児玉教育研究所-症状別の心理療法 適応障害

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症状別の心理療法

適応障害
離婚、失業、病気、妊娠、近親者との別離などのストレス要因に対して、激しい不安や絶望感、精神的混乱や異常な行動を示すような場合を指します。誰でもこうしたストレス要因に対しては不安になったり、抑うつ的になったりしますが、そうしたレベルを超えた激しい反応を示すのが特徴です。例えば失業によって自殺を考える程追い詰められる、子どもの不登校により一家全体が混乱状態に陥る、失恋により社会生活が送れなくなるなどの場合があります。大抵は一定期間で回復しますが、学校でのいじめや嫁と姑の険悪な関係、会社での過酷な成果主義などストレス要因が持続する場合には「適応障害」が長く持続することもあります。

このような場合、(1)ストレス要因になった問題の解決(2)それによって引き起こされた激しい情動の解消、の二つの面の対処が必要となります。ご本人は大抵冷静さを失っていますので、まず混乱した感情を落ち着かせることが先決です。その場合に、安心できる第三者に自分の気持ちを聞いてもらうことが大変役に立ちます。不安や絶望感で混乱した気持ちをセラピストに話し、セラピストは親身になって、共感的にその感情を受け止めます。繰り返し感情を吐露することで、「浄化」(カタルシス)の効果が生まれ、次第に精神的安定がもたらされます。相談者が気持ちの整理がつき、落ち着きを取り戻した段階で、ストレス要因となった問題についてどのようにすべきかをセラピストとの間で話し合ってゆきます。相談者の精神的安定が回復すれば、自ずと現在抱えている問題に対する相談者自身の判断と対処法が生まれてきます。セラピストは相談者にそのような対処能力が増すように援助します。もし、大切な対象を失ってしまったような場合には、「喪失感情」を受容するための「喪の作業」(モーニング・ワーク)などもおこないます。