研修医宿題
レニン
本間 幸恵
概念
ナトリウム代謝を介して、血圧を規定する循環血液量と血管抵抗性を調節する重要な系
レニンは、傍糸球体細胞で生成される蛋白分解酵素の一つで、血漿蛋白α2グロブリンのアンギオテンシノーゲンに作用し、アンギオテンシンIに変換される.アンギオテンシンIは、変換酵素により活性化されアンギオテンシンIIとなる。アンギオテンシンIIは、直接的に、および、交感神経中枢を介して間接的に、細動脈平滑筋に作用して、極めて強力に血管収縮を引き起こす。同時に、副腎皮質球状層に作用してアルドステロン分泌を刺激する。分泌されたアルドステロンは、腎尿細管に作用してナトリウムを再吸収し、これによるナトリウム貯留は水分貯留を伴って細胞外液量を増加させる。
また、末梢血管の反応性を亢進させ、血管抵抗性を増大させる。これらにより血圧が上昇して、糸球体近接細胞を構成する輸入細動脈壁を緊張させ、このため糸球体近接細胞のレニン生成が抑制される。
このように、レニン、アンギオテンシンの亢進はアルドステロン分泌を刺激し、逆に、アルドステロンの増加はレニン生成を抑制し、フィードバック調節系が成立する。
薬理作用
循環器系…細動脈の平滑筋に直接作用し、強い収縮を起こして著明な昇圧を生じる。
副腎皮質…副腎皮質球状層において、アルドステロンの合成・分泌を促進する。
副腎髄質…カテコールアミン遊離を促進する。
腎臓…腎血管収縮、レニン分泌抑制、近位尿細管でのNa+再吸収を促進する。
中枢神経系…血圧中枢の調節、飲水行動の促進、抗利尿ホルモンの分泌促進。
アンギオテンシンII拮抗薬
サララシンが代表薬。ペプチドなので経口投与が出来ない。特異性が高く、アンギオテンシンIIの循環系に対する作用の他、平滑筋収縮、アルドステロン分泌、中枢・末梢神経系反応も遮断する。
アンギオテンシン変換酵素阻害薬
カプトプリル、エナラプリルは不活性型のアンギオテンシンIから活性型のIIへ変換を行う変換酵素を阻害してアンギオテンシンIIの産生を抑制する。全身の末梢血管抵抗減弱、収縮機ならびに拡張期血圧低下が生じるので降圧薬として使用される。
May 2, 2002
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