研修医宿題心室肥大 Ventricular Hypertorophy
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3-3-1 | RV6>2.6(3.0,2.5)3.0,2.5mV | 3 |
3-1-2 | RV5>2.6(4.0,3.5)4.0,2.5mV | 3 |
3-1-3 | RI,II,III,aVF>2.5(3.0,2.5)3.0,3.0mV | 2 |
3-1-4 | RaVL>1.2(1.5)2.0mV | 1 |
3-1-5 | |QV5|<|QV6|でQV6<-0.5mV | 2 |
3-3-1 | RV6+|SV1|>3.5(5.0,4.0)5.0,4.0mV | 3 |
3-3-2 | RV5+|SV1|>3.5(6.0,5.0)6.5,5.0mV | 2 |
3-3-3 | R1>1.5(2.0)2.5mV | 2 |
3-3-4 | RV5+|SV1|>5.0(6.0,5.0)6.5,5.0mVでRV5≧3.0(3.5,3.0)3.5,3.5mV | 3 |
2-1-1 | -60゜≧軸>-90゜ | 1 |
2-1-2 | -30゜≧軸>-60゜ | 1 |
2-1-3 | -5゜≧軸>-30゜で11才以下 | 1 |
高電位(左室に対する誘導) HIGH VOLTAGE(LEFT VENTRICLE)
左室肥大のポイントが4、5点の場合
病的意義
1. 左室側の電気変化が普通より大きく記録された状態。
2. 左室側の起電力が大きくなったことを考えなければならないが、無力型の体型や扁平胸のために胸壁と心臓の距離が短くなっているために、波高が大きくなっていることを考えなければならない。
3. 年齢によっても基準値が大きく違っているので注意する。
左室肥大 LEFT VENTRICULAR HYPERTROPHY
病的意義
1. 単に左室肥大による左室起電力の増加だけでなく、心筋虚血を疑わせる所見、あるいは虚血、荷重(ストレイン)の所見を伴っていて、単なる左室肥大を思わせるHighRよりも進行した病状を持っているものと考えられる。
2. 心筋の虚血は、冠動脈硬化によるによる内の狭窄の場合もあれば、肥大した心筋を養うためには、より多くの冠血流が必要になるが、それをまかないきれないという因子も関与していると考えられる。
< 参考レポート>
スポーツによる心肥大
スポ−ツ心は長期間にわたる激しい運動をしたスポ−ツ選手の心臓が大きい事をいい、持久力を要する運動種目の選手に比較的多いが個人差も大きい。動的運動能力を規定する大きな要因の一つは最大酸素摂取量と末梢での酸素利用能による酸素輸送系機能であるがスポ−ツ心では前者の能力が高い。スポ−ツ心は運動時に最大酸素摂取量の増加の他に1回拍出量増大、最大運動時の心拍数、血圧の減少、安静時の徐脈と血圧下降傾向、運動後の循環系変化の早期回復等の特徴があるが高血圧に見られるような病的肥大である代償性肥大とは異なり適応性の(生理的な)肥大であって心筋の毛細血管数と線維の太さは増加するが線維数は増加しない。心胸比は最大でも50%程度である。
心臓のポンプ機能は正常か増大、ミオシンのATPase活性も正常か亢進、肥大の過程で生じた形態の異常は可逆的である。運動負荷時の最大心拍数や最大動静脈酸素較差は健常者とあまり変わらないが最大酸素摂取量が高い。最大酸素摂取量の規定要因は最大1回拍出量と最大心拍出量である。心拍出量とは1回拍出量と心拍数の積であるが最大心拍数は健常者と大きな差がないので1回拍出量の差に依存している。1回拍出量は心室の駆出分画により規定される。駆出分画とは左室容積の何%が駆出されるかを表す指標で正常は60%以上で運動負荷時に大きく増加する。
また心臓は形態的には求心性か遠心性の肥大に分けられるが拡張末期における左室後壁圧を左室内径の2倍で割った値(相対的左室壁圧RWT)が0.44より大きい場合を求心性肥大、小さい場合を遠心性肥大と呼ぶが、スポ−ツ心は遠心性の左室肥大を呈した後、徐々に壁圧の増大による左室心筋重量も増加してくる。ランナ−などの有酸素系の運動種目では心拡張、短距離などの無酸素系運動種目では心肥大が主となる。安静時には前者で収縮機能の低下傾向、後者で拡張機能の低下傾向を示すが運動時には両者とも正常化する。心電図所見の特徴は洞性徐脈、P-R延長、不完全右脚ブロック、左側胸部誘導の上弯性ST上昇、各種不整脈などがある。これに対し病的な心筋肥大は上とは逆に心機能の低下、ミオシンATPase活性の低下、心筋肥大は肥大の刺激が消失しても完全には正常化出来ない。形態的には求心性肥大である。
運動時の利点ばかりではなく非運動時、安静時に不整脈、徐脈により血液の流れが乱れやすく虚血、再潅流を起こしやすい等不都合な点も多い。虚血、再潅流はまた活性酸素をも生む。生理的範囲を越えたoveruse syndoromeでは問題がある。従ってスポ−ツ心の全てが生理的適応で正常と言えない面もあり運動中突然死の原因となる場合もある。
車に例えて言えば通常はコンパクトカ−で小型エンジン搭載、運動時に高速回転、高出力が可能であれば性能は勝るとも劣らない
参考文献:www2.ocn.ne.jp/~ikedama/kiso/sinzou.htm
September 27, 2002