たぬきマンアメリカ激闘編の巻


第7回WITCH CRAFT



マンハッタンの中心部から、イエローキャブでスイートベイジルまで30分ぐらい。
いつもの狭い入り口につく。
スイートベイジルは入り口が狭くて奥が長いライヴハウスだ。
その一番奥にステージがあって、毎夜あついステージが繰り広げられている。
たぬきマンが初めてこの中に入ったのは20年程前で、1人ですごく緊張していたのを覚えている。

ニューヨークのジャズハウスは各々に特徴があるが、共通しているのはレストランとライヴハウスが一体になっている所だ。
もちろん小さいクラヴはライヴのみ、出るのは飲み物onlyという所も少なくないが、ちゃんと食事も楽しめてライヴも聴けるのが老舗のジャズクラヴだ。
チャージは2つに分かれていて、テーブルチャージとミュージックチャージだ。
テーブルチャージはテーブルにつくと発生する料金でたいがいドリンク2杯ぐらいは付いて1.000円〜2.000円だ。
ミュージックチャージは有名なコンボが来ていると高くなるが、日本のように1〜2万円などということは絶対になく、せいぜい2つ合わせて5〜8千円、新人が演奏している時は2千円程で音楽が楽しめる。

テーブルチャージを払うのが嫌な人はカウンターで、飲むごとに金を払えば少しステージから遠くなるけれど十分安く楽しめる。
東京の青山にブルーノートが出来た時、マイケルフランクスが来て、たぬきマンは大フアンなので実物をひと目見ようと出かけて、12.000円取られてぶったまげたことがある。
こんな悪い場所のテーブルで1人12.000円とは!
ニューヨークで見た方が遥かに安いじゃないか!こんなことしてるから、日本にジャズの芽が育たないんだ!と憤慨した。
ゴルフもそうだけど日本は金持ちの遊びに思われるけど、イギリスのST.ジョージというリンクスのコースでプレイしたときはパブリックなこともあったけど、プロも恐れるような難コースが2500円でラウンドが回れた。
たしかに外国も高い所はすごく値段が高い。だけど安く皆に楽しめるように納得できる料金システムになっている。
オペラだってミラノのスカラ座は出る人によるが3〜5万円の席もあるけど2.000円で入れる、金はないけどオペラは聞きたい、という人の席もある。
物凄い横で、ほとんどステージが見えないとかいろいろ制約はあるけど、5万円を払った人といっしょに少なくともアイーダの雰囲気は味わえる

スイートベイジルに付いた時間が中途半端だったので、30分程演奏を聞いたらステージが終わってしまった。
この日はあまり有名なプレイヤーは出ていなかったので、次のライヴハウスに移動することにする。
本命のブルーノートが近くで歩いても5分ぐらいなので行くことにしたが、道がうろ覚えで良く分からない。
前に来た時、間違って小道に入って、1時間程うろうろしてとうとう行きつけなかったことがある。
入り口でチケットを切っていたお姉さんに聞いてみた。
そのときヒロタジマが言った。
「なあ、たぬきマン、ブルーノートってここの商売仇だから教えてくれないんじゃないの?」
ガビ〜ン!ソウダそのとうりだ!
でもそんな、キン××の小さいことは言わないんじゃないか?ここも名門だし、日本橋の三越で高島屋はどこですかって聞いたら案内のオネエサンはにこにこして教えてくれるはずだ!(たぶん)
とりあえず聞いてみる。

「アノ〜デシュネ」
オネエサン「yes?」
「コンナコトキイテ、ヒツレイカモシレマセンガ、アナタヲイイヒトトオモッテキキマスカラ、コタエテネ」
オネエサン「シュア」
「ブル−ノ−トノ、イキカタナンテ、モチロンオシエテクレマスヨネ?」
オネエサン「ハ、ハ、ハ、NO!」
がび〜ん!やっぱり教えてくれない!「ハハ、ソリャソウデスヨネ、、」
オネエサン「ハ、ハ、it's joke」
教えてくれた!
ニューヨークは碁盤の目のような街造りで、南北の通りがストリート、東西がアベニューと名前が付いていてすごくわかりやすい。
初めて来ても地図を片手にかなり街を歩ける。
ただマンハッタンを横切るブロードウエイがくせもので、ななめに走っているのでたて横のつもりでブロードウエイに迷い込むとあっという間に迷子になる。

ブルーノートがあるグリニッジビレッジの周辺はブロードウエイは通っていないがチェルシーにかけて斜の道が多く、これが以外に方向感覚を狂わすのだ。
良く教えてくれたのに、途中でやっぱり道に迷った。
うろうろしていたら、若いカップルが犬をつれて散歩して来た。
しかしニューヨークは安全になったんだな、この時間(pm11:00)に犬の散歩ができるようになったんだからと、変な所で感心していたら通りすぎてしまいそうになったので、慌てて道を聞く。
「ブルーノートはすぐそばだよ。この辺はわかりずらいからね。だれかbignameが出てるの?」
「ボクタチハ、タビノタツジン。イッテミテ、ウンガヨケレバヨイエンソウニメグリアエル。ソレモgood trip」
呆れたような顔で立ち去るカップルの言うとおり、そこから2分でついた。

ブルーノートは入り口がピアノの形になっていて、6th Ave.をW.3rd St.に入ったすぐ左手にある。
ワシントンスクエアのすぐ近くで、ビレッジの中心地だ。
昔は、麻薬売りやジャンキーや得体の知れない奴らでいつも賑わって危険な匂いのする街だったが、今はいがいにすっきりしている。
ただ日本のように安全だと思ったら痛い目にあうので行く時は注意してくださいネ。

ブルーノートは、ドイツ、ベルリン生まれのアルフレッドライオンが、1939年創立した。フランシスウルフとともに素晴らしい音楽環境を作り上げ、モダンジャズの一世を風靡した。
特に1950年代の録音は今聞いても古さを感じさせないでぞくぞくするし、ラップやクラブのサンプリングに、多くのブルーノートレーヴェルの曲がなっているのもうなずける気がする。
ブルーノートは今はレストランバーになっているけれど、最初は録音スタジオでここからチャーリーパーカー、アートブレイキー、ホレスシルバーなど多くのジャズミュージシャンが出て来たことを考えるとやはりアルフレッドライオンの果たした業績は大きい。

ライオンは第一回Mt'FUJI JAZZ Festivalに日本のジャズ評論家、油井正一の招きで来日し、挨拶をした。たぬきマンはその場にいてスゴク感激したのを覚えている。
ちなみにその時司会をしていたのは、タモリです。


ブルーノートに初めていっておみやげを、と思ったらこっそりメニューを持ってくるのもいいけれど、入ってすぐの左手に階段があって2階に上がるとトイレの隣に小さいshopがあるから、そこでTシャツなどを買ってJAZZ好きのお友達にあげると涙流さんばかりに喜ばれるからお試しを。
ただし日本のブルーノートと同じものもあるから必ずこれはニューヨークだけの物ですよね、と聞いて買うこと。
たぬきマンの知り合いはニュヨークしか売ってないと言われたTシャツをおみやげに買って、帰りに東京のブルーノートで全く同じTシャツを見てショックをうけたヒトがいるから、もしそんなことがあったら笑って旅の思い出にしましょう。

ブルーノートは混んでいた。
店の前にいたオニイサンは少し待てと言う。
しょうがないので奥の手を使う。
「オニイチャン、ボクネ、カラダガヨワクテタッテイラレナイノネ。ヨカッタラアイテルセキニアンナイシテチョウダイ」
10ドルといっしょにオニイサンの手を握る。
さすが博愛の国アメリカ、たぬきマンのからだの弱さをすぐわかってくれてステージのすぐ横に案内してくれた。

ステージでは最後の時間帯で、観客席はほぼ満員。日本人がちらほら。ステージの目の前の良い席に10人位の日本人グループがいる。いっしょに添乗員らしきヒトが1人。
ガイド使ってのブルーノートツア−は1人10.000円以上はするだろうな、と思いながら見ていると皆緊張の面持ち。
もしかしてジャズなんか普段聞いたことないけど、ニューヨーク来たのなら話の種に1回いってみたいという旅行会社大喜びのカモ、いえ良いお客さんらしい。


ステージはかなりの熱演で、たぬきマンは知らないメンバーだけれどドラムが良い。
おもわずあのイエローキャブも止めた指笛を吹き鳴らす。
会場大受けのステージで、だれかの視線を感じて見回すとさっきのカモ観光客がこっちを見て睨んでいる。
あれなんか悪いことしたかな?でも心当たりはないのであの人は普通の顔があれなんだ、と思いまたピー、ピーと指笛。
するとまたまた睨み顔。あーそーか!うるさいといってるんだ。コンサートは静かに聞くモンだと思ってるんだ!
クラシックのコンサートじゃあるまいし、ステージと観客が一体となるからジャズのライヴの真髄があるし、それでプレイヤーもすごい演奏を残すことがある。


10人のニホンジンは皆きちっとすわって、曲が終われば品の良い拍手をして身動きもしない。
いったい何が楽しいんだあぁ!
プレイヤーが一番目につく所だから曲の合間に、「今日のお客さんは私の演奏を哲学的に審査してくれている」ぐらいの嫌みをいっても微笑みを浮かべるだけ。
せっかく来るんだから少しくらいジャズの何たるかを勉強してくれば、もっと楽しい時間を過ごせるのにと思ってしまった。

最後のステージが終わりドラムがあまりにも良かったのでステージにいってプレイヤーに話しかけた。
「トテモヨカッタデシュ。アータハユウメイナぷれいやーデシュカ?」
「どこからきたの?」
「ワタシハ、ニホンカラキタたぬきマン。たかさき音楽祭ノ委員ヲツトメテイマス。ヨイぷれいやーヲ、ハックツシテイマス。」


これは全くのホラでなく、たぬきマンはホントに高崎音楽祭という12年続いているイベントの委員をしていて、「高崎ストリートライヴ」を主催している。


「じゃあ、俺をその高崎音楽祭に呼んでくれよ。これが名刺で細かいことはホームページに書いてあるから。」
名前をWinard Harperといってニュージャージーに住んでいる。
高崎音楽祭は過去に沢山の出演者がいて、海外からも出演しているが、横浜ジャズのような大規模のイベントではなく、財政的にもかなり苦しい。
出演料を聞いたら意外に安いことをいったので、これならなんとかなるかなと思ったけど小さい声でいった。
「ナリタクウコウカラナラ、ナントカナルンダケド」
良く意味が分からないらしく、頼むよ、といわれてヘイ、ヘイいってしまった。
もしWinard Harperが人気が出て、日本に来ることになったら、たぬきマンが最初に声をかけたことを覚えておいてください。

全部のステージが終わって外に出たらam2:00だった。
大分騒いだので少し空腹を覚えてヒロタジマに言った。
「ヒロタジマなんか食っていこう」
「こんな遅くに空いてる所があるの?」
「おお!そうだ!カーネギーデリに行こう!あそこなら朝4時迄やってるし、あそこのパストラミサンドイッチは一見の価値がある。」
イエローキャブをつかまえてカーネギーデリに行った。

朝の2:30分。
さすがに人通りは少ないが、いろんな店が開いていて中には人が結構入っている。

カーネギーデリはカーネギーホールのすぐ近くにあり、コンサートなどがあった時は朝迄混んでいる。やはりニューヨークは大人の街だ。
ニューヨーカーのジョークにこんなのがある。

ニューヨークで田舎者を見分ける方法。カーネギーデリにいってパストラミサンドイッチを注文して、1人前でたりるかな?と質問する奴。


ここのパストラミサンドイッチはとにかく巨大だ。肉が5人前ぐらい入っていてパンが小さく見える程だ。
店に入ったら客が10組ぐらいいた。
1人でビールを飲んでるメキシカンの御婦人もいる。


ウエイターが来たので早速注文する。
「アノネびーるトぱすとらみさんどいっちヲクダサイ。1ニンマエデタリマシュカ?」
ウエイターにこッと笑って「あんた達なら3人前はだいじょぶだね」
ウエイターの口車に乗せられずにちゃんと1人前とお皿を2つ頼む。
サンドイッチがきてヒロタジマが驚いた!
「デッでけー!サンドイッチもすごいが、付け合わせのピクルスが半端じゃないね。」
日本の大きいキュウリの太さが2倍ぐらいあるピクルスが5〜6本ついている。おかわり自由だそうでこれだけで腹が一杯になりそうだ。
2人で何とかサンドイッチを半分食べて、お化けピクルスを2本かじったら動けなくなってしまった。
そこにウエイター。「食後にケーキはどうですか」
指差す先を見るとケースの中に直径30センチはあろうかと思われるケーキが20個程入っている。
「マサカアレ1コガ、イチニンマエジャナイヨネ?!」
ウエイターがあごでさした隣のテーブルの上にケーキが1個のっていて、ケーキと同じような体型の美女が一人で黙々とケーキをかきこんでいる。
すごい!アメリカがダイエットに入ったなんて大嘘だ!
実は次の日、もっとすごい経験をすることになるのだが、、。

続きはまた後で!お愉しみはこれからだ!

アメリカ豆知識
ジャズクラブに行く時の注意。
ニューヨークはいろんな情報誌が出ていて、ホテルのロビーでも今日のジャズみたいな出演者リストがある。
いきたいクラブに今日だれが出てるかを確認していった方が間違いない。
有名な人が出ていると少し並ぶことがある。
並ぶのが嫌な人はドアの所に立っているオニイサンに、予約を入れてあるといって10〜20ドルを握らせること。
良い結果がまっているかもしれない。ハ、ハ。

第1回はここ!

第2回はここ!

第3回はここ!

第4回はここ!

第5回はここ!

第6回はここ!

篆刻実印認印、銀行印顔のスタンプ新鮮な住所印絵手紙、陶芸印お店と店主の紹介注文方法ホーム