花凪日誌

2005年9月1日

理事長、副理事長、福祉理念探求セミナーを受講す。永田勝彦北星学園大名誉教授が「社会福祉の根源と社会正義」について講演した。永田教授は、福祉の理念に影響を与えた功利主義に相対するロールズの正義論を紹介した。また、「はたして人々は福祉をどこまで望んでいるか。福祉は大事ということを当然に思っていると、福祉を間違える」「良いことと正義は違う」などと語り、福祉にあぐらをかいていてはいけないとした。今回も2時間があっという間のセミナーだった。

2005年9月3日

花凪5周年を祝う会の実行委員会を開いた。10月1日に開催することを確認し、祝う会の具体的な内容、必要な準備作業、役割分担などについてを詰めた。祝う会は花凪家族、スタッフ、会員、花凪を設立時から支えていただいた人々で行う。5年を振り返り、これからに向けて意を新たにする。

新しい下宿「こ花館(花凪4号館)」開設へ民家購入の契約を交わした。花凪下宿への入居や宿泊利用を希望する方が多い中、2号館は対応できない状況にあり、4号館開設を模索していた。場所は、2号館と同じ平和2条4丁目。2号館から歩いて数十秒という近さであるほか、好条件をそろえている。下宿の定員は4、5人を想定し、小ささの中の豊かさを追求する。拠点事務所を置くことのほか、2号館と連携する形でさまざまに活用していく。年内オープンを目指す。

2005年9月5日

「普段も清掃を心掛け、きちんと管理を」花凪2号館前にゴミステーションを設置した。捨てればよいという意識をなくすことからゴミ処理の徹底(ゴミの大幅減量、資源ゴミの完全分別)を図るためで、生ゴミ処理器を購入し、ゴミ分別容器も増やした。1号館、3号館、スタッフそれぞれの生活でも実行していく。ゴミの問題は、物をどう扱うかの問題。ゴミ一つからいろんなことが考えさせられ、いろんなものが見えてくる。取り組み記録をホームページ上で公開していく予定。ゴミステーションは、もちろん周辺住民にも利用してもらう。

2005年9月14日

理事長、北海道総合研究調査会の「要介護高齢者と障害者の『小規模施設等における生活の実態』と『自宅生活』との比較に関する調査研究」(厚生労働省助成事業)の検討委員会に出席す。同調査研究は、小規模共同住宅における認知症高齢者や障害者の生活実態を把握するとともに自宅生活とのケアコストの差を明らかにし、その有効性や課題を把握しようというもの。検討委員会は来年3月まで行われる。

2005年9月17日

リサイクル運動市民の会道本部主催のイトーヨーカドー新川店フリーマーケットに出店す。

2005年9月18日

西野神社の秋祭りに合わせ、花凪2号館前でフリーマーケット開く。午前中は雨模様だったものの、お天道様も味方してやんでくれた。この日は仲秋の名月。平和の山の方へ行ってススキをとり、いただきものと合わせて1号館、2号館、3号館に飾った。満月は雲に隠れて見えなかったけれど、われら花凪の気持ちの中にはいつも満月あり。

中央がビールの素のモルト缶 モルトを溶かすところ、みんな注目 仕込み完了、後は待つだけ

2005年9月24日

「自ビールプロジェクト」がスタートする。自ビール伝道者の坂本譲さんから自ビールづくりの工程などについて説明を受け、工程の第1段階の仕込みまでを行う。坂本さんが扱っているモルトはラガー、アメリカンライト、ビターなどいろいろあって、今回はピルスナーを仕込んだ。水は花凪が最近設置した浄水器のカルシウム水を使用した。手順は(1)モルトを熱湯で溶かす(2)仕込み用の容器に移す(3)発酵温度20度を守りながらで増量(アルコール度1%以内にするため69リットル─ビールの大ビンで30本─まで)する(4)イースト菌を入れる。作業はとても簡単で、1時間かからなかった。1週間ほどでビン詰めできるということなので、10月1日に行うことにした。

この日は「自ビールプロジェクト」のほかに昼間は2号館前フリーマーケット、夜は今日だけ酒場を開く。予定していたピアノ・フルートコンサートは、フルート奏者が来れなくなり流れてしまった。

2005年9月25日

地域とつながるフリーマーケット花凪2号館前でフリーマーケットを開く。イトーヨーカドー琴似前のフリーマーケット(リサイクル運動市民の会道本部主催)にも出店する。"地域交流"が花凪フリーマーケットの目的の一つだが、花凪2号館前では近所の80代のご夫婦と親しくなった。こちらは「いつでも花凪にどうぞ」、向こうも「友達ができてよかった。遊びにおいで」と。花凪は出会う人たちとこんな調子でいきたい。

2005年9月26日

札幌心療福祉専門校のヘルパー実習生受け入れ。

理事長、キューベットの取材受ける。キューベット(札幌)は、経済産業省後援のプロジェクト「チャレンジコミュニティ」の認定団体として学生に挑戦することを提案する特集誌「SPiCE」を発行(11月末、5000部)する。その中で実際に挑戦し、活動している「かっこいいオトナ」を紹介するのだとか。

2005年9月27日

花凪の「今日だけ酒場」は、西区社会福祉協議会の「いきがいサロン」の助成を受けている。渡辺スタッフ、その「いきがいサロン」実施者が集う情報交換会に出席す。花凪では本年度からスタッフも会合、研修等に積極的にかかわることにしている。

※どん欲に楽しもうとあれこれ行い続けている花凪だけど、そこに「自ビールづくり」という楽しみが新たに加わった9月だった。5周年を祝う会の準備もあったが、「楽しもう」の心で頑張った。10月もまた何かが待っていると思うと、いや、実に楽しい。※

2005年10月1日

「自ビールプロジェクト」の第2段階、ビン詰め作業を行う。先月24日の仕込みから一週間、容器の中のそれはしっかりとビールの味だった。室温20−25度で3週間ほどで完成である。ビールづくりのポイントはこの温度の管理と殺菌。ビン詰め作業で手間がかかるところもビール瓶の殺菌(熱湯とアルコールで行う)で、後は簡単だった。参加者は、「ビンに詰めるのが面白い」「栓をするのが面白い」などと楽しみながら作業を終えた。講師の坂本譲さんは、自宅でつくった飲みごろの1本を持参。みんなでいただいたが、そのおいしいこと。「自ビール」の素晴らしさは思い描いた以上だった。

「もう味はビール」に感動のメンバー 最後の調整とビールビンの殺菌 心も弾むビン詰めとふた付け作業

夜は北海道厚生年金会館で「花凪5周年を祝う会」を開く。儀式ではなく本当のお祝いを−と花凪家族とその家族、スタッフ、会員、設立当初から花凪に付き合っていただいている方など内輪で行った。とはいえ、出席者は81人に及び、花凪がこの5年の間にとても多くの人とつながり、支えられてきたことを知る会となった。あみゅぜのコンサートや工藤忠ミニライブ、花凪劇団の「3匹の子豚」を楽しみながら、花凪家族たちを交えて飲み、食べ、歓談し、また人がつながった。スピーチで「花凪の混沌が素晴らしい」「花凪には愛があります」「明るく元気な花凪をいつまでも」…のメッセージ。会が終わった後での「本当に暖かな時間だった」「花凪らしくて楽しかった」…の感想。花凪スタッフ一同、それらをこれからの花凪への励ましとして新たな出発を誓う。会終了後、元気組は午前3時までススキノにいたのだった。

静明館・矢崎先生の「乾杯!」で祝宴へ うれしいことにあっちこっちで笑顔 私は0歳のときから花凪とつきあってます

2005年10月3日

札幌心療福祉専門学校ヘルパー実習生受け入れ。

2005年10月7日

花凪2号館前でフリーマーケット開く。開けば、お客さんが立ち寄る。立ち寄って、話をする。話が弾めば…。日が暮れるのが早くなり、寒くもなってきたが、まだ何回かは2号館前フリーマーケットをやりたい。

2005年10月8日

理事長、副理事長、「NPO支援財団研究会シンポジウム」に出席す。NPO支援財団研究会は中央大手企業の財団(三菱財団、トヨタ財団、キリン福祉財団等)がつくる団体で、助成の利用拡大や内容の充実などに取り組んでいる。シンポジウムはその一環として今年企画されたもの(札幌、秋田、長野で開催)。助成を受ける側の活動団体、行政、本道の助成事業実施者がパネリストとなって、それぞれの現状や課題を確認し、それぞれに望まれるものなどを探った。互いの距離を縮めるための懇親会も行われ、それぞれにとても実り多い催しだった。

2005年10月10−13日

労働安定センターのヘルパー実習生受け入れ。この間、花凪視察などの訪問者も相次ぐ。

2005年10月17日

理事長、北海道総合研究調査会の未来志向プロジェクト事業−要介護高齢者と障害者の「小規模施設等における生活の実態」と「自宅生活」との比較に関する調査研究検討委員会(9月からスタート)の第2回委員会に出席す。

2005年10月18日

ケア輸送サービス研修があり、井上スタッフが出席する。

2005年10月22日

「自ビールづくりプロジェクト─飲みたい自分になろう」の総仕上げ「自ビール試飲&自慢大会」開く。9月24日に仕込み作業を行って1ヶ月、待ちに待った日だった。「おいしい!」「最高!」…。その味を伝えられないのが残念。熟成するまでの置き場所に風味が違い、ビールは自然の産物、贈り物であることをあらためて知る。手づくりが豊かであることをあらためて知る。それぞれの個性を楽しんでいるうちに仕込んだ全部、大ビン30本が空になった。花凪家族も大いに飲んだ。それぞれ手づくりのマイ・ラベルも感動もので、盛り上がった。佐藤スタッフ自慢の、みんなも太鼓判を押す手づくりパンもテーブルに。麦と酵母でできるビールとパンは兄弟分で、ビールにはパンが合う。そんなパンや手料理、おしゃべりとともに自ビールを満喫した。「自ビールづくりプロジェクト」は今後も続く。11月中旬に2度目のビールを仕込む予定。ラベル自慢はもちろん、ビールに合う料理・おつまみ自慢、ビールの思い出を語る夕べ等々、いろんな楽しみを添えて。

この日は、「あみゅぜ」のコンサートの日でもあった。また、フルートを吹く高野雅則さんが来花し、先月実現しなかった花凪ピアニスト武田幸男との演奏も行われた。おいしいビールにごちそう、おしゃべり、そして音楽。とてもぜいたくな一夜をすごした。

待ちに待った試飲会。飲み、食べた。 ラベルの一つ。プロが制作とか。 高野&武田の演奏。耳も楽しめた。

2005年10月27日

花凪スタッフ会議開く。会議は真面目に行っている。

「認知症でもだいじょうぶ町づくりキャンペーン」に応募する。同キャンペーンは長谷川和夫認知症介護研究・研修東京センター長を実行委員長に昨年スタート。認知症の人を地域で支える先進的事例を顕彰し、それを広く紹介し、認知症の人を地域で支える取り組みを全国にはぐくもうというもの。主催側から応募の案内があり、何とか締め切り(10月31日)に間に合わせ、資料を発送した。

2005年10月28日

紅葉の木々に融け込んで記念撮影。 紅葉の進み具合と空模様を見計らい、デイサービス花凪で円山公園へ出かけた。春の桜、夏の花火のように、紅葉狩りも年に1度しか楽しめない。"自然"という美術館で木々のいろんな赤とさまざまな黄が織りなす芸術、人間には描けない絵画を鑑賞してきた。カメラで写し撮りきれない景色に包まれてきた。温泉で観楓会−来年は定山渓温泉か朝里川温泉に1泊しながらも紅葉を味わうのもいいなと考えている。

※10月は「花凪5周年を祝う会」でスタートした。花凪スタッフ一同は祝う会で5年の歩みを確認し、新たな気持ちでこれからを歩むことを宣言した。パワーアップして10月に臨み、10月を楽しんだ。11月はぐっと寒さが増し、12月には雪が降る。厳しい季節を迎えるが、それに肩をすぼめることなく、楽しさを見いだし、味わっていきたい。※

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