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―梨園の神様!―

 

大学通りの桜は暑い夏を乗り切り、疲れを癒すかのように紅葉した葉を散らし始め、冬の準備に入ったようです。

今梨園では出荷に、次々と訪れるお客さんへの対応にと大忙しです。たわわに実った梨が早く収穫して欲しいと訴えているようです。私はこの時期になりますと、前に読んだ、作家川上弘美さんの小説「神様」(その中の「夏休み」編)を思い出します。読まれた方もおられると思いますが、概略のストーリーは、主人公の女性が、夏の季節梨園で収穫の短期のアルバイトをし、そこで不思議な三匹の生き物に出会います。生き物たちは梨が好物で、ガリガリ食べます。彼女の家にもついて行き、そこでも梨をガツガツ食べます。そして、梨の季節が終わるころに、何処ともなく消えて行くのです。なんとも、不思議な、幻想的で心を豊かにしてくれる川上さんらしい小説です。

私も川上さんの小説に出てくる様な生き物、聖霊が梨園にはいるのでないかと思っています。それは地の神様や樹の神様を始め、様々な聖霊たちです。それらの神様たちが、この時期に梨園主の一生懸命の努力に答えて、豊穣をもたらしてくれているのではないでしょうか。そして、天から「天子たち」が舞い降りてきて、神様たちと一緒になって歌い、舞い、豊かな実りを称えているのではないかとイメージを膨らませています。川上さんの小説に出てきます生き物はひょっとしたら天使たちかもと想像しています。ですから今なら、梨園で耳を澄ませば、天使たちの歌声が聞こえるかもしれません。

そんな中、今年も「くにたち産・梨市 2009」が8月30日(日)に開催されました。

当日は衆議院選挙の投票日と重なり、また、台風11号の影響でしょうか、雨が降り客足が心配されましたが、幸いにして多くのお客さまに来て頂き、午後3時40分に、480袋(1袋2kg)を完売することが出来ました。梨市も今回で8回目になり、市民の方々に梨市が浸透し、地元の梨の美味しさが知られてきたことからと思いますが、当日は多くの方々に販売開始を待って頂くような状況でした。今年は日照不足から、梨の出来栄えが心配されましたが、園主さんの頑張りで、何時もの年と変わらぬ美味しい梨となりました。稲城、秀玉など6種類を販売しましたが市民の方々に喜んで頂けたものと思っています。当日はマイテレビが取材に訪れ、その結果は、31日(月)午後6時より、ディリーニュースの中で、放送して頂きました。多くのお客さんが梨を買い求め、活況を呈している状況を、丁寧に、上手く編集してありました。今年も大勢の会員、体験ボランティアの方々のご協力がありました。感謝の気持ちで一杯です。こうして、今年後半の最大のイベントが無事に終わりました。

ボランティアの仕事もこれから暫くは余りないと思います。秋になれば、藁運び、網外しなど力仕事が待っています。皆さんお身体には気をつけましょう。

 

参考資料:川上弘美「神様」中央公論新社

以上

 

2009年9月6日

『くにたち・梨園ボランティア』

事務局 遠藤 常吉(文責)


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最終更新日 : 2010/09/04