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新首都建設と日本のバージョンアップ


V.先を急ごう
  ●急がねば取り返しがつかなくなる! 新首都は豊橋,浜松ゾーンで! '98/4 UP
  ●Yahoo!掲示板での<新首都の位置は豊橋、浜松周辺がベストです> '99/9 UP


V.先を急ごう

●急がねば取り返しがつかなくなる!
 新首都は豊橋,浜松ゾーンで!

論議する時間は限られつつある。

”ウェイブイヤー”といわれるほどのスピード時代に今までの審議ペースでは、未来から我国は打ち捨てられてしまうであろう。

現今の我国の「あり地獄」状況からの脱出には、新首都構築を中心核として、既存システムの大改廃を進めなければならない。

日本は、宇宙衛星,航空機,情報通信,コンピュータソフト,バイオ等々の戦略的未来産業分野で、どんどんアメリカに差を拡げられつつあり、我国の方が優位に有る自動車,テレビ等AV関連製品群については、台湾,韓国をはじめとするアセアン諸国に差を縮められつつあることが、当該製品の価格下落を通じて実感される。

このような先の見通しがつかない不安感の中に、国民全体が置かれて、もう4、5年は経過している。

この鬱積し、よどんだエネルギーが昨今の官僚の構造腐敗批判へとはけ口を見出している。

なぜこうなったかは、彼らが自らの能力を市場の評価にさらした経験も無いのに、自らの集団を日本最高であると共に、世界でもトップレベルの戦略企画、実務遂行能力を有すると自己格付けし「よろしむべし、知らしむべからず」の封建型統治形態で、外部に資料・情報を出さず、客観的評価を封じてきたためである。

一般企業社会風に言えば、企業でも自社の製品・サービスが市場で高い評価,競争力を有している時期は社長は遊んでいても良いが、市場が高度化し、自社の製品・サービスの競争力が衰える兆しが出た時、社長は真価を発揮して新しい戦略的製品を創り出さねばならない。

うまくいっているからといって、本当に遊んでいたのでは、社員を路頭に迷わす無能社長という烙印を押される。

太平洋戦争敗戦後我国が辿った経済大国への軌跡には、実力以外のものが多々味方したと言う歴史的事実を率直に認め、再スタートのビジョンを考えねばならない。

多くの努力とリスクを恐れないチャレンジによって生み出された富を、国会多数決や官僚施政方針で制定,改変された税法,徴税体系でシステマチックに自己支配下に置き、手土産付でよく陳情に来たり、地方出張の折り多くの時間を割いて名所、旧跡を案内してくれる過疎地方の首長に、大文化会館や夜間照明完備の野球場,テニスコート新設のため、気前よく分け与えることが ”自分は国家、国民に貢献している”というレベルで止まっている限り、再スタートなどおぼつかないであろう。

膨大な法律体系に抵触しないよう新しく小さな法律を創造することももちろん大切なことではあるが、国を運営する税金を派生してくれる経済体系の活力を維持することの重大さと困難さに十分な理解がないと致命的である。

”再生産的でない税金の使途には若干問題が有ることは認めるが、土地価格の上昇に伴う課税されない含み利益で彼らも十分潤っており、特段の不平は出ていないではないか” ”土地価格や株価の下落が続くことが国家全体の損失であることは十分認識しておるからこそ、株価PKOや土地関連税の軽減及び住宅ローン減税を打ち出しているのではないか”、云々のレベルであるとすれば、もはや・・・・・・。

さて前置きに時を取られてしまったが、新首都移転については、平成10年1月に華々しく3地域への絞り込みが行われた。

どんなゾーンが生き残るであろうか興味を持ってはいたが、”ナンジャソリャー”と品の無い感嘆以外グーの音も出なかった。

世論も同じであろう。

飛行機、新幹線、専用車等々で移動する超多忙な人達である審議会委員様は、各候補ゾーンの県都や主要都市の中心部を訪ねた経験は豊富であろうが、これから新首都たらんとする交通不便な各候補地ゾーン現地の具体的状況への認識はほとんどないと推察される。

もちろん、サポートする主管官庁のスタッフも地理、地政上の優劣を付けるのは容易なのだが、地方政界+中央政界の政治力学の渦巻きには近づきたくなかったとうかがえる。

逆に言えば、ここが一番優れたゾーンだと誘導出来るほど研究していない。(^^;)

周囲への配慮等から、誰もやらないのなら、不見識を問われようとも、一部の候補ゾーンを訪ねた経験を持ち、都市・土地問題に複眼的な分析力を有していると自負しているのだから、まず議論の口火を切るには適任と言えなくも無い。(^o^)(^o^)

シーンと静かな池に小石を投げて小さな波紋を起こすつもりでも、投げようが粗雑だから池の近くの誰かに当たるかもしれない。  

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A.北東地域

宮城県南部から福島県中央帯、栃木県中東部、茨城県中西部にかけての、東北新幹線の両側ゾーンに南北に帯状に可住地が連なる、阿武隈高地西側のゾーンらしい。

当ゾーンのうち私は福島〜郡山〜須賀川の郡山盆地を中心とするゾーンや宇都宮平野、茨城県西部平野ゾーンは現地視察済である。

残念ながら、宮城県南部の丘陵ゾーンは仙台発広島行の飛行機から眺めたのみ。

この地域のうち、郡山盆地一帯から宇都宮一帯にかけては開発可能地域が大きく優れている。

しかし日本の人口重心との距離、新幹線、高速道路ネットワークが単層的で、冬期の空港閉鎖リスク、大型コンテナ港湾との連携も弱いという欠点が認められる。

栃木県南東部や茨城県西部の平野ゾーンは既に大関東経済圏内であり、中小都市が散在し大きな開発空間を確保することが困難である。

B.三重・畿央地域

当ゾーンは桑名市、四日市市、鈴鹿市の西側背後で、鈴鹿山脈山裾部帯状ゾーン及び琵琶湖東岸の長浜市から彦根市方面にかけての湖岸平野地帯から関ヶ原、鈴鹿山脈にかけての山裾部ゾーンと思われる。

当ゾーンは歴史的に日本の東西経済圏の不動の連結部であり、東海道、中仙道にも代表される情報、物流の超一級の要衝である。

新幹線を始めとする鉄道網、高速自動車網、港湾機能に優れ、国際空港の設置も可能である。

だが、三重県側四日市市等西側背後の可住地は既に開発が進んでおり、もはや大空間スペースは確保できないと共に滋賀県側の彦根市、米原町、長浜市等一帯の平野も同様である。

人口20万人、30万人を限度とする新都市なら可能でも、新首都をイメージするレイアウトが可能なゾーン確保は困難である。

C.東海地域

岐阜県南東部から愛知県豊田市、岡崎市を経て東三河の豊橋市、静岡県浜松市一帯にかけてのゾーンであろうか。

私の現地調査では、岐阜県の想定地域は、起伏丘陵地帯を大土木事業で開発するという困難があり、平野部寄り、山裾部等は既に開発が進んでおり、大きな開発ゾーンの創出は難しいと観察された。

豊田市から岡崎市にかけても、優れた平野、丘陵が存するものの、既に都市化が進んでおり、新首都に対応できるほどの大規模開発ゾーンの確保は困難である。

D.三谷案の概要

審議会の3案を否定してしまったようだが、実は東海地域の中に私の構想はある。

私は、豊橋市南東部から渥美半島を含み静岡県湖西市、浜名湖周辺及び浜松市西部に至るゾーンが最適地との認識である。

東海道新幹線、東名、第二東名高速自動車道に加え飯田市を介して中央自動車道方面へ連絡する高速道路計画もある。

港湾は自動車輸出入港として急速に整備が進み、コンテナ港湾としても開発余地が大きい豊橋港があり、常滑市沖に計画されている中部国際空港(三河湾東部寄りに変更されることが望まれるが)に比較的近い。

最重要な選定基準である日本の人口重心との関係位置及び地勢的開発条件については、当地域が地理的な日本の中央域にあり、人口重心である岐阜県東部ともそれほど離れていない。

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