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財産管理の委任契約・任意後見契約の公正証書作成は久留米公証役場へ。

電話でのお問い合わせは0942-32-3307

〒830-0023 福岡県久留米市中央町28-7

任意後見・委任に関する公正証書

任意後見契約とは

任意後見契約とは、委任契約の一種で、委任者(頼む人)が、受任者(頼まれる人)に対し、将来認知症などで自分の判断能力が低下した場合に、自分の後見人になってもらうことを委任する契約です。

自分が元気なうちに、自分が信頼できる人を見つけて、その人との間で、もし自分が老いて判断能力が衰えてきた場合等には、自分に代わって、財産管理や必要な契約締結等をしてくださいとお願いしてこれを引き受けてもらうことを内容とする、当事者間の契約になります。

任意後見契約の締結は、法律により、公正証書でしなければなりません。
なお、任意後見人になった人(受任者)の仕事は、家庭裁判所がその人を監督する「任意後見監督人」を選任してから始まります。

任意後見契約公正証書を作成するには

1 必要書類
【委任者(頼む人)】
①「印鑑登録証明書」と「実印」
②「運転免許証等の顔写真付き身分証明書」と「認め印」
 ※①~②のうちいずれかをお持ちください。
③「戸籍謄本」と「住民票」
【受任者(頼まれる人)】
④「印鑑登録証明書」と「実印」
⑤「運転免許証等の顔写真付き身分証明書」と「認め印」
 ※④~⑤のうちいずれかをお持ちください。
⑥「住民票」
2 委任者(頼む人)について
任意後見契約は、本人が元気でしっかりしているうちに、自ら、将来の事態に備えて、自分が信頼する人を自分の目で選び、その人とあらかじめ契約をして準備しておくものです。
したがって、既に認知症等の症状が進み、判断能力に問題がある場合は、本人の契約締結能力に疑義が生じ、任意後見契約の締結自体ができなくなってしまうのでご注意ください。
このような場合には、むしろ法定後見の制度を利用することをお勧めします(家庭裁判所に、法定後見の申立てをして、鑑定及び調査の結果認められた判断能力の不十分さの程度に応じて、後見、保佐、補助等の開始の審判を受け、それに対応して家庭裁判所で選任された後見人、保佐人、補助人がその事務を処理することになります)。
3 頼む内容について(代理権目録)
標準的な代理権目録の内容は次のとおりです。

1 不動産、動産等すべての財産の保存、管理及び処分に関する事項
2 金融機関、証券会社との全ての取引に関する事項
3 保険契約(類似の共済契約等を含む)に関する事項
4 定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払に関する事項
5 生活費の送金、生活に必要な財産の取得に関する事項及び物品の購入その他の日常関連取引(契約の変更、解除を含む)に関する事項  
6 医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入退所契約に関する事項
7 要介護認定の申請及び認定に関する承認又は審査請求並びに福祉関係の措置(施設入所措置を含む)の申請及び決定に対する審査請求に関する事項
8 シルバー資金融資制度、長期生活支援資金制度等の福祉関係融資制度の利用に関する事項
9 登記済権利証・登記識別情報、印鑑、印鑑登録カード、住民基本台帳カード、個人番号(マイナンバー)カード・個人番号(マイナンバー)通知カード、預貯金通帳、キャッシュカード、有価証券・その預り証、年金関係書類、健康保険証、介護保険証、土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類その他重要書類の保管及び各事項の事務処理に必要な範囲内の使用に関する事項
10 居住用不動産の購入及び賃貸借契約並びに住居の新築・増改築に関する請負契約に関する事項
11 登記及び供託の申請、税務申告、各種証明の請求に関する事項
12 遺産分割の協議、遺留分侵害額請求、相続放棄、限定承認に関する事項
13 配偶者、子の法定後見開始の審判の申立てに関する事項
14 新たな任意後見契約の締結に関する事項
15 以上の各事項に関する行政機関への申請、行政不服申立て、紛争の処理(弁護士に対する民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項の授権を含む訴訟行為の委任、公正証書の作成嘱託を含む)に関する事項
16 復代理人の選任、事務代行者の指定に関する事項
17 以上の各事項に関連する一切の事項
4 報酬の取り決め
任意後見人に報酬を支払うか否かは、本人と任意後見人になることを引き受けた人との話し合いで決めることになります。
一般に、任意後見人を第三者(他人)に依頼した場合には報酬を支払うのが普通ですが、身内(家族や親族)が引き受けた場合には無報酬の場合が多いようです。
任意後見監督人には、家庭裁判所の判断で報酬が支払われます。 その報酬額は、家庭裁判所が事案に応じて決定しますが、本人の財産の額、当該監督事務の内容、任意後見人の報酬額その他の諸事情を総合して決定されているようです。 決定された報酬は、任意後見人が管理する本人の財産から支出されます。
ちなみに、東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」によると、成年後見監督人の報酬の目安は、管理財産額が5000万円以下では月額1万円~2万円、5000万円を超えると月額2万5000円~3万円とされています。
5 任意後見契約公正証書の出張作成について
本人が病気などで公証役場に出向くことができない場合には、公証人が、自宅や病院・施設に出張して公正証書を作成することができます。
出張を必要とする場合は、準備の必要上、あらかじめ公証人と打合せを行い、事前に必要書類を公証役場に送付してください。
なお、久留米公証役場の公証人が出張できるのは、法令上、福岡県内に限られています。 近隣であっても、佐賀県内や熊本県内には出張できませんので、ご留意ください。
また、出張作成では、手数料が割増しになるほか、日当と交通費(往復タクシー代)が必要となります。

財産管理等の委任契約について

今はまだ判断能力はあるけれども、老齢や病気などで体が不自由になった場合に備えて、あらかじめ誰かに財産管理等の事務を頼んでおきたいようなときは、「任意後見契約」に加えて、通常の「委任契約」を締結することで対処できます。
任意後見契約は判断能力が衰えた場合に備えるものなので、判断能力が低下しない限り、その効力を発動することがありません。 しかし、人は年を取ると、判断能力はしっかりしていても、身体的能力の衰えによって、段々と自分で自分のことができなくなっていくことは避けられません。 そのような事態に対処するためには、判断能力が衰えた場合にのみ発動される任意後見契約だけでは不十分で、通常の委任契約と任意後見契約の両方を組み合わせて締結しておけば、どちらの事態にも対処できるので安心です。
両方の契約を組み合わせておけば、判断能力が衰えた場合には、通常の委任契約に基づく事務処理から、任意後見契約に基づく事務処理へ移行することになります。
標準的な委任契約の代理権目録は次のとおりです。

1 甲の有する一切の財産の管理、保存
   通常は「処分」までは含みません。
2 次の金融機関との全ての取引
   ① 〇〇銀行〇〇支店
   ② 〇〇信用金庫〇〇支店
   ③ ゆうちょ銀行
   ④ 甲が取引をするその他の金融機関
   よく利用する金融機関の支店名まで特定して記載する必要があります。
3 家賃、地代、年金その他の社会保険給付等定期的な収入の受領、家賃、地代、公共料金等定期的な支出を要する費用の支払並びにこれらに関する諸手続等一切の事項
4 生活に必要な送金及び物品の購入等に関する一切の事項
5 保険契約の締結、変更、解除、保険料の支払、保険金の受領等保険契約に関する一切の事項
6 登記の申請、供託の申請、住民票、戸籍事項証明書、登記事項証明書の請求、税金の申告・納付等行政機関に対する一切の申請、請求、申告、支払等
7 医療契約、入院契約、介護契約、施設入所契約その他の福祉サービス利用契約等、甲の身上監護に関する一切の契約の締結、変更、解除、費用の支払等一切の事項
8 要介護認定の申請及び認定に対する承認又は審査請求に関する一切の事項

死後の事務処理に関する委任契約

債務の支払,家賃・地代の支払など急迫な事情があって,相続人による事務処理が可能となるまでの間に処理しなければならない事項に限らず,緊急な事項ではないが,事務の性質上,死後比較的短期間に終了する事項(医療費の支払,櫛施設利用料の支払,入居一時金の受領,不要な生活用品の処分など),事務の処理が比較的長期間にわたる事項(葬儀・埋葬・墓石建立・菩提寺の選定に関する事項,相続財産管理人の選任申立て,賃借建物明渡しなど)について,その事務処理を委任する契約についても,任意後見契約と一緒に締結することができます。

任意後見契約公正証書の作成手数料について

公証人が受け取る手数料は、政令(公証人手数料令)で定められています(詳しくは「手数料について」のページをご参照ください)。

任意後見契約の場合は、以下を目安にしてください。
・公証役場の手数料:1契約につき1万1000円
・公証役場の用紙代:枚数が4枚を超えるときは、1枚250円×超過枚数
・法務局に納める印紙代:2600円
・法務局への登記嘱託料:1400円
・書留郵便料:約540円
・正本と謄本の作成手数料:1枚250円×枚数
受任者が複数になると(権限を共同行使する場合は別として)、受任者の数だけ契約を締結することになるので、費用も増加します。
任意後見契約に併せて、通常の委任契約や死後の事務処理に関する委任契約をも締結する場合には、それらの委任契約につき、別途、手数料が必要です。
なお、出張作成の場合は、手数料が50%加算されるほか、日当1万円と交通費(実費)が加算されます。