毎日の暮らしの中で、私が感じていることをアップしています。
お読みくださいね。皆様からの感想もお待ちしています。


◆毎月1日更新


◆これまでの「ひとりごと」は右にあるアイコンをクリックしてご覧ください
 
2025年1月

新年を迎えて気持ちも新たに、、、という言葉は存在しているものの、現実では年々新年の気分は薄くなっているというのが実感です。

テレビでは振り袖や、羽織はかま姿の芸人さんが、ワーワーと騒いでいますが、街を歩いてもそのような姿は目に入らず、店舗での琴や尺八の音色も何となく空々しく聞こえてしまいます。
新年会なども減っているようですし、普段通りの生活を送っている人の方が多いような気がします。

お茶の世界では12月に口切という、茶道での新年を祝う茶事がありました。八十八夜で摘んだ新茶を大きな茶壺に入れて保存し、それを殿様の住まいまで届ける茶壺道中というものがありました。お茶はとても貴重なもので、道中はまさに大名行列のようなものだったようです。

「ずいずいずっころばし」という童謡を覚えていらっしゃると思いますが、茶壺道中で人々は平伏して道中が行き過ぎるのを待たなくてはいけなかったのです。そこで、道中が近くなると、人々は家の中に入って戸を閉めてやり過ごすという情景を「茶壺に追われてとっぴんしゃん」と歌ったくらい、大仰なものだったようです。大切な、貴重なお茶だったのですね。

口切ではそのお茶を茶壺から取り出してお茶を点てるというものですが、私の通う先生のところでもその茶事が12月の炉開きのころに行われました。

当日、まず香煎をいただき外へ出て腰掛で待っていますと、亭主が迎えてくれ、蹲踞で口や手を清めてから、躙り口から茶席に入ります。

床の間の茶壺を拝見し、お茶入り日記というお茶の種類などを読み、亭主は茶壺の口を刃物を使って切ります。薄茶をじょうごにあけ、濃茶を取り出します。茶壺は封をしてノリの付いた紙でしっかりと貼り付けて封をします。そしてそのあとで初炭手前、懐石料理をいただき、いったん中立ちをして外の腰掛に進みます。銅鑼の音で、再び蹲踞を使い躙り口から席入りをして、先ほど茶壺から取り出した濃茶をいただきます。
そのあとで後炭の手前があり、薄茶をいただくという流れが口切の茶事のあらましです。

なかなか味わい深い流れです。毎年この口切の茶事をすることで心が改まり、まさに新年を迎えるという気持になってきます。

1月には初釜が行われます。これは一年の稽古始めのお茶会です。懐石を頂いたり、濃茶では恒例の花びら餅を頂いたりしますが、口切の茶事に比べるとリラックスした雰囲気です。

毎週のお稽古でも、和菓子は毎回異なり必ず季節に合わせたものが供されます。お軸も季節で違いますし、お花も毎回違います。お点前も炉や風炉、茶碗も冬は筒茶碗を使ったり、手前そのものも季節に合わせた内容になりますから、常に勉強勉強です。

日常の中でこういった昔ながらのやり方で行う世界は、もはや少なくなってきているのかもしれませんが私はこの茶道の世界に心身ともに浸れることを幸いと感じています。

季節季節の行事は、面倒くさく煩わしいに違いありませんが、せめて少しでも忘れることなく脈々と続けることにこそ意義があるのではないかと思います。

今年はそんなことを頭に置きながら、毎日を過ごすことができればと願っております。今年が良き歳となりますように。


ご感想は下のメールをクリックしてください。お待ちしています。



















 
>