9.遺言書に加えて

 財産の残し方について、遺言に定めておくことはもちろん大事ですが、大事なことはそれだけではありません。

遺言書の付言事項について

 遺言書には、付言事項といって、自由なメッセージを書くことができます。遺言を作成される際には、どうしてそのような内容の遺言を作成されたのかということと、今後、ご家族対して願うことを簡単でも良いので、記載されることをおすすめいたします。
 そのようにしておけば、遺言を見た当事者の皆さんに、遺言者のお気持ちが伝わり、ただ財産の残し方を記載しただけの遺言よりも納得しやすくなることは間違いありません。

エンディングノートの活用

 遺言書だけでなく、併せてエンディングノートも利用されることをお勧めいたします。エンディングノートとは、老後や死後に備えて、ご自身の希望を書いておくためのノートです。遺言と違い、法的な効力はありませんが、ご自身のお気持ちを伝えるのには有用です。
 書く内容については、あまり難しく考えず、その時の気持ちを綴っておくのです。そうすれば、ご自身の想いが、ご家族に正確に伝わることでしょう。

財産についてのメモ

 財産や負債の状況についても、エンディングノートや、単純なメモ書きでも等でも十分ですので、明らかにしておき、相続人が困らないようにしておくことをお勧めいたします。
 実は、亡くなった方の遺産の調査というのは、非常に難しいものなのです。
 預貯金については、通帳が出てくればわかりますが、そのほかの財産や、負債、例えば誰かの保証人になっているという情報などは、調べても調べきれないこともあります。
 一方で、相続人は、相続があった日から三か月以内に、相続をするかしないか、つまり相続を承認するのか、それとも放棄をするのかを決めなければいけません。
 仮に負債のほうが多いという状況では、相続開始の日から三か月以内に家庭裁判所に対して相続放棄をすれば、負債を相続しないで済むことになります。この場合、もちろん財産も相続できません。
 しかし、相続開始から三か月以上の期間が経過してしまうと、後から借金が出てきても、それを放棄するということは原則としてできないのです。 そのため、相続開始後三か月以内に、相続財産の全容を把握するように調査をするのですが、エンディングノートにそれらの情報を記載しておけば、相続人が困ることもありません。

結びに

 相続対策・争族対策について、説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
 簡単な遺言を作っておくなど、数分で済む作業で、トラブルを防ぐことができたケースも多々見受けられます。
 
 行政書士藤田孝久事務所は、遺言・相続を専門に取り扱っている行政書士事務所です。
 対策がまだなようであれば、まずは、ご相談からで結構です。ご家族のためにも、一歩踏み出してみませんか。
 敷居は低いです。まずはお気軽にお問合せください。

 

「争族」対策のすゝめ  目次


   1.相続の基本

   2.「争族」とは?

   3.数字から見る相続  遺産が少なければ揉めない?

   4.なぜ「争族」になってしまうのか

   5.相続の件数、遺言書の作成件数

   6.遺言書の種類

   7.遺言書 書くべき内容・書くべき場合

   8.その他の遺言活用法

   9.遺言書に加えて