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  1. 異型腺種様過形成(AAH)とその病理組織の特徴
  2. 創傷治癒とサイトカイン
  3. 原発性肺癌:扁平上皮癌の病理組織の特徴
  4. 胸部X線の見方
  5. 鉄欠乏性貧血の治療
  6. Hugh−Jones分類
  7. 胸腔ドレーン抜去法
  8. ステロイドとその力価
  9. 食道癌の肺転移における長期予後について
  10. 肺癌診療における腫瘍マーカー

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研修医宿題

原発性肺癌:扁平上皮癌の病理組織の特徴


武田 孝輔




肉眼的・気管支鏡的特徴

 扁平上皮癌は肺門型あるいは中枢型の発生パターンを示すことが多いとされているが末梢の肺に発生することも少なくない。肺門型肺癌では無気肺、閉塞性肺炎など気道閉塞性の病変をきたす。肉眼的に以下の3つに分類される。

1) ポリープ型、2)結節浸潤型、3)表層浸潤型

 ポリープ型と結節浸潤型は閉塞性病変をきたしやすく、また、気管支鏡下で直視下にとらえられれば、経気管支生検により診断は容易である。表層浸潤型では、粘膜表面あるいは粘膜下に浸潤し、粘膜の光沢の消失や縦走皺の肥厚、消失などわずかな変化を気管支鏡的にとらえる必要がある。

組織学的特徴

 扁平上皮癌は正常の皮膚や食道にみられる重層扁平上皮に類似した構造を示す癌である。扁平上皮癌の配列は辺縁から中心に向かって求心性に玉ねぎの割面のような配列を示し、基質結合織が病巣の周囲に存在する。病巣の辺縁の癌細胞は基底細胞様で、中心に向かうに連れて扁平化し、細胞内角化や角化が見られる。この求心性の配列を層形成という。中心部の同心性層状の角化物質を癌真珠という。癌細胞と癌細胞のあいだに、はしごをかけた様な構造として細胞間橋が見られる。細胞間橋を電子顕微鏡で観察すると、隣り合った癌細胞がトノフィラメントにより細胞相互にデスモゾーム結合していることがわかる。扁平上皮癌と診断するには、この細胞間橋と角化、あるいはそのいずれかを確認することが必要である。扁平上皮癌は組織病理学的に以下の3つに分けられる。

1)高分化扁平上皮癌:層形成が明瞭で、細胞間橋、角化を示す癌巣が広い範囲に認められるもの。

2)中分化扁平上皮癌:高分化扁平上皮癌と低分化扁平上皮癌中間のもの。

3)低分化扁平上皮癌:大部分で癌巣が特定の配列を示さず、大細胞癌ようであるが、病巣のどこかに角化あるいは細胞間橋が見られる場合。

●文献●

1) 外科的胸部疾患と診断のKnack&Pitfalls

2) 鹿島健三:肺癌の組織分類(千葉大学医学部肺癌研究施設病理部門)

3) 飯島宗一:組織病理アトラス、第4版、文光堂


May 7, 2002


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