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相続に関する争いについて


それぞれのケース別に手順と考え方をご説明します。

遺言書の内容が納得できない

(1)遺言書の内容が相続人の一人だけに全財産を渡す様な場合、他の相続人(兄弟姉妹を除く)は遺留分減殺請求をする事ができます。
 遺留分減殺請求とは相続人の生計維持や期待権を考慮して法定相続分の更に半分(配偶者・子の場合。尊属のみの場合は3分の1、兄弟姉妹は遺留分無し)を遺留分として遺言書の内容の訂正を求めることです。
遺留分を害する遺言も遺留分権利者が減殺請求をしなければ有効です。遺留分減殺請求は権利者がその事を知った時から1年以内(相続時から10年以内)にする必要があります。
遺留分減殺請求は必ずしも裁判所の関与を必要としません。
@裁判外でまずはその請求先(遺贈や過大な相続分の指定を受けた相続人)に対して行い
ます。後々の事がありますので、証拠力が強い配達証明付内容証明で請求するのが
良いでしょう。
 ここで合意されれば、公正証書等の文書で合意内容を確認します。
 合意できない場合には調停や裁判で決着をつける形となります。
A家庭裁判所に調停を申し立てます。この調停で合意できれば和解調書を作ってもらい
ます。合意ができない場合には不成立となりますが、この場合自動的に訴訟に移行は
しません。
B地方裁判所又は簡易裁判所(140万円以下)に対して訴訟提起します。
 ここでも和解は勧められますが、できなければ判決を待つ形になります。

(2)負担付遺贈があった場合で、受贈者が負担義務を果たさない場合には相続人は遺言のその部分の取り消しを求める家庭裁判所の審判を申し立てる事ができます。
 例えば、「遺された妻を生涯住まわれることを条件として家は弟に遺贈する」といった遺言がされたにも拘わらず弟が妻を立ち退かせたといった場合です。

遺言書がおかしい

 遺言書がおかしいといった場合、
(1)形式に問題があり、無効と思われるケース
(2)偽造・変造が疑われるケース
(3)本人が作成(に関与)したが、その時の本人の意思に疑念があるケース
(4)ある筈の遺言書が見つからない(隠されている)ケース
等があります。
(2)〜(4)の場合にはその問題に関わった相続人又は受遺者は相続欠格となる可能性が高いので、手順などは慎重に行う必要があります。
尚、自筆証書遺言で検認手続きを行った場合であっても、検認手続きはあくまで証拠保全手続きであって有効性を確認する手続きでは無いので、疑わしければ下記の手続きができます。公正証書遺言であっても(3)の問題を指摘されて無効となった判例もあります。

(1)形式に問題があり、無効と思われるケース
 遺言は厳格な様式行為である為、特に自筆証書遺言の場合「日付がきちんと表示され
 ていない」「共同遺言である」「自筆でない」などの無効原因があれば、検認済でも
 無効を主張できます。無効を主張する側は「遺言書無効確認の訴え」を、有効を主張
 する側は「遺言書有効確認の訴え」を地方裁判所に提起します。
 一方、内容が不分明であったり、2重に受け取られる場合に無効の確認ではなく、
 自分が信じる内容に従った登記等を行いたいという形で「所有権確認の訴え」を
   提起します。

(2)偽造・変造が疑われるケース(
 公正証書遺言が後で偽造・変造されたと思われる時は公証役場に原本がありますから
   謄本をとれば良いだけです。自筆証書遺言の場合でも検認時以後の偽造・変造であれ
   ば、「遺言書無効確認の訴え」の中で家庭裁判所に対して証拠として文書送付の嘱託
   を申し出ればそれだけで裁判勝訴です。
   問題は検認前の偽造が疑われる場合で、「遺言書無効確認の訴え」の中で筆跡鑑定な
 どの方法、間接証拠等で争う事になります。

(3)本人が作成(に関与)したが、その時の本人の意思に疑念があるケース
   入院者や老人ホーム入所者の場合で、その時点で意思能力は無かった筈だという場合
   や、だまされて遺言を書かされた事が容易に想像できる場合等は「遺言書無効確認の
   訴え」の中で筆跡鑑定などの方法、医師や施設関係者の証言、間接証拠等で争う事に
   なります。

(4)ある筈の遺言書が見つからない(隠されている)ケース
 公正証書遺言の場合は公証役場に原本がありますから謄本をとれば良いだけです。
 自筆証書遺言の場合は・・これは探すしかありません。現物が無い限り訴え等は無理
 です。

相続財産を相続人の一人が勝手に使っている/隠している

   
 この場合は一般的な相続の問題というよりも「不当利益返還請求」又は「不法行為による損害賠償請求」の問題となります。通常の民事訴訟として地方裁判所又は簡易裁判所(140万円以下)に訴える事になります。尚、これは刑法的に窃盗罪又は横領罪が成立しますが、親族間の犯罪に関する特例(刑法244条)により罪が免除(別居の傍系親族の場合は親告罪)となります。つまり、この問題は「この位の財産があった筈」「あの人が勝手に使った筈」という事を間接証拠や状況証拠で証明しなければならないのですが、警察力を使えるわけでは無いので、困難を伴います。

遺産分割協議がまとまらない

   
 遺産分割協議がまとまらない原因は数多くありますが、特に多いのは
(1)特別受益の認定の問題
(2)寄与分の算定の問題
(3)相続財産かどうかの問題
(4)相続財産の評価の問題
(5)相続財産が分けられない場合
といったところです。

(1)特別受益の認定の問題
  特別受益とは「一人だけ留学させてもらった」「特別な嫁入道具」「一人だけ生命保
険の受取人になっている」などの特別の事情を特別受益分として遺産分割に反映させ
るものです。
遺産分割協議の中で論じるべき問題ですので、
  @任意の遺産分割協議(書面として実印捺印+印鑑証明書添付 又は公正証書)
  A家庭裁判所に遺産分割調停申立て
  B調停不成立ならば遺産分割審判へ
となります。

(2)寄与分の算定の問題
寄与分とは被相続人(亡くなった方)の財産の維持又は増加について特別に(被相続
人の事業に関する労務提供又は財産給付、療養看護などの方法で)寄与した相続人に
ついて、法定相続分とは別に認められるものです。「特別に」という点で、無給で
父親の事業を手伝っていた、会社を辞めて療養看護に尽くしたなどの必要があり、
例えば父親の事業を手伝っていても、通常の給与を支払ってもらっていた場合等は
認められません。
寄与分は遺産分割の前提問題でもありますので、調停等は単独で申し立てる事も
できますが、調停不成立で審判となった場合は、同時に遺産分割審判も申立てておか
ないと却下されます。

(3)相続財産かどうかの問題

名義人が必ずしも所有者とは限りません。例えば親が子供の名義で預金していたら?  
預金通帳も印鑑も親が管理し、入金も親がしていたという場合、その預金の所有者
は?  「お嫁に行く時に渡すからね」と言われていたとしても、それは不確定条件付
贈与というべきであり、それまでの間の所有者は親というべきでしょう。逆に子供が
財産隠しの目的で親の名義で土地を買っていた場合はどうでしょう。
こういった問題で争いが発生した場合、通常の協議や調停の中で話が付けば良いので
すが、審判まで行った場合、審判には既判力が無い為、前提問題として地方裁判所で
の「遺産確認訴訟」でその財産が相続財産に属するのかどうかを確定しなければなり
ません。つまり手順は
  @任意の遺産分割協議(書面として実印捺印+印鑑証明書添付 又は公正証書)
  A家庭裁判所に遺産分割調停申立て
  B調停不成立ならば地方裁判所で遺産確認訴訟
  Cその上で家庭裁判所で遺産分割審判へ
となります。

(4)相続財産の評価の問題

現金や預金は金額が確定的ですし、株式も上場株式であれば簡単です。しかし、
不動産や未上場株式、美術品などの動産は評価によって金額が異なってきます。
通常の遺産分割協議〜調停〜審判の過程で検討しますが、家庭裁判所は「相続人が
納得すれば」幾らでも良く、納得しなければ鑑定に出すだけです。但し、専門家に
よる鑑定は費用が高額です。
不動産の場合、通常は 固定資産税評価額 < 路線価 < 時価 であり、遺産分割協議
では時価を使うべきとされています。時価は簡易的には不動産業者の無料査定(出来れ
ば複数)から算定しますが、それでも争いとなった場合には不動産鑑定士による鑑定と
なります。
未上場株式の評価については簡易的には最新期の貸借対照表から一株当りの純資産額
を求め、持株数を乗じれば良いのですが、含み益等の評価で争いがある場合には公認
会計士の鑑定を求める事になります。
動産については流通が多い自動車やグラム評価で良い貴金属(宝石無)などは比較的容易
ですが、美術的価値やブランド価値、希少価値があるものはそれぞれ個別に鑑定方法
を探すしかありません。

(5)相続財産が分けられない場合
遺産分割調停や審判における分割方法の優先順位は
  @現物分割
  A代償分割
  B換価分割
  C共有分割
 です。それぞれの方法について説明します。
  @現物分割
   不動産や動産を売却などせずに個別に相続人を定めて分割する方法です。資産の中
   で現預金や上場株式が多ければ可能な方法です。
  A代償分割
   法定相続分以上の評価の資産を相続した相続人が他の相続人に対して現金などの代
   償を払う事で分割する方法です。相続人が資力がある場合に可能となります。
  B換価分割
   売却して分割する方法です。現物分割や代償分割ができなければ、そして共有解消
   を分割の前提とするならばこの方法しかありません。この方法の場合、相続税や贈
   与税の問題は少ないのですが、譲渡所得税がその申告タイミングや分割金額の決め
   方によっては、換価代金を貰わない相続人にも譲渡所得税の法定相続割合の納税義
   務が発生する場合があります。 →国税庁HP
  C共有分割
   共有状態の解消をしない方法です。必ずしも法定相続割合通りの持ち分である必要
   はありません。夫婦の一方が亡くなった時点で配偶者と子の一人の共有の形にする
   などです。優先順位が低いのは、その時は良くても後々のトラブルの火種になる可
   能性が高いからです。共有者が疎遠になったり、代替わりした時に問題が複雑化し
   ないか。注意が必要です。