4.なぜ争族になってしまうのか
争族の原因
相続が争族になってしまう原因について、事例を通して考えてみたいと思います。
ケース1 遺産が現金のみ
相続人が、配偶者、長男、二男であり、遺産が現金1000万円だとします。この場合、単純に金銭を分けるだけですから、話し合いに際してもめる可能性は低いといえるでしょう。
もっとも、長男が、被相続人の面倒を頑張ってみていた場合や、被相続人の家業の手伝いをずっとしていたような場合には、長男は自分の取り分を増やしてほしいと思うことでしょう。その増額分をどうするかについて、当事者での話し合いがまとまらなければ、揉めてしまうことになります。
そのため、遺産が現金だけであっても油断は禁物です。
ケース2 遺産が自宅の土地建物のみ
では、遺産が自宅の土地や建物だけで、現金がない場合はどうでしょうか。
相続人が亡くなった方の長男、二男、三男の三人で、長男が遺産である建物に住んでおり、二男と、三男は、別のところに住んでいるとしましょう。
この場合、当然、長男としては、建物を取得したいでしょう。しかし、長男が取得するとすれば、二男、三男は、何ももらえません。兄弟仲が良ければ問題は起きないかもしれませんが、傍から見ても二男、三男に何もないのは不公平でしょう。
では、長男が不動産を取得する代わりに、二男と三男に対し、お金を支払うとします。
いくら支払いますか?固定資産税の評価額を基準にした数字か?不動産屋さんに査定してもらった数字か?
長男にお金がない場合はどうしますか?分割払いにしますか?
このようなシンプルなケースで、簡単に考えてみても、火種はいろいろとありそうです。
相続人間の仲が悪かったり、相続人の奥さんが口出しをしてきたりすれば、いよいよ大きな紛争になってくるでしょう。
まとめ
上記のような事例の他にも、例えば、前妻との間に子どもがいる場合や、相続人同士が疎遠な場合、相続人が多数いる場合など、話しがこじれてしまう場面は多そうです。
では、このようなトラブルを防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。
結論から申し上げますと、遺言書を作っておくことです。すべての紛争を確実に防ぐことができるか、と聞かれますと、必ずしもそうではありませんが、多くのケースで、争いを未然に防いだり、争いになったとしても、ある程度楽に解決することができるようにしたりすることができます。
「争族」対策のすゝめ 目次
1.相続の基本
2.「争族」とは?
3.数字から見る相続 遺産が少なければ揉めない?
4.なぜ「争族」になってしまうのか
5.相続の件数、遺言書の作成件数
6.遺言書の種類
7.遺言書 書くべき内容・書くべき場合
8.その他の遺言活用法
9.遺言書に加えて