時津風、しれぇとの約束
まだ肌寒い日が続く今年の春。
駆逐艦娘を伴って鎮守府内を巡回する。
今日も予定外の案件が多くて行動が後手後手になっているなぁ……と考え事をしてしまう。
「おーい、しれぇ?」
「あ?」
ちょっと不機嫌そうな時津風が、こちらを睨む。
「聞こえてないの?」
「いや……」
埠頭で振り返った彼女。
「もぉ、考え事し過ぎ!」
「スマン」
そこでニタリとする時津風。
「罰として、終わったら暖かいもの頂戴!」
「仕方ないな」
「……約束だヨ」
午後の日差しを背に受けた彼女は一際、輝いて見えた。
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