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アルジェンタ年代記外伝銀の十字裏話

※ 銀の十字はアルジェンタの少年剣士たちの「誓いの印」、馬の絵はミケーレの愛馬ルーナのつもりです。

アルジェンタ年代記外伝とは公式記録から抹消された銀色の剣士の物語である

物語の発端

ルネッサンス期のイタリアの小国アルジェンタ。
12年前に、領主ラーモフレッド伯爵が暗殺され、新しい領主に替わってから、街はマローネ派(栗色)とグリージョ(灰色)派に分裂して争っていた。
流れ者の少年剣士ロベルトは行きがかりでマローネ派に加わり、好敵手であるグリージョ派の剣士ジュリアーノと争うことになる。
同じようによそ者でありながらグリージョ派に引き込まれていたマルゲリータは、争いを快く思っていないらしいロベルトの態度に共感し、彼に興味を持つようになる。
マルゲリータは叔父ニコラとともに、前の領主の遺児マルコを捜していた……。


題名について

ときどき間違えられますが、『アルジェンタ年代記外伝』は『アルジェンタ年代記』ではありません。「外伝」というところが肝心なのです。
外伝でない『アルジェンタ年代記』という書物は、この物語の中にだけ存在しています。銀色の剣士たちの活躍のうち、一部分をわざと隠してしまった歴史書、という設定になっています。
「正史」と呼ばれる歴史書は、編纂された当時の為政者(政治をする人)にとって都合のいい歴史観で書いてあります。一方、「外伝」は公式には認められず、密かに伝えられるものです。それが正しいとは限りませんが、正史にない歴史観や記録を伝えます。
『アルジェンタ年代記外伝』というと、まるで『アルジェンタ年代記』という先行する著作があったうえでの番外編みたいで、紛らわしくて申し訳ないのですが、作中の正史『アルジェンタ年代記』に対抗しての名付けでした。
世の中では『○○』という小説の続編や番外編が、しばしば『○○外伝』という題名で出されているようですが、当時の私はそのことをちっとも認識していませんでした。ひたすら歴史上の「年代記」と、その「外伝」のことだけを考えていました。

上・下巻それぞれの「銀色の仲間たち」「永遠の剣」という題名は、出版社の人につけていただきました。

西暦14??年

『アルジェンタ年代記外伝』は15世紀後半のイタリアの物語と規定していますが、さらに厳密に探っていくと、特定の年に限定されます。
ヒントは当時の教皇の在位年数にあります。あまり長くその地位にいた人がいないので、何年も同じ人が教皇だったという設定から、当時の教皇が特定されます。
加えて、下巻のある1章に出てくる脇役の少年が、実はわかる人にはわかる有名な歴史上の人物で、その年齢からも推理できます。
フィレンツェ共和国をロレンツォ・デ・メディチが治めていたように書いたので、少しイタリア史にくわしい人なら、だいたいの見当はつくと思いますが……。

初めからそんなことを計算していたわけではないのですが、いろんな当てずっぽうがぴたりぴたりと符合しており、途中からは、歴史上の座標軸をはっきりさせるためにも、明らかに年表を意識しました。
すべてのできごとは、この暦年に矛盾しないように組み立てられています。
もちろん、読む人はそんなことは知ってても知らなくてもかまいません。
作者の密やかで勝手な楽しみです。

種明かしをすると、序章が1484年秋、最終章が1486年の春にあたります。
つまり、ロベルトは1467年の12月4日生まれです。
当時はまだユリウス暦なので、季節的には、今の暦の12月14日ころの日の暮れ方ではないかと見当をつけています(16世紀にグレゴリオ暦に改めたとき、10月の途中の10日間をすっ飛ばしていますから)。
作者は毎年12月4日に、ささやかにお祝いをしています。

イタリアか、ドイツか

構想を立てていたころ、イタリアのことを何も知らなかったので、舞台をイタリアにしようかドイツにしようか、しばらく迷いました。当時は大学生で、第2外国語がドイツ語だったので、何も知らないイタリアよりはまだしもドイツのほうがなじみがある気がしていたのです。実はどっちもよく知らなかったのですが。
わかっていたのは、中央集権化していないヨーロッパの国の地方都市であること。主人公の少年の名まえが、ロベルト(これは、インスピレーション)らしいということだけでした。これならイタリアでもドイツでも条件にかないます。
結局、直観の赴くままにイタリアと定めて、イタリア史の勉強を始めました。知識が増えれば増えるほど、この作品の舞台はイタリアがふさわしいとわかりました。

人気キャラクター

読者の声によると、ロベルトとセルジョが好きな人が多いようです。
私個人は、主人公のファンになることはあまりないのですが(たいてい、主人公のライバルや副主人公派)、このたびはロベルトに一票入れたい気がします。
私の空想の中にだけこの物語があったとき、予定外の登場人物セルジョが頭の中のスクリーンに登場してから、物語世界が急に面白くなりました。セルジョのおかげで今の「アルジェンタ」があるようなものです。
少数派ですが、大人の読者には、サルバトーレやニコラにも案外と人気があります。

アーモンドミルク

作中に登場する飲み物アーモンドミルクは乳製品ではありません。アーモンドの実を材料にした白い飲み物です。見かけがミルクに似ているので、こう呼ばれているのだそうです。知ったかぶりに書きましたが、作者は飲んだことがありません。

主題曲、挿入曲

「アルジェンタ年代記外伝」を書き始めた学生のころ、調子に乗って創った作品の主題曲があります。
あのころ、自作の物語に主題歌だの挿入歌だのをつけるのが趣味でした。
中学生時代から社会人初期にかけて、趣味で書いた多くの物語に、それぞれ主題歌や挿入歌を付けています。
陳腐な曲でしたが、執筆中の気分を盛り上げるのには役立ちました。

作者の親バカ、かつ自己陶酔で、読者及び未読者のみなさまには片腹痛いことと思いますが、「試しに聴いてやろうか」という心の広い方がいらっしゃいましたら、下のドアから試聴室へお入りください。
(純粋な音楽的興味としては、聴くかいのあるようなしろものではありません。)

試聴室  @ロベルトのテーマ         Aアルジェンタ・ストーリア
(歌詞省略) (歌詞掲載)

楽器を習い始めたばかりの子どもたちが演奏してくれます。

(註) ストーリア=物語、歴史。

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