日本活性化の為のアイディア集5
5.その他●今こそ日本産業構造の中期的再構築ビジョンを作成すべきだ!日本の現状は、平成9年、10年の金融システム不安の防衛に全力投球で、もちろんこれはやらねばならないが、守備をしているだけでは戦局を逆転することはできない。 ピンチをしのいで攻撃に移るためには、戦略ビジョンがいるし、良いビジョンがあれば守備する時間も高いモラールを保つことができる。 現今の我国の現況は、超短期の戦術に忙殺され、中期的ビジョンが欠落したまま防戦しているため、徐々に国民全体のモラールが低下しつつある。 今後、銀行、保険等直接国際競争から庇護され、超過利潤を得ていた業界の給与水準が低下し、かつ企業組織のスリム化が進む分野を中心に、社内モラールの低下は必須であろう。 給与水準の低下は、今日まで高い国際競争力を誇っている自動車、エレクトロニクスの業界も、中級国の技術的なキャッチアップを受けるため、避けることはできないであろう。 あの独創性と著作権の優位性から、揺るぎ無い地位を保つかにみえたインテルでさえ、よりレベルの高いサーバー用CPU市場でシェアーを獲得できなければ、AMDやサイリックス等との価格競争に埋没するであろう。 我国の中期的戦略ビジョン構築において、製造業対サービス業 の生産性格差云々がよく論じられるが、もっとも根元的な分野は農業、水産業、林業分野である。 このうち水産業、林業については、国際価格水準という荒波によって、有無なくリストラが進行しており、ロシア、カナダ、ニュージーランドなど諸外国からの輸入というビジョンでコンセンサスが定まりつつある。 ここでのテーマは農業分野のリストラについてである。 農業については、米、野菜、果物いづれも我国の非製造業生産性を低水準に引き込む大要因である。 高価格支持政策によって、その低生産性の国際比較が不明瞭にされているわけであり、これを量的生産性などで検証すれば、その驚くべき姿が現れるであろうが、残念ながらそのような資料を作成できる情報・機関がない。 米については、オーストラリア、アメリカを始め本格的に生産、日本に安定輸出したくてうずうずしている国が多い。 輸入購買能力が低いアセアン諸国などへの輸出生産には及び腰かもしれないが、購買力の高い我国がその固いゲートを開いたならば、どんなにおいしく高品質の米でも安定的に供給すべく水田・水利に大型投資をおしまないであろう。 野菜、果物についても、保冷高速コンテナ時代に対応して、世界中から安定的に輸入することが可能な時代に入っている。 要は安定的に輸入することを世界に向かって公的すれば、世界の国々が日本を高く評価すると共に、その要求水準に応じた高品質のものを生産するであろう。 このように、もはや日本の小規模低生産性の耕地で、農業を続けるニーズは、急激に縮小している。 このようなグローバルな潮流にさからって、地方の中・山間地集落の保存や農業の環境に及ぼす効用などについての、些末な議論を起こすことは、問題の本質から国民の目をそらすためのつまらない策動でしかないのではないか。 戦後の食糧難時代を最も人生の感動的シーンとしていつまでも忘れたくない種類の人、例えば食糧を分けてもらうため列をなした街の人のなかから不当なほど高価な「きもの」などと物々交換した経験を持つ人などであろう。 過去の歴史においても、現下の世界においても、世界市場において信認を得た通貨あるいは金,貴金属などで、食糧などの物資を入手できなかった時代は無かったはずである。 石油ショックにおいても、それは価格が問題であったわけであり、現在のイラクやイランにおいても、お金さえあれば世界のヤミ市場から物資は豊富に供給されるはずである。 |
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