅰ.障害のある生徒の在籍・現状について
質問1 現在、貴校に、障害のある生徒は在籍していますか?
a.在籍していない
b.在籍している(1年 人)(2年 人)(3年 人)(4年 人)
c.その他( )
質問2【質問1で「b.在籍している」高校にお聞きします。】
(1)県立高校ではこれまで新築・改築時にエレベーターが設置されてきましたが、一昨年度からエレベーターを必要とする生徒のいる高校(既存校)へも後付けで設置されることになりました。一昨年度3校、昨年度2校、今年度2校に設置されます。貴校に在籍する生徒で、エレベーターを必要とする生徒はいますか?
a.いない
b.いる →現在、階段移動の介助はどのように行っていますか?(複数回答可)
ア.エレベーターを使用
イ.階段昇降機を使用
→操作は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
ウ.車イスに乗ったまま持ち上げている
→介助は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
エ.抱きかかえたり背負ったりしている
→介助は誰が行っていますか?(複数回答可。主な者には◎)
ⅰ学校職員 ⅱ保護者 ⅲ生徒 ⅳその他( )
オ.その他( )
c.その他( )
(2)貴校に在籍する生徒で、「医療的ケア」の必要な生徒はいますか?
(※医療的ケアとは、たんの吸引、経管栄養、導尿、人工呼吸器等、日常的に行われる医療的な介助行為)
a.いない
b.いる →どのような医療的ケアですか?
ア.吸引
イ.経管栄養
ウ.導尿
エ.その他( )
→誰が行っていますか?(複数回答可)
ⅰ保護者 ⅱ本人 ⅲ学校職員 ⅳその他( )
(3)現在、貴校に、障害のある生徒に配慮する目的で、「臨時的任用講師」、「非常勤講師」、「特別支援教育支援員」等の人的配置がされていますか?
a.人的配置は必要ない
b.人的配置は必要だが、配置されていない
c.人的配置がされている
→(職名及び選択肢に○を付け、カッコ内にご記入ください)
ア.臨時的任用講師:人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
イ.非常勤講師:人数( )人 勤務時間数( )
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
ウ.特別支援教育支援員:人数( )人 勤務時間数(
)
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
エ.その他(職名 ):人数( )人 勤務時間数(
)
ⅰ.勤務時間数のほとんどを当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅱ.勤務時間数の一部を当該生徒に直接係わる活動(介助等)に当てている。
ⅲ.当該生徒に直接係わる活動(介助等)は行っていない。
具体的な配慮や取り組みの内容
(4)障害のある生徒の学校生活で、保護者に付き添いを依頼したことがありますか?
a.ない
b.ある
c.その他( )
(5)学校生活における障害のある生徒への配慮や対応について、「貴校での基本的な考え方」、「困っていることや改善・検討を要する課題」があればお書きください。
Ⅱ.入学者選抜について
質問3 平成24年度入学者選抜において、貴校で、『特別配慮申請書』を取り扱いましたか?
a.取り扱っていない
b.取り扱った(延べ 件)
c.その他( )
質問4 平成24年度入学者選抜において、貴校で、『自己申告書(障害を理由としたもの)』を取り扱いましたか?
a.取り扱っていない
b.取り扱った(延べ 件)
→
受理した『自己申告書(障害を理由としたもの)』は、選抜の資料として用いましたか?
ア.用いなかった(その理由: )
イ.用いた
→どのように用いましたか?(複数回答可)
ⅰ.教職員の前で読み上げた
ⅱ.教職員に資料として配付した
ⅲ.評価尺度・基準として位置付けている
ⅳ.その他( )
c.その他( )
質問5【質問3又は質問4で「b.取り扱った」と回答された高校にお聞きします。】
平成24年度入学者選抜において『特別配慮申請書』又は『自己申告書(障害を理由としたもの)』を提出した者で、貴校に入学した生徒はいますか?
a.いない
b.いる( 人)
c.その他( )
質問6 公立高等学校における募集定員は県民への約束であり、県教育委員会も定員確保に努めるよう通知しています。平成24年度入学者選抜における、定員内不合格の有無についてお答え下さい。
a.受検者数が募集人員に満たない選抜はなかったので、定員内不合格者は出していない。
b.受検者数が募集人員に満たない選抜はあったが、定員内不合格者は出していない。
→その理由をお書き下さい。
c.
定員内で不合格者を出した。
→その理由をお書き下さい。
質問7 【質問6で「c.
定員内で不合格者を出した」高校にお聞きします。】
(1)定員内不合格者数をお書き下さい。
学科 |
前期 |
後期 |
2次募集 |
追加募集 |
その他の選抜 |
科 |
人 |
人 |
人 |
人 |
人 |
科 |
人 |
人 |
人 |
人 |
人 |
(※この質問に対し回答のない場合は、添付資料の定員内不合格一覧表のとおり、県教育委員会の資料をもとに算出した数字を公表させていただきます。)
(2)定員内不合格となった者の中に、『特別配慮申請書』又は『自己申告書(障害を理由としたもの)』を提出した生徒はいましたか?
a.いない
b.いた(延べ 人)
c.その他( )
Ⅲ.その他
質問8 私たちは1989年以来、「障害」の有無にかかわらず誰もが地域で当たり前に暮らせる社会を求める立場から、障害のある生徒の“高校生になりたい”という願いを実現させるため活動してきました。これまでに私たちの会から、試験で点数を取ることが難しい等、様々な障害のある「障害児・者」が千葉県の公立高校に105名入学し、現在20名が在籍して高校生活を送っています。これは全国的にも際立っており、県の教育委員会はじめ、学校現場で教職員一人一人が子どもたちの願いを受け止め、日々付き合うことで理解を深めてきて下さったことを示す数字でもあり、深く感謝いたします。そこで教育的・社会的意義等も含め障害のある人もない人も高校で共に学び、生きることについてお考えをお聞かせ下さい。